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内部監査の仕事は、特定の資格を持っていなければ担当できない職種ではありません。一方で、内部監査にはガバナンス、リスク・マネジメント、内部統制、不正、ITなど幅広い知識が求められます。資格取得は、こうした知識を体系的に学び、自身の専門性を社内外に示す方法の一つです。
とくに、企業不祥事やサイバーインシデント、生成AIの活用など、企業を取り巻くリスクが複雑になる現在、内部監査には単なる不備の指摘だけでなく、組織全体を俯瞰し、経営の意思決定を支える役割も期待されています。そのため、内部監査で培う知識やスキルは、リスク管理、コンプライアンス、内部統制、ITガバナンス、経営企画など、内部監査以外の領域でも活かすことができます。
本記事では、CIA(公認内部監査人)をはじめ、CISA、CFE、CRMA、内部監査士など、内部監査・ガバナンスに役立つ資格や称号を目的別に比較します。あわせて、これからの内部監査人に必要なスキルと、その専門性をキャリアにどう広げるかも解説します。
この記事のポイント
目次
内部監査に資格は必要?|必須ではないが取得する価値はある
内部監査に役立つ資格を目的別に比較
まず検討したいのはCIA(公認内部監査人)
内部監査・ガバナンスに役立つその他の資格
内部監査関連の資格を取る3つのメリット
これからの内部監査・ガバナンス人材に求められる5つのスキル
資格・スキルを内部監査以外にも活かす|ガバナンス・プロフェッショナルという考え方
内部監査の経験・資格はどんなキャリアにつながる?
どの資格を選べばいい?目的別おすすめ
まとめ|資格は「取得すること」より「どう使うか」が重要
内部監査の資格についてよくある質問
内部監査の業務を行ううえで、CIAなど特定の資格を取得していることが必須というわけではありません。実際、社内異動をきっかけに内部監査へ配属され、実務を経験しながら知識を身につける人も多くいます。
ただし、内部監査は「自社のやり方」だけを覚えればよい仕事ではありません。ガバナンス、リスク・マネジメント、コントロール、内部監査の国際的な考え方などを体系的に理解することで、自社以外でも通用する判断軸を持ちやすくなります。
資格取得の価値は、資格名そのものよりも、学習を通じて専門知識を整理し、その知識を実務で使えるようにすることにあります。とくに内部監査を中長期的な専門分野として考える場合は、資格を学習の軸として活用する意義は大きいでしょう。
内部監査に関連する資格・称号・研修は複数あります。すべてを取得する必要はありません。現在の業務と、今後どの専門性を伸ばしたいかを基準に選ぶことが重要です。
内部監査全般を軸にするならCIA、IT監査・ITガバナンスならCISA、不正対策・調査ならCFE、リスク・マネジメントのアシュアランスを深めるならCRMAが代表的な選択肢です。国内で内部監査を体系的に学びたい場合は、日本内部監査協会の内部監査士などもあります。
| 名称 | 主な専門領域 | 位置づけ | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| CIA | 内部監査・ガバナンス・リスク・コントロール | IIAの国際資格 | 内部監査を専門領域の中心にしたい人 |
| CISA | IT監査・ITガバナンス・情報システム | ISACAの国際資格 | IT・サイバー領域と監査を掛け合わせたい人 |
| CFE | 不正防止・検知・調査・抑止 | ACFEの国際資格 | 不正対策や調査の専門性を高めたい人 |
| CRMA | リスク・マネジメント・アシュアランス | IIAの国際資格 | ERMやリスク領域を深めたい人 |
| 内部監査士 | 内部監査の基礎から実務 | 日本内部監査協会の国内称号 | 国内で体系的に内部監査を学びたい人 |
| 情報システム監査専門内部監査士 | 情報システム監査 | 日本内部監査協会の国内称号 | システム監査を専門的に学びたい人 |
| 金融内部監査士 | 金融機関の内部監査 | 日本内部監査協会の国内称号 | 金融・保険の監査に携わる人 |
| IPO・内部統制実務士 | IPO・内部統制 | 日本経営調査士協会の資格 | 上場準備・J-SOX・内部統制に携わる人 |
| ISO内部監査員関連研修 | ISOマネジメントシステムの内部監査 | 研修・認証制度は提供機関により異なる | 品質・情報セキュリティ等のISO内部監査に携わる人 |
内部監査を専門領域の中心に置きたい人が、まず検討したい資格がCIA(Certified Internal Auditor/公認内部監査人)です。
CIAはIIA(The Institute of Internal Auditors/内部監査人協会)が認定する国際資格で、内部監査、ガバナンス、リスク・マネジメント、コントロールなどを体系的に学びます。日本語でも受験でき、2025年からはグローバル内部監査基準に対応した新シラバスへ移行しています。
