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  • 2023/01/25公開

内部監査に役立つ資格とは?CIAなど10資格の詳細や必要なスキルを紹介

内部監査に役立つ資格とは?CIAなど10資格の詳細や必要なスキルを紹介

内部監査は、業務上の不正防止や効率化を目的として実施されます。近年、企業の不正や資産の私的流用などが報道されることが多く、内部監査を実施する企業も増えてきました。

内部監査を実施する際、必ずしも資格取得は必要ありません。そのため、内部監査を実施する上でどうして資格取得者が必要なのか分からないという声も多く聞かれます。

本記事では、内部監査に資格が必要か、また、内部監査に関連する10個の資格や必要なスキルについて詳しく解説します。内部監査の実施や資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次
内部監査に資格は必要か
内部監査の資格なら「公認内部監査人(CIA)」をまずチェック
その他の内部監査の資格
内部監査の資格を取るメリット
内部監査において必要とされるスキル
内部監査のキャリアパスと将来性
内部監査を実施するなら資格取得を検討しよう

内部監査に資格は必要か

内部監査の実施において資格は必要でしょうか。ここでは、内部監査における資格の必要性について解説していきます。

資格がなくても業務はできる

基本的に、資格がない場合でも内部監査の業務を行うことは可能です。 しかし、資格は知識やスキルを客観的に証明できます。

経験だけに頼らない、内部監査の体系的知識を押さえることで社内からの評価が上がるだけでなく、取引相手からも「個人として」信頼を獲得しやすいのが利点といえるでしょう。

内部監査の資格なら「公認内部監査人(CIA)」をまずチェック

CIAとは公認内部監査人(Certified Internal Auditor)の略称で、内部監査に関する知識や能力を証明できる資格のことです。資格認定試験に合格し、実務経験などの要件を満たすと取得できます。

資格認定試験を実施している国や地域は190ほどにのぼり、内部監査人の能力を証明する唯一の国際的な資格です。 内部監査の業務に精通した人材として客観的に能力を証明できるため、経営者から信頼を獲得できるでしょう。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「IIA認定国際資格|CIA:Certified Internal Auditor(公認内部監査人)」

CIAのメリット

CIA資格取得による主なメリットは次の3つです。

  • 内部監査の知識をはじめ、幅広いビジネス知識を得られる
  • 会社ではなく個人として、国内・海外で能力を証明できる
  • 内部監査だけでなく、経営幹部としてもキャリアアップが狙える

内部監査の知識を体系的に学ぶことで、経験だけでなく国際基準に則った監査ができます。加えて、資格取得の過程で幅広い知識が得られるでしょう。

資格認定試験の出題範囲は幅広く、内部監査だけでなく、財務や会計などビジネスに必要な知識も求められます。経営幹部に求められる知識を習得できることから、経営幹部へのキャリアアップとしても有効です。

また、CIAは世界約190の国・地域で有効な資格です。そのため、日系企業だけでなく外資系企業の内部監査部門への配属や転職を目指せるのはもちろん、世界各国で能力を証明できます。

CIA資格取得者による内部監査の実施は、企業にとって正当性のアピールにつながるため、転職においても優遇されやすいという点はメリットといえるでしょう。

難易度

資格取得の合格率は非公開であるため、正確な難易度の紹介は難しいのが現状です。 あくまで目安ですが、認定試験には3つの科目があり、各科目の合格率は35〜40%、全ての科目の合格率は10%前後と予測されます。

過去問題や解答が公開されていないため、試験内容の情報収集は困難です。

また、先述したように、内部監査に関してだけでなく財務や会計などの幅広い知識が求められるため、独学での合格は難しいといえるでしょう。

関連記事:アビタス CIA「公認内部監査人は独学で合格できる? 独学とスクールのメリットを解説」

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その他の内部監査の資格

CIAの他にも、内部監査に関する資格は多くあります。

  • 公認情報システム監査人(CISA®)
  • 公認不正検査士(CFE)
  • 公認リスク管理監査人(CRMA®)
  • 内部統制評価指導士(CCSA)
  • 内部監査士(QIA)
  • 情報システム監査専門内部監査士
  • 金融内部監査士
  • IPO・内部統制実務士
  • ISO内部監査員資格

