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  • 2022/10/11更新

簿記1級の合格率や難易度、学習時間は? 2級の次に取るべき他の資格も紹介

「簿記1級を取得すると、就職に有利になるのだろうか」「簿記1級の学習はどのようにしたらいいのだろう」など、簿記2級を取得した後に悩みを抱える人は少なくありません。

簿記2級を取得した後、簿記1級の取得を検討する人もいるでしょう。

本記事では、簿記1級の合格率や難易度、学習時間などについて分かりやすく解説します。

これから、簿記1級の取得に挑戦すべきかどうか迷っている方は参考にしてください。

目次
簿記1級とは? 簿記2級や3級と何が違うのか
簿記1級の合格率の推移
簿記1級の難易度が高いとされる理由
簿記1級と他資格との難易度を比較
簿記1級がおすすめな人
簿記1級以外の資格がおすすめな人
簿記1級の代わりにおすすめな資格
簿記1級の取得を迷っているなら、他の資格も検討しよう

簿記1級とは? 簿記2級や3級と何が違うのか

簿記1級は、2級・3級と比較すると、出題範囲が広く難易度の高い資格です。

ここでは、簿記1級の基本概要や追加される科目について見ていきましょう。

簿記1級の基本情報|受験費用・科目数・合格率など

簿記1級と、2級・3級は大きく異なります。

受験費用・年間の試験回数・科目数・試験時間・合格基準・合格者特典・合格発表・受験に関しての諸注意事項・直近5回分の平均合格率について見ていきましょう。

項目 1級 2級 3級
受験費用(税込) 7,850円 4,720円 2,850円
年間の試験回数(※1) 2回 3回 3回
科目数 4 2 1
試験時間 90分・90分(計180分) 90分 60分
合格基準 70%以上(ただし、1科目ごと40%以上) 70%以上 70%以上
合格者特典

・税理士試験の受験資格を得る
・職業能力開発促進法の指導員資格試験で、事務科の試験科目一部免除

大学の推薦入学に有利
合格発表(※2) 約7週間後 約2週間後
受験に関しての諸注意事項(※3) ・A4サイズの計算用紙1枚配布、試験後、問題用紙/答案用紙と共に回収
・後日、試験問題をHPで公開
・問題用紙/答案用紙/計算用紙一体の冊子を配布、試験後に回収
平均合格率(第156~161回分) 10.3% 21.5% 44.0%


※1:ネット試験を除く
※2:合格発表日は商工会議所により異なる
※3:1級と、2・3級に相違がある点のみ紹介

簿記1級の場合は受験費用が高く、試験時間が2級や3級と比較すると長くなっているのが特徴です。

また合格者特典も大学の推薦入学に有利なだけでなく、税理士試験の受験資格も取得することができ、2級や3級よりも取得のメリットは多いと言えます。

参考:日本商工会議所・各地商工会議所「商工会議所の検定試験|簿記」

追加された科目(会計学・原価計算)

簿記3級は商業簿記1科目、簿記2級は商業簿記と工業簿記の2科目から出題されます。簿記1級ではさらに、会計学と原価計算が追加されます。

会計学とは、会計制度を理論的に理解する学問です。テキストなどで「企業会計原則」「企業会計基準」などを読み込み、会計の基本的な考え方についての理解を深めましょう。

原価計算とは、製品1単位当たりの製造原価を求め、そこから経営上の意思決定を行うことを指します。

簿記1級では、原価計算は出題の論点がある程度決まっており、例えば、CVP分析、意思決定会計、予算実績差異分析などがよく出題されています。

ネット試験の有無

簿記3級・2級は従来の紙での試験に加えインターネットでの試験が開始されました。

ネット試験は随時行われており、受験機会は増加しています。

そのため、万が一合格できなかった場合でも、すぐに次の機会に向けて学習可能です。

なお、簿記1級のネット試験はありません。従来通りの統一試験(ペーパー)のみの実施となっています。

そのため、簿記1級はこれまでと変わらず年に2回しか受験機会はありません。

参照:日本商工会議所・各地商工会議所「簿記|日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験について」

簿記1級の合格率の推移

簿記1級の受験にあたり、合格率の推移が気になる人は多いでしょう。合格率は試験の難易度を見極める基準の1つとされています。

ここでは、2019年から2022年までの受験者数・合格者数・合格率の推移をみていきましょう。

受験日 2022.
6.12
2021.
11.21
2021.
6.13
2021.
2.28
2020.
11.15
2019.
11.17
2019.
6.9
受験者数 8,918名 9,194名 7,594名 6,351名 8,553名 7,520名 6,788名
合格者数 902名 935名 746名 502名 1,158名 735名 575名
合格率 10.1% 10.2% 9.8% 7.9% 13.5% 9.8% 8.5%