CIAの学習範囲は、監査手続だけに限られません。事業や組織をどのように捉え、リスクをどのように評価し、経営や取締役会にどのような価値を提供するかという、内部監査人としての土台を幅広く学べる点が特徴です。
関連ページ:CIA(公認内部監査人)とは?取得メリット・試験・難易度・キャリアを解説
CIAを学ぶメリットは、内部監査の実務知識を体系化できることに加え、企業や業界をまたいで通用する共通の考え方を身につけられることです。
また、内部監査では業務プロセス、会計、IT、リスク、組織運営などを横断的に見る必要があります。CIAの学習を通じて得た知識は、内部監査部門だけでなく、内部統制、リスク管理、コンプライアンス、経営管理などの業務を理解するうえでも役立ちます。
CIA試験はPart1〜Part3の3つに分かれており、3Partすべてに合格し、所定の認定要件を満たすことでCIAとして認定されます。
IIAが公表している現在のグローバル合格率は、Part1が44%、Part2が48%、Part3が56%です。これは各Partの世界全体の合格率であり、日本国内だけの合格率ではありません。
難易度や学習時間、2025年改訂後の試験内容については、別記事で詳しく解説しています。
| 試験 | グローバル合格率 |
|---|---|
| Part1 | 44% |
| Part2 | 48% |
| Part3 | 56% |
関連ページ:CIA(公認内部監査人)の難易度は?最新合格率・学習時間・試験を解説
内部監査の仕事では、担当するリスク領域によって求められる専門性が変わります。CIAを軸にしつつ、IT、不正、リスク・マネジメントなど、自身の業務に近い専門資格を選ぶ方法もあります。
CISA(Certified Information Systems Auditor)は、ISACAが認定する情報システム監査の国際資格です。試験は150問で、情報システム監査プロセス、ITのガバナンスとマネジメント、システムの導入・運用、情報資産の保護など5つのドメインから出題されます。
システム監査だけでなく、サイバーセキュリティ、アクセス管理、IT統制、外部委託、事業継続などを経営リスクとして捉えたい人に向いています。DXや生成AIの活用が広がる中、内部監査とITの両方を理解する人材の重要性は高まっています。
関連ページ:CISA(公認情報システム監査人)とは?資格の概要や魅力を解説
CFE(Certified Fraud Examiner/公認不正検査士)は、ACFEが認定する不正対策の国際資格です。不正の防止・発見・調査・抑止に関する知識を体系的に扱います。
CFE試験は2026年6月に大きく改訂され、現在は「Fraud Schemes and Financial Crimes」「Fraud Investigations and Legal Issues」「Fraud Prevention and Deterrence」の3セクションで構成されています。
内部監査だけでなく、コンプライアンス、内部通報対応、不正調査、経理・財務、法務など、不正リスクに関わる業務との相性がよい資格です。
関連ページ:CFE(公認不正検査士)とは?資格の概要や魅力を解説
CRMA(Certification in Risk Management Assurance)は、IIAが認定するリスク・マネジメント・アシュアランスの国際資格です。組織のリスク・マネジメントやガバナンスに対して、アシュアランスや助言を提供する能力を深めたい人に向いています。
日本内部監査協会の案内では、現在CRMA試験は英語のみで受験できます。CIA取得後にリスク領域をさらに専門化したい人の選択肢の一つです。
なお、旧CCSA(内部統制評価指導士)は現在、独立した資格としてではなくCRMAへ統合されています。
国際資格以外にも、国内で内部監査を体系的に学べる制度があります。
日本内部監査協会の「内部監査士」は、所定の認定講習会を修了し審査を経た人に与えられる国内の称号です。一般にQIAと呼ばれることがありますが、日本内部監査協会は英文名称を設定していません。
同協会には、情報システム監査に特化した「情報システム監査専門内部監査士」や、金融機関の監査に特化した「金融内部監査士」もあります。また、IPOや内部統制の実務に関わる人には「IPO・内部統制実務士」も選択肢になります。
ISOの内部監査に関しては、品質・情報セキュリティなど対象となるマネジメントシステムごとに研修が提供されています。「ISO内部監査員」という単一の統一資格があると捉えるのではなく、自社で担当する規格や業務に応じて必要な研修を選ぶとよいでしょう。
資格は取得そのものが目的ではありません。内部監査の実務で使える知識を得て、それを自身の仕事やキャリアにどう活かすかが重要です。内部監査関連資格を学ぶメリットは、大きく3つに整理できます。