9つの内部監査の資格について詳しく見ていきましょう。

公認情報システム監査人(CISA®)

公認情報システム監査人(Certified Information Systems Auditor;CISA®)は、情報システムの監査およびセキュリティやコントロールにおける専門的な知識を有していることを認定する国際資格です。

国家資格ではありませんが、アメリカのISACAが認定する歴史のある国際標準資格であり、国際的に認知されています。 近年、企業のDX化が進み、最高情報責任者を設置する企業も増えています。

CISA®資格を取得していれば、最高情報責任者に必須の情報システム監査に関する知識があることが証明できるため、需要のある資格だといえるでしょう。

関連ページ:アビタス CISA®「公認情報システム監査人(CISA®) とは?資格の概要や魅力を解説」
参照:ISACA東京支部「ISACAの資格|CISA®」

公認不正検査士(CFE)

公認不正検査士(Certified Fraud Examiner;CFE)は、不正の防止・発見・抑止の専門家であることを認定する国際資格です。

組織の内側と外側で発生する不正から企業を守る役割を持ちます。 日本では、CIAとあわせて取得する方が増えています。

不正対策の重要性が高い金融や保険などの業種において、管理職の必須資格や優遇資格としている企業もあります。

関連ページ:アビタス CFE「CFE(公認不正検査士)とは? 資格の概要や魅力について解説」
参照:一般社団法人日本公認不正検査士協会「CFE(公認不正検査士)について|CFE(公認不正検査士)の概要」

公認リスク管理監査人(CRMA®)

公認リスク管理監査人(Certification in Risk Management Assurance;CRMA®)は、内部監査人やリスクマネジメントの分野における専門的な能力を認定する資格です。

2024年5月時点では英語受験のみのため、資格取得には一定以上の英語力が求められます。そのため、資格取得者は、内部監査人の能力と英語力のあることの証明にもつながります。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「IIA認定国際資格|CRMA®」

内部統制評価指導士(CCSA)

内部統制評価指導士(The Certification in Control Self-Assessment)は、内部統制の自己評価に関する専門性を認定する資格です。

内部統制とは、企業が目標を達成するために経営者や社員が実行する全ての工程を指します。

事業の現場責任者に対し内部統制やリスクの知識を共有し、スムーズに目標を達成させるのが内部統制評価指導士の役割です。

なお2018年8月21日と2019年4月15日の改訂で、CCSAはCRMAに統合されました。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「CCSA(内部統制評価指導士):組織体のスタッフの能力向上に資する重要な鍵」
参照:一般社団法人日本内部監査協会「IIA専門資格」

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内部監査士(QIA)

内部監査士(QIA)とは、日本内部監査協会が認定する称号です。 取得するためには、日本内部監査協会が主催している内部監査士認定講習会を修了する必要があります。

QIAと呼ばれることもありますが、本資格は国内資格となり、英文名称は設定されていません。

講習会は、業務経験などの条件を満たした場合のみ受講可能です。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査士|日本内部監査協会認定講習会」

情報システム監査専門内部監査士

情報システム監査専門内部監査士は、日本内部監査協会が主催している情報システム監査専門内部監査士認定講習会を修了した方に与えられる称号です。

講習会では、内部監査で求められる情報システム監査やセキュリティ管理、個人情報保護の知識などを学習します。

内部監査業務の実務経験があるなどの条件を満たした場合のみ、講習会を受講可能です。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査士|情報システム監査専門内部監査士」

金融内部監査士

金融内部監査士は、金融機関の内部監査に関する知識や技能を証明する称号で、検査・監査業務に携わる金融機関職員向けのものです。

日本内部監査協会が指定する団体等が実施している認定講座の修了者に与えられます。 2024年5月現在、認定講座は経済法令研究会が開講している次の2つのコースのみです。

