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  • 2023/12/13公開

内部監査基準とは?「独立性」と「客観性」を中心に解説

内部監査基準とは?「独立性」と「客観性」を中心に解説

組織において内部監査が効果的に行われるためには「独立性」や「客観性」が重要であると言われています。では、内部監査における独立性と客観性とはどういった意味を持つのでしょうか。

本記事では、内部監査基準等を参考に、内部監査における独立性と客観性について分かりやすく解説します。

目次
内部監査基準とは
内部監査基準における「独立性」と「客観性」とは
内部監査基準における「独立性」
内部監査基準における「客観性」
内部監査基準の独立性と客観性に関連する事項
内部監査では「独立性」と「客観性」を保つことが大切

内部監査基準とは

内部監査基準とは、内部監査が組織の運営に効果的に役立つことを目的として、基本原則や監査手順などを明示した基準のことであり、日本内部監査協会が公表しています。

内部監査人の在り方については、次のような観点が明示されています。

  • 持つべき資質と独立性
  • 組織体の各部門に対する在り方
  • 組織体に対する他の監査との関係性

内部監査人は、上記観点を踏まえ内部監査基準に示されている内容が実施可能であり合理的かを判断し、自身の客観性を保持して内部監査を実施することが重要となります。

今回は、内部監査における「独立性」と「客観性」に焦点を当て、解説していきます。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査基準」

内部監査基準における「独立性」と「客観性」とは

内部監査の国際的機関であるIIA(内部監査人協会:The Institute of Internal Auditors)が公表する「内部監査の専門職的実施の国際基準」では次のように明示されています。


“内部監査部門は、組織上独立してなければならず、内部監査人は、内部監査の業務(work)の遂行に当たって客観的でなければならない”

引用:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査の専門職的実施の国際基準 属性基準」p.4

では、内部監査における独立性と客観性とはどのような意味を持つのでしょうか。

内部監査基準における「独立性」

「内部監査の専門職的実施の国際基準」では独立性について次のように説明しています。


”独立性とは、公正不偏な仕方で内部監査の職責を果たすに当たり、内部監査部門の能力を脅かす状態が存在しないことである”

引用:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査の専門職的実施の国際基準 属性基準」p.5

公正不偏とは、公平で正しく、かつ、偏りがなく客観的である様を意味します。

組織上の独立性

組織上の独立性を保つ方法として、内部監査部門は代表取締役直轄の部門として、他の部門から独立している状態が適切と言われています。

内部監査部門を最高経営者直属の部門にすることで、他部門の指揮命令系統から外れ、不必要な干渉を排除でき、内部監査で最も重要な独立性を確保することが可能です。

独立性を脅かす脅威

「独立性を脅かす脅威」とは、内部監査活動への妨害や威嚇、協力を拒むといった行為を指します。例えば「不正を報告したら会社がつぶれるぞ」「言うことを聞け」など明らかな妨害だけでなく、「忙しいから資料は出せない」などの発言も含まれます。

このような脅威から内部監査部門の独立性を保つために、組織としての独立性が重要になります。

内部監査基準における「客観性」

「内部監査の専門職的実施の国際基準」で示されている「客観性」の意味は次の通りです。


”客観性とは、内部監査人の公正不偏な精神的態度であり、客観性があることにより、内部監査人は、自己の業務(work)の成果を真に確信し、かつ品質を害さない方法で、個々の業務を遂行することができる。客観性は、内部監査人に対して、監査上の諸問題に関する判断を他人に委ねないことを求めている”

引用:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査の専門職的実施の国際基準 属性基準」p.5

つまり、内部監査における客観性とは「公正不偏な態度を保持すること」だといえます。

「個人の客観性」とは

内部監査人が個人の客観性を保つためには、公正不偏の態度を保持するだけでなく、利害関係を持たないようにする必要があります。

例えば、内部監査人としての利益と自身の経済的な利益を比較し、後者を選択してしまうようでは、適正な内部監査を行うことはできません。

参照:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査の専門職的実施の国際基準 属性基準」p.6

客観性を脅かす脅威

客観性を脅かす脅威の具体例として以下のようなものが挙げられます。

  • 内部監査人が異動前に在籍していた分野の監査を実施する
  • 内部監査人の親族や友人が在籍する分野の監査を実施する
  • 内部監査人が以前の監査結果や個人的な経験だけに基づき、証拠もなくリスクを有効に低減していると考える
  • 内部監査人が上位者などの他者から不当な影響を受け、適切な根拠もなく、計画していた手法や結果を修正する

