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  • 2023/12/13公開

内部監査部門の独立性やガバナンスとは? 取締役会・最高経営者の役割も解説

内部監査部門の独立性やガバナンスとは? 取締役会・最高経営者の役割も解説

内部監査において、その独立性は重要なポイントの1つです。また、取締役会・最高経営者・内部監査部門長が連携を進め、それぞれの責任を果たすことも欠かせません。

本記事では、内部監査人協会(IIA)が2024年に公表した「グローバル内部監査基準」のドメインⅢ「内部監査部門のガバナンス」を中心に、内部監査部門に求められる独立性や、それぞれの立場の定義、その役割などを解説します。

参照:内部監査人協会(IIA)「グローバル内部監査基準™︎

目次
取締役会・最高経営者・内部監査部門長の定義
原則6「取締役会の承認」
原則7「独立した位置づけ」(内部監査部門の独立性)
原則8「取締役会による監督」
内部監査部門の独立性のためにそれぞれの役割を理解しよう

取締役会・最高経営者・内部監査部門長の定義

まず、立場ごとの定義を見ていきます。

立場 定義
取締役会 ● ガバナンスを担う最上位機関
最高経営者 ● 戦略的意思決定を行う場合、取締役会に対し、最終的な責任を取る立場
● 企業全体において、最上位に位置する経営幹部
内部監査部門長 ● 内部監査部門の管理を行い、高品質な成果を確実に実行する責任を負う指導的役割

従来あいまいだった取締役会の定義が、ここでは明確に示されています。

ここでのガバナンスとは、企業や組織が目標達成を目指すために、組織体の活動に関する情報の提供や指揮、管理やモニタリングについて、取締役会がプロセスと組織構造を併せて実施することを意味します。

関連記事:アビタス CIA「ガバナンスの意味や強化方法、コンプライアンスとの違いなどを解説」

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原則6「取締役会の承認」

本原則では、取締役会が内部監査部門の負託事項を設定、承認、支援する立場であり、内部監査部門が負託事項を受ける立場であることが明記されています。

各基準における立場ごとの権限や役割、責任について、1つずつその内容を紹介します。

内部監査への負託事項に関する各役割

ここでの立場ごとの役割は、以下のとおりです。

立場 役割
取締役会 ● 業務を遂行するために内部監査部門に必要な権限や役割、責任を協議する
● 内部監査基本規程の承認を行う
最高経営者 ● 内部監査部門に与えられた権限を社内に周知させる
● 負託事項に対し、企業全体で援助を行う
内部監査部門長 ● 取締役会や最高経営者が内部監査業務の範囲などを決定するためのサポートを行う
● 内部監査基本規程に負託事項を明記する
● 取締役会や最高経営者の負託事項の策定において必要な情報を提供する

内部監査基本規程に関する各役割

ここでの立場ごとの役割は以下のとおりです。

立場 役割
取締役会 ● 記載すべき内容を協議したうえで承認する
● 内部監査部門長とともに必要に応じて内容を見直す
最高経営者 ● 規程に含めるかどうかを検討すべき経営管理者の期待事項について共有を進める
内部監査部門長 ● 規程の作成および維持の遂行
● 内部監査部門への理解と期待が規程に反映されていることを取締役会と最高経営者と協議し確認する

内部監査基本規程には、内部監査の目的や、グローバル内部監査基準を遵守するためのコミットメント、組織上の位置づけと指示・報告関係の明記も必要です。

取締役会と最高経営者の支援の内容

それぞれの立場による、内部監査部門などへの支援の詳細は以下のとおりです。

立場 支援の内容
取締役会 ● 目的を達成できるようなサポートの実施
● 必要なデータにアクセスできる環境の整備
● 内部監査部門長との定期的・直接的なコミュニケーションによるサポート
最高経営者 ● 企業や組織内における認識の援助
● 取締役会との連携による、内部監査部門の必要なデータへのアクセス環境の整備

内部監査部門長についても、企業全体の内部監査部門への認識のために、上記の両者への必要な情報の提供が求められます。また、内部監査部門による取締役会とのコミュニケーションについて、最高経営者とともに調整します。

原則7「独立した位置づけ」(内部監査部門の独立性)

本原則では、取締役会が内部監査部門の独立性と適格性を確立し、保護しなければならないことが明記されています。

「独立性」の定義は以下のとおりです。

”内部監査部門が公正不偏な仕方で内部監査の職責を果たす能力が侵害されるかもしれない状況が存在しないこと”

