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【第1回】サイボウズはなぜ「辞めた人が戻ってくる会社」なのか?
【第3回】「上司がいなくても組織は回る」、サイボウズ流“決めないリーダーシップ”の正体
【第4回】「人を信じる経営」がなぜ成果を生むのか──サイボウズに学ぶ“設計された信頼”の力
目次
サイボウズは“普通のIT企業”ではない
「出戻り」は文化ではなく、意図的に設計された仕組みである
その背景にある信頼を“制度”に翻訳する経営アーキテクチャ
“辞めた人が帰ってくる”会社の構造的強み
「自由と貢献」を両立させる評価の仕組み
この分析にMBAの学びはどう活きるか?
サイボウズといえば、グループウェア「kintone」や「Garoon」の開発で知られる国産ソフトウェア企業。
しかしそれ以上に、「自由な働き方」「離職率の劇的改善」「元社員の出戻り文化」など、独特の組織戦略で注目される存在です。
・離職率は一時28% → 現在は4%以下
・100人以上の“出戻り社員”
・働き方のカスタマイズは1人1制度
こうした現象は「社風」ではなく、「設計された経営思想」の成果です。 むしろ、経営の中核に「信頼と個人の選択」を据えた設計思想の結果であり、極めて戦略的な組織構築なのです。
多くの企業にとって、退職者は「去った人」であり、競合他社へ流れる存在でもあります。
しかしサイボウズは、これを真逆の発想でとらえています。
・辞めることを前提に設計された“卒業制度”
・OB・OGとの関係を定期的に保つ「元サイボウズ会」
・出戻り後のキャリア設計を歓迎する「カムバック面談」
つまり、「離職=裏切り」という構図を取り払い、むしろ“また戻ってきてもらえる会社”を設計しているのです。
これは、MBAで学ぶ「人的資本経営」や「アルムナイマネジメント(企業出身者との関係戦略)」の実例でもあります。
サイボウズの組織文化は、「制度で縛る」のではなく、「信頼して任せる」ことで成り立っています。
・副業自由、出社自由、転職も自由
・1人1制度(例:週3勤務、地方移住、育児柔軟対応など)
・評価は「成果+チーム貢献度」を基準に設計
このようなスタイルを可能にしているのは、社員の自律性と、会社側の「信頼して任せる」という態度です。
一般的に、自律と自由を与えるとパフォーマンスは下がるという懸念がありますが、サイボウズでは逆に“自分ごと”として仕事に向き合う文化が育っています。
サイボウズの「出戻り文化」は、単なる美談ではなく、以下のような明確な経営上のメリットを生んでいます。
項目 | 効果 |
---|---|
再雇用コスト削減 | 教育・採用費が抑えられる |
文化の再循環 | 元社員が“外で得た視点”を持ち帰る |
社外ネットワーク形成 | OB/OGが社外で“営業窓口”や“情報源”となる |
ブランド力向上 | 信頼できる企業文化が社外でも語られる |
これは、MBAで語られる「リテンション戦略」や「人的資本の資産化」の現代的応用例であり、組織と個人の関係を“ライフサイクル”として再設計する先進事例です。
サイボウズでは、「自由な働き方」だけが強調されがちですが、それを支える仕組みとして極めて構造的な評価制度が整備されています。
・成果だけでなく、「チームへの貢献」「支援行動」を評価
・定量評価と自己申告を組み合わせた“協働性スコア”の導入
・一定期間ごとの“自己振り返り制度”により、キャリアの方向性を定期的に整理
この評価設計により、「個人の自由」と「組織への責任」が両立可能となっています。
これは、MBAで学ぶ「組織行動論」、「人材マネジメント」、「動機づけ設計」のすべてが統合された先進モデルです。
サイボウズのような“人的資本経営のモデル企業”は、以下のようなMBA領域と深く関わっています:
MBA分野 | サイボウズの該当領域 |
---|---|
組織行動論 | 自律的動機づけと心理的安全性の設計 |
人材マネジメント | アルムナイ戦略、出戻り構造の設計 |
評価制度設計 | 貢献ベース評価と協働スコアの導入 |
経営戦略論 | 人的資本を“長期的資産”と見なす構造思考 |
特に、「信頼」が戦略的資産になりうるという実例は、「人的資本」が“理念”で終わらず、“戦略資産”として動いていることを、サイボウズは証明しているのです。
次回第2回では、サイボウズがなぜフルリモート・副業自由・1人1制度といった“多様性全開”の働き方を実現できているのか?
その裏にある「制度設計」と「組織文化」の連動に迫ります。
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