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  • 2025/08/26公開

【第3回】「上司がいなくても組織は回る」、サイボウズ流“決めないリーダーシップ”の正体──サイボウズの“意思決定デザイン”とリーダーシップの再定義──

【第3回】「上司がいなくても組織は回る」、サイボウズ流“決めないリーダーシップ”の正体──サイボウズの“意思決定デザイン”とリーダーシップの再定義──

【第1回】サイボウズはなぜ「辞めた人が戻ってくる会社」なのか?

【第2回】「1人1制度」がサイボウズで機能する背景とは?

【第3回】「上司がいなくても組織は回る」、サイボウズ流“決めないリーダーシップ”の正体

【第4回】「人を信じる経営」がなぜ成果を生むのか──サイボウズに学ぶ“設計された信頼”の力

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
「管理しない」=放任ではない
「決めない」ことで組織が動く──合意と納得のリーダーシップ
「多様性」と「対話」を支える構造とは?
管理よりも“見える化”と“自律”の設計
意思決定における“心理的安全性”のつくり方
命令しない・管理しない──“支援型リーダー”の時代へ
この分析にMBAの学びはどう活きるか?


「管理しない」=放任ではない

サイボウズは、“管理しない経営”の代表例として紹介されることが多くあります。
「自由なのに崩れない」「上司がいないのにまとまる」、そんなサイボウズの経営は、実は“構造化された自由”によって成立しています。

・上司がいない?
・指示がない?
・勝手に働いている?

そんな自由奔放なイメージが先行しがちですが、実態は全く異なります。 サイボウズの経営は、自由を前提としつつ、極めて緻密に“意思決定と責任の構造”が設計された組織マネジメントなのです。

「決めない」ことで組織が動く──合意と納得のリーダーシップ

一般的にリーダーの役割は、“決断すること”とされます。
しかしサイボウズでは、「自分だけで決めない」ことがリーダーの重要な仕事となっています。

・決定事項はチームに公開し、対話しながら合意形成
・上司が判断を下すより、関係者全員の納得を優先
・方針や制度も「一人のトップが決める」スタイルを排除

これは、「決定の正しさ」よりも、「納得感と再現性」を重視する文化。「納得解による合意の力」が、サイボウズのリーダーシップの核なのです。

「多様性」と「対話」を支える構造とは?

このような“決めないリーダーシップ”が成り立つ背景には、意思決定の“場”と“ルール”の設計があります。

項目 内容
意思決定プロセス 原案 → 社内公開 → 意見収集 →必要に応じて修正 → 実行
会議の目的 “決定”ではなく“意見集約”と“納得形成”の場
技術支援 社内SNS(kintone)で全員が意見・議論に参加可能
チーム支援 ファシリテーターや“合意促進者”が存在することも

つまり、意思決定は“個人が担う責任”ではなく、“構造の中で起こす対話のプロセス”として機能しているのです。

管理よりも“見える化”と“自律”の設計

サイボウズでは、上司に管理されなくても、目標達成に向けて動ける仕組みがあります。
代わりに、個人のタスク・プロセス・課題が“全社に可視化”されており、チームで補完・支援できる状態が整っています。

・各自が自分のKPIを公開し、進捗も自ら更新
・“困っていること”を先に出す文化(ヘルプを出しやすい)
・結果よりも「どのように進めたか」のプロセスも重視される

この設計は、MBAでいうところの「自律分散型マネジメント」、「ティール組織の構造要件」と合致します。

意思決定における“心理的安全性”のつくり方

チームで意思決定をするには、異なる意見が自由に出せる環境が不可欠です。
サイボウズでは、心理的安全性を以下のように制度と文化で支えています:

・意見が否定されないことが制度化されている(「No否定ルール」)
・少数意見や少し変な提案も“歓迎される空気”がある
・チームで議論した結果、結論が出なくても「一時保留」が許容される

この心理的安全性は、“なんとなくそういう空気”ではなく、「制度・言語・仕組み」で明確に設計されているのが特徴です。

命令しない・管理しない──“支援型リーダー”の時代へ

サイボウズにおけるリーダー像は、以下のように従来とは大きく異なります。

従来型 サイボウズ型
指示する 意見を引き出す
責任を取る 対話と合意を進める
全体を管理する 全体を管理する チームに権限を渡す

このようなリーダー像は、「管理型からファシリテーター型へ」というリーダーシップの進化を示しており、MBAでも注目される「変革型リーダーシップ(transformational leadership)」や「サーバントリーダーシップ」との親和性が非常に高いと言えます。

この分析にMBAの学びはどう活きるか?

サイボウズの意思決定モデルとリーダーシップは、以下のMBA領域と密接に関わります

MBA分野 該当するポイント
組織行動論 心理的安全性と意見共有の設計
リーダーシップ論 合意形成型・支援型・変革型リーダーシップ
組織設計論 自律分散型の意思決定構造と役割定義
ナレッジマネジメント 意思決定と情報共有のシステム活用

“強いトップ”がいない企業でも、組織が前に進める──それを構造的に設計する知識と視座が、まさにMBAの学びの応用領域です。

次回予告

次回はシリーズ最終回。
サイボウズがなぜここまで「組織文化」「制度」「成果」の三位一体を成立させられたのか?
その統合的経営思想と、今後の組織進化への示唆をまとめます。

次の記事はこちら

【第4回】人を信じることが、経営戦略になる時代へ

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