ここからは、立場ごとに求められている内容などを基準ごとに解説します。

組織上の独立性

ここでの立場ごとの役割は、以下のとおりです。

立場 役割
取締役会 ● 内部監査部門長や内部監査部門との関係性を構築する
● 内部監査部門長を、経営管理者によって干渉されずに業務を遂行できるようなレベルに位置づける
● 内部監査部門が干渉されない環境を最高経営者とともに整備する
最高経営者 ● 取締役会の指示に従い、内部監査部門をあらゆる干渉のない環境で業務を遂行できるレベルに位置づける
● 取締役会と内部監査部門長との適切な関係の維持をサポートする
内部監査部門長 ● 内部監査部門が独立している立場であることを年に1回は取締役会に確認する
● 業務遂行において独立性を保てないような事柄があれば、取締役会や最高経営者と協議する

内部監査部門が不当な干渉を受けない環境で業務を進めるためには、内部監査部門長が取締役会に直接的に指示・報告を行う関係の確立が求められます。

内部監査部門長の適格性

ここでの立場ごとの役割は、以下のとおりです。

立場 役割
取締役会 ● 内部監査部門長が、部門の管理のために求める内容を検討する
● 内部監査部門長に求める役割と責任を承認する
● 内部監査部門長について、その責任への適格性や、経験やスキルの有無を判断したうえで、任命を行う
最高経営者 ● 内部監査部門長に求められる適格性、専門的な知識やスキルを取締役会とともに決定する
● 企業の人事プロセスを通して、内部監査部門長の任命や配置を進め、育成や報酬の決定を行う
内部監査部門長 ● 部門を管理するために必要なスキルや能力に関して、取締役会の理解を得られるように努める
● 取締役会が期待する役割と責任を果たすために求められる専門的能力や適格性を維持、向上させる

原則8「取締役会による監督」

取締役会は、内部監査部門の有効性を確保するための監督も行います。

ここでは、本原則における4つの基準を解説します。

取締役会との対話

内部監査部門長は、取締役会が内部監査部門を監督するために必要な情報を提供します。例えば、内部監査の計画や予算、それらに関する重大な修正や、独立性を侵害する可能性のある事柄などがあれば、取締役会や最高経営者へ報告を行います。

取締役会の監督を援助するためにも、コミュニケーションと情報伝達が欠かせません。

監査資源

「監査資源」とは、内部監査の業務遂行に必要な人材やスキル、コストなどを指します。

立場ごとに必要な役割は以下のとおりです。

立場 役割
取締役会 ● 十分な監査資源を提供するため、最高経営者と協働する
● 内部監査資源が人数と能力の面で十分かどうかを最低でも年に1回、内部監査部門長と話し合う
最高経営者 ● 監査資源が不足しないように、取締役会と連携する
● 監査資源の不足といった問題解決のために、取締役会と内部監査部門長と協働する
内部監査部門長 ● 内部監査資源が不足していないかを評価する
● 不足している場合、監督資源の確保に向け戦略を立て、対処方法を取締役会に報告する

品質

内部監査部門長には、品質のアシュアランスと改善のプログラムの策定や実施、維持が求められます。

プログラムには「外部評価」「内部評価」の2種類が含まれます。外部評価は、完了時にその結果の報告が行われます。

内部評価は、最低でも年に1回、取締役会と最高経営者にその結果を報告しなければなりません。

品質の外部評価

内部監査部門長は、品質の外部評価の計画を策定し、取締役会と議論しなければなりません。

外部評価は、適格性および独立性のある評価者・評価チームにて実施されます。この選定では、有効なCIA(公認内部監査人)の称号を持つ者が最低でも1名必要とされます。

外部評価からの要求事項は、独立した検証に沿った自己評価によっても満たすことができます。

外部評価は最低でも5年に1回は実施する必要があることも覚えておきましょう。

内部監査部門の独立性のためにそれぞれの役割を理解しよう

本記事では、内部監査部門の独立性や、取締役会・最高経営者・内部監査部門長の役割などを解説しました。

ドメインⅢは、これまで明確でなかった取締役会の定義や役割が示されたことが最大の特徴です。この明記により、今まで以上に各役割への正しい理解と連携が求められるようになったといえるでしょう。

なお、内部監査の体系的な知識の習得を目指すのであれば、CIAの取得も方法の1つです。資格取得の学習によって、現場に役立つ幅広いノウハウを得られるでしょう。

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CIAとは国際団体である内部監査人協会(IIA)が認定する、内部監査に関する唯一の国際的な資格です。認定試験は世界約190の国と地域で実施されており、世界的にも認知度の高い資格といえます。

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