  • 金融内部監査士養成コース
  • 金融内部監査士養成コース【保険版】

コースを修了し、登録申請(有料)を行うと、金融内部監査士の称号が授与されます。

関連記事:アビタス CIA「金融内部監査士の取得方法やCPE報告書、他資格との違いを解説」
参照:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査士|金融内部監査士」

IPO・内部統制実務士

IPO・内部統制実務士は、内部統制の基礎知識と実務能力を備えた人材を認定する資格です。日本経営調査士協会が主催し、企業における内部統制の構築と運用を適切に実施する能力を評価します。

主な受験対象者は次の通りです。

  • 上場予定企業等のIPO担当者
  • 企業の企画、経理、法務、監査、総務、内部監査の担当者や部門長・役職者
  • コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、自己査定、内部統制の担当者や管理者
  • 法務、会計、ITなどの国家資格者で上場や内部統制へ職域を拡大させたい方
  • 上級IPO実務士、上級内部統制実務士を目指している方

試験は例年、年に2回実施されており、会場は東京と大阪の2カ所となります。IPOと内部統制の2つの分野があるため、出題範囲が広いのが特徴です。

関連記事:アビタス CIA「IPO・内部統制実務士資格とは|難易度や合格率、勉強時間を解説」
参照:一般社団法人日本経営調査士協会「IPO内部統制実務士 資格制度の概要」

ISO内部監査員資格

ISO内部監査員資格とは、ISOの内部監査を行う監査担当者が保有しておくと役立つ資格です。一般財団法人日本要員認証協会マネジメントシステム審査員評価登録センターにおいて、内部監査員として認定をうけ、登録を受けることが必要です。

ISOの内部監査員とは、社内のマネジメントシステムがISO規格に適合しているか、システムは有効であるかを確認する役割です。資格取得者は、ISO内部監査員としての力量が担保できているとみなされます。

ISOのコンサルティング会社や研修機関、認証機関などが主催している内部監査員認定講座などを受講することで、資格取得が可能です。

オンライン講座やセミナー、集合研修など、複数のタイプがあり費用も異なります。社内教育を行い自社で認定することも可能です。

内部監査の資格を取るメリット

CIAをはじめとした内部監査に関連した資格を取るメリットは、大きく2つあります。 ここでは、資格取得のメリットについて詳しく見ていきましょう。

知識の証明ができる

資格取得によって、内部監査に関する一定以上の知識やスキルを持っていることを証明できるのが大きなメリットです。 経験年数だけで能力を証明するのは困難です。

また、資格は業務関係者に知識を証明する手段でもあり、組織の内外から信頼を獲得できます。

転職活動やキャリアアップで有利になる

転職活動では内部監査の実務経験が評価されるのが前提ではあるものの、資格はさらなるアピールポイントになるでしょう。

近年、リスクマネジメントの観点から内部監査を実施している企業は少なくありません。

2006年の会社法改正によって、大会社では内部統制システムの構築が義務づけられ、内部監査部門の設置が必須になりました。そのため、内部監査を専門とする人材の需要は多いといえるでしょう。

また、資格取得によって社内で評価を得られる可能性もあります。内部監査の資格が昇給や昇格の基準として用いられるケースもあるため、効率的なキャリアアップの実現に有利と言えます。

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内部監査において必要とされるスキル

内部監査は、企業の健全性やリスク管理などを広く見渡す重要な役割を担っています

先述したように、内部監査を行う際には、特定の資格は必要ありません。しかし、一定のスキルや専門的な知識がなければ、効果的な内部監査の実施は困難でしょう。

内部監査において必要とされるスキルは次の4つです。

  • 内部統制や監査に関する知識
  • 俯瞰的な観察力・洞察力
  • 経営目線の提案力
  • タフなコミュニケーションスキル

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

内部統制や監査に関する知識

内部監査を担当する際には、内部統制や監査手続きに関する知識が欠かせません。加えて、金融商品取引法や会社法をはじめとした関連法令を理解し、適切な監査計画や監査報告書を作成する能力が求められます。