簿記1級の合格率は7%から13%の間を推移しています。

2020年11月は13.5%と高く、その次の回は7.9%と低い合格率となっていますが、平均するとおよそ10%前後です。

参照:日本商工会議所・各地商工会議所「簿記|受験者データ」

簿記1級の難易度が高いとされる理由

前述したように、簿記1級の合格率は約10%です。合格率が約20%である簿記2級と比較すると、難易度の高い試験といえるでしょう。

ここでは、簿記1級の難易度が高いとされる理由について考えてみましょう。

2級の倍以上の学習時間がかかる

簿記2級の科目は商業簿記と工業簿記の2科目ですが、簿記1級になるとそれにもう2科目追加されます。

簿記2級を独学で目指す場合、一般的に250~350時間の学習時間が、簿記1級を独学で取得する場合は、500~1,000時間の学習時間が必要と言われています。

つまり、簿記1級を取得するとしたら、簿記2級と比較した場合、倍以上学習に時間を費やさなければなりません。

1年間で1,000時間学ぶためには毎日約3時間を費やす必要があります。多忙な社会人の場合、十分な学習時間の確保が困難な人も多いでしょう。

1科目でも落とすと不合格となる

簿記1級では、1科目ごとに40%以上の得点が必要です。各科目25点ずつの配点のため、1科目でも10点未満を取った場合、不合格となります。

簿記2級まではこのような合格基準がありませんでした。

しかし、簿記2級と違って簿記1級ではどの科目も落とせないため、満遍なく学習しなければなりません。

そのため、得意科目だけでなく苦手科目もしっかり理解しておくことが必要です。

これも、簿記1級の難易度が高いといわれている理由の1つです。

参照:日本商工会議所・各地商工会議所「簿記|簿記1級|試験科目・注意事項」

出題範囲の広さに反して試験時間が短い

簿記1級の試験は2科目ごとに90分で行われ、4科目計180分の試験時間となります。

科目数に対しての試験時間は簿記2級と変わりませんが、出題範囲が広く、深く意味を理解しておかないと対応できない問題も数あるため、試験時間を短いと感じる人は少なくありません。

試験中にじっくり考える余裕がなく、短時間で正確な解答が求められる試験といえるでしょう。

簿記1級と他資格との難易度を比較

簿記1級以外にも難易度の高い資格は様々あります。

ここでは、よく難易度を比較される4つの資格、公認会計士・司法書士・宅地建物取引士・日本証券アナリスト協会認定アナリストと比較してみました。

それぞれの合格率や必要学習時間について詳しく見ていきます。

受験日 簿記1級 公認会計士 司法書士
宅地建物取引士
証券アナリスト
平均合格率(2017~2021年) 10.30% 10.54% 4.62% 16.24% 50.90%
一般的に必要とされる学習時間 500~1,000時間 3,000~5,000時間 3,000時間 400~500時間 200時間

公認会計士や司法書士は、3,000時間以上の長い学習時間が欠かせません。一方、宅地建物取引士や証券アナリストは、200~500時間の比較的短い学習時間となっています。

簿記1級はそれらの間である1,000時間程度の学習時間が必要です。

司法書士の平均合格率は5%を切っています。一方、証券アナリストは50%を超える合格率となっています。

簿記1級は公認会計士試験と比べて科目数が少なく1/10~1/3程度の学習時間で済むものの、合格率は約10%のため、難易度が高いことには変わりないといえるでしょう。

