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【第1回】総合商社は“経営の最前線”へ、三井物産が挑む「脱・仲介」戦略とは
【第2回】脱炭素は“リスク”ではなく“収益源”、三井物産の逆転サステナ戦略
【第3回】ゼネラリストを超えて“経営人材”へ、三井物産の人と組織の進化論
【第4回】「変わり続ける経営体」はどう設計されるのか、三井物産の実践から学ぶ
目次
総合商社の人材モデルは限界を迎えていた
“事業経営を担う人材”への進化
育成:キャリアは“与えられる”から“自ら設計する”へ
評価:「見えにくい力」を評価可能にする仕組み
組織: “機能組織”を超えて、“役割起点”の組織へ
この変革にMBAの学びはどう活きるか?
このまとめ── 商社の変革は「人」から始まる
従来の総合商社では、「オールラウンダー(=ゼネラリスト)型人材」が評価されてきました。
・若手のうちから複数部署をローテーション
・海外駐在を経て、全社的視野を持った管理職に昇格
・幅広くこなせる人材が“できる人”とされた
しかしこのモデルは、次第に意思決定の遅れ・専門性の不在・経営責任の希薄化といった副作用を生み出し始めます。
三井物産はその課題を直視し、人材要件の再定義と組織デザインの刷新に踏み切りました。
近年の三井物産が重視する人材像は、「事業を自ら動かし、成長させられる人」です。
いわば“事業責任者としてのジェネラリスト”です。
従来型 | 進化型 |
---|---|
広く浅く、調整役 | 深く尖って、意思決定役 |
全体把握 | 事業単位でのP/L責任 |
上意下達を遂行 | 自ら起案し、社内を巻き込む |
この人材像に向けて、育成・配置・評価制度が大きく見直されているのです。
三井物産では近年、若手〜中堅社員に対し「キャリアの自己設計」を促す動きが顕著です。
・新卒配属も“希望制”を拡大し、適性と志向を重視
・社内副業制度や“越境出向”を活用し、スキルの獲得を支援
・経営人材候補には“育成型ミッション”を早期に与える
これは、MBAで学ぶ「キャリア戦略論」や“ストレッチアサイン”に通じる実践型アプローチで、従来の「育てられる」から「自らつかむ」へと転換しています。
単なる売上や調整能力ではなく、「事業価値の創出」「他者への影響力」「意思決定の質」といった観点が評価の中心に。
具体的には:
・年次にかかわらず、一定額以上の資産を扱うP/L責任者への抜擢
・リーダーシップ行動を360度評価し、育成と連動
・経営幹部への登用は「事業創出経験」が必須条件
これは、MBAで重視される“リーダーシップ・コンピテンシー評価”の考え方と近く、感覚的評価を脱し、戦略実行力を中核とした人材評価設計です。
三井物産の組織構造は、今や“縦割りの商材別”ではなく、事業単位×戦略ミッション単位で編成される“動的組織”へと進化しています。
・複数部門の人材が、プロジェクト単位で編成される“社内ベンチャー型”の組織
・ミッションごとに必要な専門性を一時的に集結させ、終われば解体する“アメーバ型組織”
・コーポレート部門も事業側に出向・兼務する流動型体制
この構造は、「役割と責任の明確化」と「柔軟性」の両立を目指したもので、 “硬直した大企業”の弱点を乗り越える組織設計となっています。
三井物産の人・組織の進化は、以下のMBA領域におけるリアルな実践事例です:
MBA分野 | 三井物産に見る実践フィールド |
---|---|
組織設計論 | 事業単位×プロジェクト単位のハイブリッド組織 |
人材マネジメント論 | 戦略的配置・抜擢・評価設計の高度化 |
リーダーシップ論 | 自律型人材と影響力型リーダーの育成 |
キャリア論 | 長自己設計と組織設計の同期による動的キャリア構築 |
特に、「企業文化そのものを意図的に変えるための人事制度設計」は、MBAの理論と実務が最も融合する領域です。
三井物産の変革の核は、事業でもなく、制度でもありません。
それは「経営に挑む覚悟を持った人材をどう育て、活かすか」という問いに真摯に向き合い続けた結果です。
・変化を担うのは人であり
・人を動かすのは仕組みであり
・仕組みの背後にあるのは、明確な経営思想である
これは、どんな業界・企業においても応用可能な“人材戦略の原理”といえるでしょう。
シリーズ最終回では、これまでの戦略、構造、人材を統合的に俯瞰し、三井物産がどのようにして「変わり続ける経営体」として機能しているのかを統合的に解説します。
次の記事はこちら
【第4回】「変わり続ける経営体」はどう設計されるのか、三井物産の実践から学ぶ
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