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  • 2022/05/30更新

会計士資格―日・米(JCPAとUSCPA)を比較!

USCPAを取得する理由と、これから試験に挑戦する方へのメッセージ

これから会計士資格に挑戦しようと考えている方の中には、日本の公認会計士(JCPA)と米国公認会計士(USCPA)のどちらに挑戦すべきか迷っている方も多いと思います。迷う理由は、資格を取った後にどのようなベネフィットがあるのか不明確だったり、自分のキャリアプランにとってどちらがより有効なのか決めかねているからではないでしょうか。今回はそのような皆さんの疑問点にお答えしたいと思います。

改めまして、公認会計士の近衛(このえ)と申します。初めての方はプロフィール、過去の記事について、ぜひこちらをご覧ください。

「監査法人 - 海外勤務編 “海外派遣プログラムでグローバルに活躍してみませんか?」
「監査法人 - 海外勤務編② “志向に合った駐在国を選ぶには!?」
「監査法人 - ワークライフバランス」
「監査法人 – IPO支援業務」
「監査法人-M&Aにおける会計アドバイザリー業務」
「監査法人―転職活動編」

私は日本の公認会計士試験に合格後、2014年から2020年まで日本の監査法人で働いておりました。在籍時には主に総合商社や外資系企業の監査に従事しており、2年間のロンドン駐在も経験することができました。その後1年間のMBA留学をしている間に、USCPAの取得を決意し、在学中にUSCPA取得に向けた学習と試験対策を始めました。

そして卒業後の2022年から、カリフォルニアのシリコンバレーにある監査法人で、会計アドバイザリー業務を行っています。以上の通り、日本とアメリカでの会計士業務の経験がありますので、それぞれを比較した上でどのように資格が活かせるのか自分なりに分かったことがあります。

今回は、このような実体験に基づいた会計士資格の実態について、様々な切り口から比較することでお伝えしたいと思い記事にさせて頂くことにしました。

読んでいただく前に

今回の前提として、これからJCPAやUSCPAにチャレンジしたいと考えている方に向けたメッセージとして読んで頂くことをを想定しています。また、私の過去の経験や現在の会計人材ニーズに基づく個人的な意見を含みます。そのため、実際に皆さんが会計士として働きだす時の状況と内容が異なる場合がございますので、あらかじめご留意ください。また、具体的なキャリア相談や資格試験対策につきましては、専門のアドバイザーの方に個別にご相談するようにお願い致します。

キャリア志向別のアドバイス

日本公認会計士(JCPA)

もし将来的に日本で公認会計士として独立したい、または監査法人で上場企業の監査パートナーとしてサインする立場になりたいと考えている方は、JCPAの取得をおすすめします。これは、これらの業務がJCPAの独占業務であるからです。また、会計アドバイザリー業務や、コンサルティング業務の場合であっても、主に日本国内でビジネスを行っているクライアント向けの仕事をしたいと考えている場合には、JCPAの方が良いのではないかと思います。

これは、財務諸表が日本基準で作られており、日本国内の法規制やビジネス環境を踏まえて仕事をすることになるため、JCPAとしてのスキルが活かせると思うからです。

一方で、事業会社の財務・経理部門でキャリアアップをお考えの場合には、JCPAの専門知識は幅広く役に立つと思いますが、高度な専門性を十分に発揮し評価される環境なのかは企業によって異なり、必ずしも資格を取得する必要はないという意見や、取得にかかる費用と比較して十分に評価されているかは疑問だという意見も見受けられます。また事業会社におけるキャリアゴールの観点では、日系企業のCFOとして活躍されているJCPA保有者もおりますが、投資銀行などの金融機関で資金調達やM&Aを専門としていた方がCFOになるケースが多いのも事実です。

まとめると、これから日本で日系企業向けの会計・監査業務をしてみたいとお考えの場合にはJCPAを取得して専門性を高める必要がありますが、他のキャリアをお考えの場合には必ずしも資格取得の必要はないのではないかと思っています。

米国公認会計士(USCPA)

これから外資系企業(主に米系)のアカウンティング・ファイナンス部門に転職したい方や、日系グローバル企業の管理部門で海外駐在にチャレンジしたい方、Big4などのプロフェッショナルファームで米系企業の監査または会計アドバイザリー業務をしてみたい方には、USCPAの取得をおすすめしています。 まず、米系企業についてですが、特にアメリカの事業会社ではUSCPAを保有していると、きちんと専門知識を備えた人材として評価してくれる傾向にあると感じています。

