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【第1回】なぜパナソニックは変わらなければならなかったのか?
【第4回】パナソニックの変革から学ぶ「経営の本質」
目次
変革の“3つの層”をどう捉えるか
「企業が変わる」とは、何が変わることなのか?
経営者に求められる“全体最適”の視座
この変革から得られる“ビジネスパーソンへの3つの示唆”
MBAの学びが“経営のリアル”をどう捉える力になるのか
終わりに──「変革」は誰かの話じゃない
パナソニックがこの数年で取り組んできた変革は、表面的には「制度の変更」や「組織構造の再設計」に見えるかもしれません。しかし本質はもっと複雑です。
同社が同時に進めたのは、以下の3つの領域の連動した改革でした。
1. 戦略の再構築(何をやるか/やらないか)
2. 組織構造の再設計(どう運営するか)
3. 文化と人の変革(どう動くか/行動するか)
この3層は、どれかひとつだけでは成立しません。戦略があっても構造が伴わなければ実行されず、構造を変えても人が変わらなければ機能しない。 パナソニックの事例は、この“三位一体”の関係をリアルに示してくれました。
企業が変わるとは、単に組織図やルールが変わることではありません。本質的な変化とは、次のような状態を指します。
・現場での意思決定の質とスピードが変わる
・人々の行動のパターン(習慣)が変わる
・組織全体が「目的を共有し、自走する集団」になる
つまり、制度や構造の変化を“人の変化”にまで落とし込めるかどうかが、真の経営力です。パナソニックは、持株会社制への移行というハードな構造改革と並行して、「若手の登用」「スタートアップ共創」「挑戦を評価する文化」など、ソフト面の改革も進めました。これが変革の成功を支えています。
この事例からもうひとつ見えてくるのは、経営においては全体最適の視点を持つことがいかに重要かという点です。
・組織が肥大化すれば、各部門は“部分最適”に走りがち
・部門間の連携が弱まり、企業全体としてのシナジーが発揮されない
・本社が細部に介入しすぎてもスピードが落ちる
持株会社制はこの問題を解決する手段であり、「戦略本社」と「自律した事業会社」による役割分担型の最適設計です。全体を見渡し、「どこに力を集中させ、どこから撤退すべきか?」という意思決定力は、経営層だけでなく、将来のリーダーにとっても欠かせない能力です。
どれだけ先進的で魅力的なビジョンを掲げたとしても、それを実際に形にできる組織の構造や制度、プロセスが整っていなければ、ビジョンは絵に描いた餅に終わります。
たとえば「社員の自律性を高めたい」といった抽象的な方針も、評価制度が“上司の指示通りに動く人”を評価する仕組みのままだと逆効果です。
これからの時代に必要なのは、「実行可能な戦略」にまで落とし込める力です。具体的には、組織構造、意思決定のルート、KPIの設計、ナレッジ共有の仕組み、会議体の役割分担など、戦略を運用可能なレベルまで設計できる視野が問われています。単なる“戦略プレゼン”で終わらせない、実行に強い人材が求められているのです。
どんなに最新の制度を導入しても、人が変わらなければ組織は変わりません。実際の現場では「仕組みを作ったのに運用されない」「新制度に対して無関心」といった壁にしばしば直面します。これを乗り越えるには、“人の行動”の変化にフォーカスする必要があります。
ここで重要なのが、人材マネジメントの視点です。単にルールを定めるのではなく、社員一人ひとりが「なぜそれが必要なのか」「それによって何が得られるのか」を理解し、納得して行動できるような設計が求められます。インセンティブ設計、リーダーのロールモデル化、ピアフィードバックなど、文化形成の要素を織り込んだ変革支援がカギになります。つまり、「制度を導入して終わり」ではなく、「人が変わるまで寄り添い、促す」ことこそが、本当の意味での変革なのです。
多くの現場で陥りがちなのが、“自部門での成功”に満足してしまい、他部門や全社の整合性を見失ってしまうこと。しかし、組織が一つのシステムとして動いている以上、部分最適では本当の価値は生まれません。
たとえば、営業部門が「顧客対応を効率化したい」と言っても、カスタマーサポートやIT部門と連携が取れていなければ、むしろ混乱を生むだけです。また、人事制度を刷新しても、評価や異動ルールがバラバラなら、社員にとっては不公平感が増すだけです。
これからのビジネスパーソンには、自部門の成果だけでなく、「全体の流れの中でどう機能するか」を俯瞰して考える思考力が求められます。言い換えれば、経営視点を持ち、社内全体の“設計図”を描ける人こそが、組織を前に進めるキープレイヤーとなるのです。
今回の分析には、MBAで学ぶ以下の観点が自然に結びついています。
MBAの論点 | 関連する思考・知識 |
---|---|
経営戦略 | 競争優位性の設計とポートフォリオマネジメント |
組織設計論 | 持株会社制のような構造改革の設計と評価 |
組織行動論 | 社員の行動変化と文化の醸成プロセス |
リーダーシップ | トップダウンとボトムアップを融合させる実践理論 |
MBAで得られるのは、知識の“断片”ではなく、「企業を構造で捉えるレンズ」です。それがあるからこそ、複雑な変革の構造を一貫性のある視点で理解できるのです。
パナソニックの事例を見て、「うちはそんな大きな会社じゃないし…」と距離を感じる人もいるかもしれません。でも、実は変革の本質は、企業規模に関係なく、どんな組織にも共通する“構造の話”と言えます。
・あなたのチームでは、戦略・構造・文化が噛み合っていますか?
・自部門だけの最適に満足せず、全体最適を見据えた動きができていますか?
・自分の言動や仕組みが、仲間の挑戦を後押しする設計になっていますか?
こうした問いに向き合い、自分ごととして業務に引き寄せる姿勢こそ、真のリーダーシップの始まりです。MBAで得られるのは、これらの変化を感覚ではなく“構造”として捉える視点です。私自身、学びを日々の実務に照らしながら、経営のリアルと理論を往復する思考を磨いています。
次回は、また別の業界・企業の事例を取り上げていく予定です。あなた自身の現場と重ねながら、引き続き一緒に考えていきましょう。
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