また、日本内部監査協会による「内部監査基準」などの内部監査の規範への深い理解も必要です。

そのため、効果的な内部監査を実施するには、内部統制と監査に関する知識は必須といえます。

関連記事:アビタス CIA「内部監査基準とは?「独立性」と「客観性」を中心に解説」

俯瞰的な観察力・洞察力

内部監査では、監査対象となる部署の現場を実際に観察し、課題や改善点がないかを確認します。

単に書類をチェックするだけでなく、業務の流れや手順、職場の雰囲気など、現場での具体的な状況を的確に捉えることが大切です。

対象部署単体だけでなく、組織全体を理解し部署の役割を把握するためにも、俯瞰的な観察力が求められます。

業務フローに不合理や非効率な点はないかという視点も必要です。現場を俯瞰して課題を見つけ出す洞察力を持つことで、より実効性のある提案や指導ができるでしょう。

経営目線の提案力

内部監査の結果は、取締役会や最高経営者に報告します。報告内容に説得力を持たせ信頼を得るためには、改善を経営者目線で考え、提案できる力が必要です。

経営層は限られた情報の中から迅速な意思決定を求められる立場です。単なる監査報告にとどまらず、経営者目線の提案力を持ち合わせておくことで、経営層がリスクを適切に評価できるようになります。

その結果、戦略的な意思決定が実現し、企業の成長と発展に寄与することにもつながるといえるでしょう。

タフなコミュニケーションスキル

組織内には内部監査の必要性を理解していない人も存在します。また、監査では現状の問題点を指摘するため、感情的な反応や防衛的な態度に出る人もいるでしょう。そういった人々から反論や非難を受けることもあります。

こうした場面においても、内部監査人は論理的かつ建設的なコミュニケーション力を発揮し、最終的には相手に理解してもらうよう努めなければなりません。その実現のためには、知識だけでなくタフなコミュニケーションスキルも必要だといえるでしょう。

内部監査のキャリアパスと将来性

内部監査は、企業の健全な経営を維持し、様々なリスクを適切に管理する上で欠かせない役割を担っています。内部監査を担う人材には、高い専門性と多様なスキルが必要です。

内部監査員としてのスキルや資格を身につけた場合、将来的にはどのようなルートを目指せるか、気になる人もいるでしょう。

ここでは、以下の2点について紹介します。

  • キャリアパス
  • 将来性

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

キャリアパス

一般的に想定される内部監査のキャリアパスとして、2つのルートがあります。

1つは、社内で昇進し、内部監査室長や経営陣を目指すルートです。企業によっては、内部監査が経営幹部になるためのステップの一部になっているケースもあります。

もう1つは、転職などでキャリアアップを目指すルートです。他社の内部監査部門の他、コンサルティング企業、監査法人などへの転職で、新たなキャリアが見いだせます。

転職する場合は、内部監査で身につけた専門性を活かせるところを選択しましょう。

将来性

2006年の会社法改正により、大会社などでは内部統制システムの構築が義務化されました。上場企業においても内部統制の整備は必須で、企業と内部監査は切り離せない存在になっています。

汚職事件などの不祥事やシステム不具合による業務一時停止をはじめ、様々な企業リスクの発生および顕在化の報道が後を絶ちません。

リスクマネジメントを含め、企業の健全な経営を支える上で、内部監査の役割と必要性は今後も続くことが予想されています。

つまり、内部監査に関する専門的なスキルと知識を有する人材の需要は確実に増加すると見込まれているのが現状です。

そのため、内部監査員の将来性は高く、需要のある仕事といえるでしょう。

内部監査を実施するなら資格取得を検討しよう

内部監査の実施に資格は必ずしも必要ではありません。

しかし、資格を取得すると、客観的に内部監査についての専門的な知識があることを証明できます。場合によっては、転職活動やキャリアアップの際に資格を取得していることが役に立つこともありえます。

また、資格の勉強によって、内部監査の知識が体系的に習得可能です。内部監査に関する資格には様々なものがあります。 特にCIA(公認内部監査人)は、内部監査人の能力を証明できる唯一の国際資格です。

内部監査の実務に携わる方は、知識の証明やキャリアアップにつなげるために内部監査関連の資格取得を検討してみましょう。

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