また、内部監査の評価内容が報酬に影響を与えるような場合、正しい評価報告を躊躇することにつながり、個人の客観性に対し著しく悪影響を与えるとされています。

参照:The Institute of Internal Auditors「International Professional Practice Framework」P29

内部監査基準の独立性と客観性に関連する事項

内部監査基準には、独立性と客観性を保持するための事項がいくつか設けられています。ここでは、以下の3つについて紹介します。

  • 独立性・客観性が損なわれる場合の報告
  • アシュアランス業務への制約
  • アドバイザリー業務への客観性の保持

参照:一般社団法人日本内部監査協会「内部監査基準」

独立性・客観性が損なわれる場合の報告

内部監査基準では独立性・客観性が損なわれる場合の報告について次のように明示されています。


”内部監査部門長は、独立性または客観性が損なわれていると認められる場合には、その具体的な内容を、喪失の程度に応じて、最高経営者その他の適切な関係者に報告しなければならない”

独立性または客観性が損なわれる場合、部門の上司や組織のトップにある代表取締役などに相談し、場合によっては監査人の変更などを行わなければなりません。

アシュアランス業務への制約

アシュアランス(保証)業務とは内部監査業務の一部であり、組織体のガバナンスやリスク・マネジメントおよびコントロールの各プロセスについて独立的な視点から意見を提供する業務です。

アシュアランス業務への制約として、次のように明示されています。

  • 内部監査人は、以前に責任を負った業務について、特別のやむを得ない事情がある場合を除き、少なくとも1年間は、当該業務に対するアシュアランス業務を行ってはならない
  • また、内部監査部門長が兼務している内部監査以外の業務に対するアシュアランス業務は、内部監査部門以外の者の監督下で実施されなければならない

しかし、企業の規模により、独立した部門や専任の担当者を設置できないケースもあります。そういった場合は兼任の内部監査担当者を設置し、異なる2つの部門が互いに監査を行う「クロス監査」を実施することを推奨しています。

参照:内部監査人協会(IIA)情報/CBOK調査結果(CBOK利害関係者レポート)「アシュアランスおよびコンサルティング業務における最適なバランスについて」

アドバイザリー業務への客観性の保持

アドバイザリー業務とは、経営層に対し企業の発展や経営基盤の強化に関するアドバイスをしたり、クライアントが直面している課題に対し解決策を提案し実行支援をしたりする業務です。

アドバイザリー業務への客観性を保持するために、内部監査基準では次のように明示されています。


”内部監査人は、以前に責任を負っていた業務についてのアドバイザリー業務を実施することはできる。ただし、この場合であっても、客観性が保持されないと認められるときは、事前に依頼部門に対してその旨を明らかにしなければならない”

内部監査人が過去に在籍していた部門へのアドバイザリー業務を行うこと自体は可能です。ただし、客観性を保持することが大前提となります。

内部監査では「独立性」と「客観性」を保つことが大切

内部監査では、公正不偏な方法で内部監査の職責を果たすために、独立性と客観性を保つことが大切です。

独立性を保持するためには、内部監査活動への妨害や威嚇行為などの脅威を防ぐ必要があるため、内部監査部門を最高経営者直属の部門として設置するのが有効です。

客観性を保持するためには、関係者との利害関係を持つことを避けるようにしましょう。

また、日本内部監査協会が提示している内部監査基準では、独立性および客観性を保持するために、最高経営者その他適切な関係者への報告やアシュアランス業務への制約などが明示されています。

内部監査を実施するためには、独立性と客観性を保持しながら、様々な脅威に対し柔軟に対応する必要があります。

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