実務経験だけでは、どのような知識をどの水準で身につけているかを第三者が判断しにくい場合があります。特に転職時は企業文化に依存しない、内部監査基準を実装レベルで理解している事が重要になります。資格学習を通じて内部監査、IT監査、不正、リスク・マネジメントなどの知識を体系化することで、自身の専門領域を説明しやすくなります。
また、国際資格で学ぶ考え方は、所属企業独自のルールだけに依存しない判断軸を持つうえでも役立ちます。
内部監査は、監査部門だけで完結する仕事ではありません。事業部門、リスク管理、コンプライアンス、情報システム、経理・財務、経営陣など、さまざまな関係者と対話する必要があります。
資格学習を通じてガバナンス、リスク、コントロール、不正、ITなどの共通概念を理解しておくことで、部門をまたいだコミュニケーションがしやすくなります。
関連ページ:3ラインモデルとは?各ラインの役割と3ラインディフェンスとの違いを解説
内部監査で身につく「組織全体を俯瞰してリスクを見る力」は、内部監査部門だけで使うものではありません。内部統制、リスク管理、コンプライアンス、ITガバナンス、経営企画などにも応用できます。
アビタスがCIA合格者を対象に実施したアンケートでは、合格時年齢が40〜60代だった778名のうち、53.1%が「社内での評価が上がった」と回答しました。このほか「年収が上がった」19.7%、「良い条件で転職した」14.9%、「昇進した」11.4%などの回答もありました。
※複数回答。CIA取得と各変化の因果関係を示すものではなく、合格者が回答した「合格後の変化」の集計です。
| 合格後の変化 | 回答割合 |
|---|---|
| 社内での評価が上がった | 53.1% |
| 年収が上がった | 19.7% |
| 良い条件で転職した | 14.9% |
| 昇進した | 11.4% |
| 希望部署へ異動した | 9.3% |
関連ページ:CIA(公認内部監査人)の取得メリット・キャリアを詳しく見る
内部監査の専門性は、監査手続の知識だけでは完成しません。企業を取り巻くリスクが複雑になるほど、複数の領域をつないで判断する力が重要になります。これからの内部監査・ガバナンス人材には、次の5つの力が求められます。
内部監査の土台となるのは、組織の目的、リスク、コントロールを結びつけて考える力です。個別の不備だけを見るのではなく、その問題がどの経営目標やリスクに関係しているのかを理解する必要があります。CIAは、この土台を体系的に学ぶ資格の一つです。
有効な監査を行うには、監査対象部門の業務プロセスや収益構造、会計、組織上の役割を理解することが欠かせません。業務を知らずにチェックリストだけで監査すると、本質的なリスクを見落とす可能性があります。
多くの業務がシステムやデータに依存する現在、ITは一部の専門部署だけのテーマではありません。アクセス権限、委託先管理、サイバーセキュリティ、データ活用、生成AIなどを経営リスクとして捉える視点が必要です。IT監査の専門性を深める場合はCISAが有力な選択肢になります。
企業不祥事の背景には、ルールそのものだけでなく、組織風土、目標への過度なプレッシャー、権限の集中、牽制不足などが関係する場合があります。表面的な手続だけでなく、「なぜこの状態が起きたのか」を考え、不正の兆候や組織文化まで見る視点が重要です。不正領域を専門化したい場合はCFEの学習が役立ちます。
内部監査で見つけた課題をそのまま列挙するだけでは、組織は動きません。現場の事象を経営上のリスクへ翻訳し、相手の立場を踏まえて建設的に伝える力が必要です。
内部監査人には、独立性・客観性を保ちながら、経営陣や事業部門、第2ラインと適切に対話し、改善につなげるコミュニケーションが求められます。
内部監査の専門性を高めることは、「内部監査部門の中だけでキャリアを築く」ことと同義ではありません。
企業不祥事、不正、サイバーリスク、AI活用など、経営が向き合うリスクは複数の領域にまたがっています。こうした環境では、内部監査・内部統制の視点だけでなく、ITや不正対策などの知見を組み合わせ、組織全体のリスクを俯瞰できる人材の価値が高まります。
アビタスでは、CIA・CISA・CFEなどの知見を掛け合わせ、経営をガバナンスの面から支える人材像を「ガバナンス・プロフェッショナル」と位置づけています。
重要なのは、複数の資格を集めることではありません。自分のキャリアや担当領域に応じて、必要な専門性を追加していくことです。
関連ページ:ガバナンス・プロフェッショナルについて詳しく見る
| 組み合わせ例 | 専門性 | 活かし方 |
|---|---|---|
| CIA+CISA | 内部監査・内部統制 × ITガバナンス・IT統制 | サイバー、システム、データを含む全社リスクを見る |
| CIA+CFE | 内部監査・統制環境 × 不正リスク・倫理 | 不正防止、内部通報、組織文化を含めて考える |