簿記1級がおすすめな人

簿記2級を取得した後、簿記1級を取得するかどうか迷う人は少なくありません。

ここからは、どのような人に簿記1級がおすすめか見ていきましょう。

公認会計士試験を受けるかどうか迷っている人

公認会計士試験の科目の1つに「会計学」があり、簿記1級の範囲すべてが含まれています。

公認会計士の論文式試験(2次試験)全5科目(700点満点)のうち、300点分を会計学が占めます。公認会計士試験の学習には3,000~5,000時間必要です。

そのため、まずは500~1,000時間程度の学習時間を確保して簿記1級を目指し、その後公認会計士試験を受けるかどうか考えてみてもよいでしょう。

転職・昇格を有利に進めたい人

簿記1級が難易度の高い難関資格であることは広く知られています。そのため、簿記1級を取得していると、就職活動や転職時の書類選考の通過率が上昇する可能性があります。

簿記1級を取得すると、仕訳だけでなく、利益率の改善などを提案できる知識が身についていると証明できるため、幅広い視点から会社にとってより高い貢献が可能となります。

転職しない場合でも、簿記1級の知識を用い、会社の利益に貢献できることがアピールできるため、社内での昇格を有利に進めることができる可能性があります。

簿記1級以外の資格がおすすめな人

公認会計士を目指さず、転職の予定もない場合、それでも簿記1級を目指すかどうか迷う人もいるでしょう。ここからは、他の資格がおすすめな人について見ていきましょう。

明確なゴールがない人

「せっかく簿記2級を取得したので、次は簿記1級でも目指してみるか」と漠然と考えている人は注意が必要です。

簿記2級までと簿記1級とでは求められる知識や難易度が大きく異なり、簿記2級以上に学習時間が必要になります。

自分にとって簿記1級取得のメリットはどれほどあるのか、一度考えてみてもよいでしょう。

明確な目的やメリットがなく、ただ漠然と簿記2級の延長線上に1級の取得を考えているのであれば、別資格の取得と比較検討してみましょう。

幅広く知識を増やしたい人

簿記1級は会社の会計や実務、利益追求などに役立つ資格です。しかし、お金に関わる資格は簿記だけではありません。

税理士・ビジネス会計検定・ファイナンシャル・プランニング技能士・社会保険労務士・米国公認会計士(USCPA)などをはじめとした多くの資格が存在します。

人によっては、会計学よりも別の知識を身につけたほうが役立つこともあります。

特に、簿記や会計学を極めたいわけではなく、お金に関する幅広い知識を求めている場合は、他の資格取得について検討してみてもよいでしょう。

簿記1級の代わりにおすすめな資格

簿記1級の代わりの資格が気になるけれども、どのような資格を取ればよいのか分からないという方も多いでしょう。

ここでは、簿記2級を取得した後、簿記1級の代わりのおすすめの資格を3つ見ていきます。

税理士

税理士は、納税者の代わりに税務書類の作成などを行う税務のスペシャリストです。

資格試験の必須科目として、簿記論と財務諸表論があります。そのため、簿記2級の知識を活かすことが可能です。

なお、簿記1級は税理士の受験資格の1つではありますが、別の要件を満たしている場合は簿記1級の取得は必須ではありません。

税理士を目指すのであれば、必ずしも簿記1級を取得する必要はないといえます。

参照:国税庁「税理士試験受験資格の概要」

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

ファイナンシャルプランナーは、個人や家庭における資金管理に関するアドバイザーです。

簿記2級に加えてファイナンシャルプランナーの資格を持つことで、会社の資金管理だけでなく、個人の資産管理に対する知識が身につきます。

そのため、個人のライフプランや将来の収支、資産設計や資金計画などの提案やアドバイスが可能となります。人生100年時代となった今、家計に対する的確なアドバイスを求めている人は少なくありません。

そのようなニーズに応えるために、簿記の知識とともにファイナンシャルプランナーの知識を活かすことができるでしょう。

参照:日本FP協会「FPとは」

USCPA(米国公認会計士)

USCPA(米国公認会計士)は、アメリカの各州が認定する公認会計士資格です。日本だけでなく、外資系をはじめとしたグローバルな場で働くことを検討している人におすすめの資格です。

国際資格の1つでありながら、日本での受験が可能な点もメリットの1つといえます。

1科目ごとに合格を積み上げていく点や、各科目の合格率が約50%と簿記1級に比べて高いため、USCPAの難易度は高く無いという点も把握しておきましょう。

また、簿記2級で身につけた会計の知識は、USCPAの資格取得に役立つ点もおすすめしているポイントとなります。

関連記事:USCPAとは?魅力や取得後のキャリア・難易度・試験内容を詳しく解説

簿記1級の取得を迷っているなら、他の資格も検討しよう

簿記2級を取得した後、とりあえず簿記1級にも挑戦してみようかと安易に挑戦することはおすすめできません。

簿記1級は2級と比べて大幅に難易度が上がります。必要な科目も増え、学習時間は500~1,000時間が必要となります。

社会人にとってはそんなに多くの時間を捻出するのが困難な場合もあるでしょう。簿記1級を目指す方は、明確な目的を決めておきましょう。

特に明確な目的が見当たらない場合やより幅広い知識を身につけたい場合は、他の資格取得を検討することも大切です。

簿記2級の知識を活かしながら他の資格を検討する場合、税理士や2級ファイナンシャル・プランニング技能士、USCPA(米国公認会計士)など難易度を比較しながら他の資格を検討するのがおすすめです。

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USCPA(米国公認会計士)を取得するには1,200〜1,500時間の学習が必要です。これは資格専門校を利用した場合の時間です。英語の能力も問われます。

日本の公認会計士や簿記1級よりも難易度は落ちるとはいえ、独学でUSCPA資格を取得するには多くの時間がかかり大変困難です。

USCPA専門校アビタスなら、会計知識がなくても英文会計入門などを日本語のオリジナル教材で学ぶことができます。

USCPA取得を目指すなら、日本のUSCPA合格者の3人に2人が利用しているアビタスをぜひご検討ください。

まずは無料の説明会にご参加ください。

※記事に記載の内容は2022年10月時点のものを参照しています。

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