一例として、日本の求人ではUSCPAが必須要件となることはあまりないかもしれませんが、アメリカの現地採用の求人では、USCPAがマストとなっている求人も珍しくありません。 次に、これから海外駐在にチャレンジしたい方にとっては、試験に合格すると一定の専門知識や英語力のある候補者としてアピールできるポイントになりますし、駐在先でも専門家としてきちんと話を聞いてくれるというケースも聞きますので、信頼関係を築くための初手としても活用できるでしょう。

最後にBig4などのファームについてですが、USCPAの方は外資系クライアントにアサインされる可能性が高くなると思います。また、プロモーションのしやすさ、スピードなどがJCPAと異なるということはあまり見受けられませんでした。特に、私が所属していた監査チームにもUSCPAを取得して転職されてきた方がいましたし、海外のメンバーファームへの駐在を実現された方もいらっしゃいました。

以上をまとめると、これから英語力とアカウンティング・ファイナンスのスキルを身につけて、米系企業で働いてみたい、Big4で外資系クライアントを担当してみたい、とお考えの場合には、USCPAにチャレンジする方が良いのではないでしょうか。

将来性について―マクロな視点から

長期的な観点で資格を取るメリットやキャリアチャンスを考えてみた場合、資格を活かせるフィールドが大きいのかどうか、今後もそのフィールドが成長しそうなのかは検討した方がよいと思っています。特に会計士業務の場合は、基本的にクライアント数が伸びていればそれに対応して会計人材の需要も高くなりますし、会計士の給与も上がる傾向にあります。また、上場企業の数が増加していれば、それに応じて財務経理の人材需要も増えていきます。

これらの理由から各国の新規上場件数を見てみると、日本の新規上場件数は2008年以降は順調に増加しており、2021年には新しく125社が上場企業に登録されています。

一方でアメリカでは、2021年の1年間だけで951社が上場しており、新規上場件数の違いだけでもアメリカの方がマーケットが大きく、成長していることが分かります。 JCPAが日本企業、USCPAが米系企業にフォーカスした資格であることからすると、USCPAの方が活躍できるフィールドが増えていくのではないかと感じています。

私がJCPAに加えてUSCPAを取得する理由

最初に記載させて頂いたように、私はJCPAとして業務を経験してからUSCPAの取得にチャレンジしました。

理由は主に2点あって、まず一つ目は自分の活躍できる場所が大きく広がるという点です。このままプロフェッショナルファームでキャリアを継続した場合も、将来的に独立したとしても、日本だけでなくアメリカのクライアントもカバーできるようになります。特に自分でビジネスをするようになった場合、日本だけでなくアメリカでも営業できるというのは魅力的に感じました。

二つ目は、報酬の違いです。私の場合、JCPAとして監査法人で働くよりも、USCPAを取得してアメリカで働いた方が年収が高くなることに気づき、MBA卒業後は日本に戻らず、アメリカで会計士業務を続けていこうと考えました。

これからJCPAやUSCPAにチャレンジしようと考えている方は、まず自分がどのようなフィールドで活躍したいのかを注意深く検討して頂きたいと思っていますし、日本にこだわらずグローバルな視点でご自身のキャリアパスについて考えてみては如何でしょうか。

まとめ

如何でしょうか。以下がJCPAとUSCPAの比較ポイントです。

  1. まず自分のキャリア志向を踏まえて、どの企業やポジションで働きたいかを分析する
  2. 資格を活かせるフィールドの将来性も検討する
  3. 実現したいキャリアだけでなく、年収などの条件面も比較する

いかがでしたでしょうか。今回はJCPAとUSCPAの比較についてご紹介しました。 Twitterでは会計士のキャリアや海外での働き方に関する情報もリアルタイムで発信していますので、ぜひご覧下さい! 皆さんのキャリアを応援しています。

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Profile

近衛祐哉
公認会計士、MBA(University of Southern California)

(このえ・ゆうや)2008年筑波大学卒業。銀行で勤務した後、公認会計士試験合格。監査法人にて総合商社や外資系企業の監査に従事した後、ロンドン駐在。帰任後はロサンゼルスにMBA留学し、卒業後はシリコンバレーにある監査法人にてテクノロジー企業のIPO/SPACやM&Aにおける会計アドバイザリー、財務デューデリジェンスなどに従事している。

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