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  • 2025/12/05公開

【第3回】ユニクロを支える“文化と人材”──「柳井イズム」はどう組織に浸透しているのか──

【第3回】ユニクロを支える“文化と人材”──「柳井イズム」はどう組織に浸透しているのか──

【第1回】なぜユニクロは変わらなければならなかったのか?

【第2回】ユニクロの戦略と改革

【第3回】ユニクロを支える“文化と人材”

【第4回】ユニクロの成長から学ぶ「経営の本質」

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
制度だけでは変わらない、文化の力
「グローバル人材経営」の思想
「柳井イズム」の行動原則化
多様性と課題
教育とリーダー育成の仕組み
成果の「見える化」
MBAの学びとの接点


制度だけでは変わらない、文化の力

ファーストリテイリングの急成長を支えてきたのは、商品やサプライチェーン改革だけではありません。その根底には、柳井正会長兼社長が徹底してきた「経営哲学」が文化として根付いています。

「常に変わる。変わらなければ、企業は死ぬ」
──これは柳井氏が繰り返し語るフレーズであり、ユニクロの現場に浸透している価値観でもあります。

文化を変えることは容易ではありませんが、ファーストリテイリングは制度や仕組みを通じて「行動習慣」として根付かせてきました。

「グローバル人材経営」の思想

ユニクロは、早い段階から「世界で戦うためには、多様な人材を積極的に活用することが不可欠」と位置づけ、戦略的に人材経営を進めてきました。

英語の社内公用語化(2010年〜)
海外展開の加速に伴い、日本本社でも英語を標準言語とする方針を打ち出しました。
採用段階でもTOEICスコアを重視し、社内文書・会議・研修も英語を中心に運用。
これにより、日本人社員と海外現地社員が同じ言語で議論でき、グローバル意思決定のスピードと質が向上しました。

海外比率の高まり
2023年度時点で、社員約11万人のうち6割以上が海外勤務者です。
現地出身のCEOや幹部も積極的に登用し、各国市場に即した意思決定が可能になっています。
特に中国・東南アジア・オセアニアでは現地経営陣が自主的に戦略を立案・実行するケースが増えています。

若手登用の積極性
30代で海外法人の社長に任命される事例もあり、従来型の年功序列とは一線を画しています。
若手を大胆に任せることで、意思決定のスピードと組織の柔軟性が高まり、グローバル市場での適応力を強化しています。

「柳井イズム」の行動原則化

ユニクロは、抽象的なスローガンではなく、具体的な行動指針として社員に求めることを明確化しています。

現場主義
「店舗がすべての原点」とし、経営幹部も定期的に店舗に立って顧客や現場スタッフと対話。
即断即決
失敗を恐れず迅速に試す文化を重視。柳井氏自身も「100のうち51勝てば十分」と発言し、挑戦を促進。
数字への徹底こだわり
売上・在庫・回転率などKPIを店舗単位で可視化。データに基づく意思決定を徹底しています。

これらの行動様式は、組織全体のダイナミズムと意思決定速度を生み出し、グローバル展開の迅速化に寄与しています。

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多様性と課題

ファーストリテイリングは多様性登用を重視していますが、同時に課題も残っています。

女性比率の上昇
国内ユニクロ店舗の店長の約4割が女性で、管理職比率も年々増加。多様な視点を組織に取り込む努力が進んでいます。

外国人幹部の登用
欧米・アジア市場で現地出身の経営者を任命していますが、本社中枢の意思決定権は依然として柳井氏の影響力が大きく、意思決定の分散化は課題です。

離職率の高さ
「成果主義」「即断即決」の文化は、一部で過酷と捉えられ、若手社員の離職率が高止まりしている指摘もあります。文化浸透の進展と並行して、社員の持続可能な働き方の整備が今後の課題です。

教育とリーダー育成の仕組み

ユニクロは、人材教育に対しても独自の投資を続けています。

ユニクロ大学
国内外で次世代リーダーを育成する社内研修機関。経営戦略、リーダーシップ、海外マネジメントを体系的に学べるカリキュラムを提供。

店舗経験から経営者へ
全社員が必ず店舗経験を経てキャリアをスタート。現場理解を持つリーダーを育成し、実務に基づく意思決定力を強化。

グローバルリーダー公募
国内外問わず社員が新規事業や海外拠点のポジションに応募可能。年功序列ではなく挑戦意欲が評価され、実力主義を推進。

成果の「見える化」

文化変革が実際にどのような成果につながっているか、数字で確認できます。

海外法人トップの現地登用率:約70%
女性管理職比率:2023年度25%、2030年には30%以上を目標
社員エンゲージメント調査:8割以上が「挑戦が評価される文化がある」と回答(2022年社内調査)

一方で、「過剰な競争」「過重労働」の声も残り、文化の成熟にはまだ道半ばであることが分かります。

MBAの学びとの接点

ユニクロの事例から見えるポイントは、MBAで学ぶフレームワークに直結します。

MBAの論点 ユニクロ事例の示唆
組織行動論 行動指針を通じた文化醸成と可視化
リーダーシップ 柳井イズムを仕組みに落とし込む「制度化されたリーダーシップ」
人材戦略論 多様性登用とグローバル人材育成の設計
変革マネジメント 即断即決の文化と従業員負担のバランス

次回予告

第4回では、ファーストリテイリングの変革を総括し、

・成熟市場から世界市場へどう進化したのか
・ブランドと経営構造の再定義
・個人と組織にとっての教訓

を整理します。

次の記事はこちら

【第4回】ユニクロの成長から学ぶ「経営の本質」


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