| CISA+CFE | IT統制 × 不正調査 | アクセス権限、ログ、取引データ等からデジタル不正を捉える |
| CIA+CISA+CFE | 監査 × IT × 不正 | 複数のリスク領域を横断し、ガバナンス全体を支える |
内部監査の経験を積み、資格学習によって専門性を高めると、キャリアは内部監査部門の中だけに限定されません。リスクを俯瞰し、ガバナンスや内部統制を理解する力は、さまざまな職種で活かすことができます。
内部監査人、シニア監査人、監査マネージャー、内部監査部門長など、内部監査そのものを専門職として深めるルートです。グローバル企業や海外子会社を含む監査、テーマ監査、データ分析など、経験に応じて専門領域を広げることもできます。
内部監査で身につけたリスク評価やコントロールの知識は、第2ラインの業務とも親和性があります。リスク管理、コンプライアンス、内部統制、情報セキュリティ、ITガバナンスなどへキャリアを広げる選択肢があります。
内部監査を経験すると、複数部門の業務や組織全体の課題を見る機会が増えます。その経験を経営企画や事業部門へ持ち帰り、事業戦略とリスク管理の両面から意思決定を支えるというキャリアも考えられます。
内部監査、IT監査、不正対策、内部統制などの専門性を活かし、他社の監査・リスク部門、IPO準備企業のガバナンス部門、コンサルティング会社などへ活躍の場を移す選択肢もあります。
さらに経験と実績を重ねることで、将来的に経営幹部、監査役、社外役員など、経営を監督・支援する立場を目指す道も考えられます。
関連ページ:ガバナンス・プロフェッショナルのキャリア例を見る
資格選びで迷った場合は、「一番難しい資格」ではなく、「今の仕事と次に伸ばしたい専門性」で選ぶと整理しやすくなります。
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 内部監査へ配属された/内部監査を幅広く学びたい | CIA |
| IT・システム・サイバー領域を強くしたい | CISA |
| 不正対策・調査・コンプライアンスを深めたい | CFE |
| リスク・マネジメントのアシュアランスを深めたい | CRMA |
| 国内で内部監査を体系的に学びたい | 内部監査士 |
| 情報システム監査を国内カリキュラムで学びたい | 情報システム監査専門内部監査士 |
| 金融機関の内部監査に特化したい | 金融内部監査士 |
| IPO・内部統制の構築・運用に携わる | IPO・内部統制実務士 |
内部監査の業務そのものに特定の資格は必須ではありません。しかし、資格学習は、内部監査・ガバナンス・リスク・IT・不正などの知識を体系的に学び、自身の専門性を磨く有効な方法です。
内部監査を専門性の中心に据えるなら、まずCIAが有力な選択肢です。そのうえで、IT領域を伸ばすならCISA、不正対策ならCFE、リスク・マネジメントならCRMAというように、自分の業務やキャリアに応じて専門性を広げていくとよいでしょう。
内部監査で身につく組織全体を俯瞰する視点は、内部監査部門だけでなく、リスク管理、コンプライアンス、内部統制、ITガバナンス、経営企画などでも活かせます。資格を「取得して終わり」にせず、どの課題を解決できるプロフェッショナルになりたいかという視点で活用することが重要です。
内部監査全般を体系的に学び、専門性を証明したい場合はCIAが代表的な選択肢です。ただし、IT監査を中心にするならCISA、不正対策ならCFEなど、担当領域によって適した資格は変わります。
CIAは内部監査、ガバナンス、リスク、コントロールを幅広く扱う資格です。CISAは情報システム監査、ITガバナンス、情報資産保護などIT領域を中心に扱います。内部監査全般を軸にするか、IT監査を専門化するかで選ぶとよいでしょう。
CIAは内部監査全般を扱うのに対し、CFEは不正の防止・発見・調査・抑止を専門領域とします。不正リスクや内部通報、調査業務に関わる場合はCFEの知識が活かしやすくなります。
未経験から学習を始めることは可能です。ただし、CIAなど資格によっては認定に実務経験などの要件があります。受験・認定条件は各資格の最新公式情報を確認してください。
関連ページ:CIAの受験資格・認定要件を確認する
必ずしも複数取得する必要はありません。まず自分の専門領域を定め、業務上必要になった領域を追加していく考え方がおすすめです。内部監査を軸にITや不正まで横断したい場合には、複数資格の知識を組み合わせることで対応できるリスク領域を広げられます。
関連ページ:ガバナンス・プロフェッショナルについて詳しく見る
はい。内部監査で学ぶリスク評価、内部統制、ガバナンス、業務プロセスの理解は、リスク管理、コンプライアンス、内部統制、経営企画などでも活かせます。資格名だけでなく、学んだ知識をどの業務課題に活用できるかが重要です。
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