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【第2回】IPとテクノロジーを融合する「ソニーのプラットフォーム戦略」
【第4回】ソニーに学ぶ「多角化の成功条件」
目次
ソニーは“何屋”なのか?という問いの本質
多角化の失敗パターンとは正反対
成功の鍵①:明確な「共通テーマ」を持つ
成功の鍵②:「自律 × 統合」の絶妙バランス
成功の鍵③:文化を“設計”している
ソニーから得られる、ビジネスリーダーへの5つの学び
この分析にMBAの学びはどう活きるか?
ソニーグループを見て、「結局この会社は何をしているのか?」と感じたことがある方も多いでしょう。
・ゲーム:PlayStation事業
・映画・音楽:グローバルIPの獲得・運用
・半導体:世界No.1のイメージセンサー技術
・金融:安定収益を生む保険・銀行事業
これだけ多岐にわたる領域を手がけながら、全社としての一貫性と成長を両立できている。その背景には、意図的に設計された“多様性のマネジメント”があります。
「多角化=悪」と言われるケースが一定数存在していますが、それは、以下のような落とし穴があるからです。
ありがちな失敗例 | 説明 |
---|---|
目的なき事業拡大 | なぜその分野に参入するのか不明確 |
経営資源の分散 | 中核事業とのシナジーが生まれない |
組織の複雑化 | 組織の複雑化 意思決定が遅れ、責任が不明確に |
一方、ソニーはこれらの逆を徹底しました。
・各事業が「収益性」「成長性」「資産性」のいずれかで戦略的意義を持つ
・必要に応じて事業を売却・縮小(例:PC・テレビ)し、集中と選択を実行
・グループとしての“共通軸”(IP × テクノロジー × 体験)で連携可能
つまり、“なんでもやる”のではなく、“やる意義があることだけをやる”という、きわめて理性的な経営判断が根底にあります。
ソニーの多角経営は、「バラバラの事業をなんとなく束ねている」わけではありません。その根底にあるのが、「クリエイティビティとテクノロジーの融合」という全社共通テーマです。
・ゲーム:没入体験を技術で支える(PS5、VR)
・映像・音楽:IPと配信技術のシナジー(360 Reality Audioなど)
・半導体:世界の映像を“目”で支える技術提供
・金融:安定収益で挑戦事業を支える“財務の土台”
このように、異なる事業が“1つの物語”として語れる構造をつくることで、全社最適が実現しています。
持株会社化によって、ソニーは「自律性の高い子会社」と「戦略本社」の分担を明確にしました。
・各事業会社:独自のブランド・判断・責任
・本社:資本政策(どの事業にどれだけ投資するかという意思決定)・中長期戦略・人材流動の設計”
この分業は、MBAでいうところの“グループ経営(Corporate Strategy)”と“事業戦略(Business Strategy)”の棲み分けが非常にきれいにできている例です。
しかも、それぞれが単独でも競争優位を築ける力を持っており、相互補完によってさらに強みが増幅されています。
ソニーは「自由な社風」「個人裁量が大きい」と言われる一方、放任ではなく“価値観ベースの文化設計”がなされています。
・イノベーションに対する期待値の共有
・挑戦と失敗を許容する心理的安全性の醸成
・社内で異動しやすく、事業間をまたぐ経験が可能
これは、企業文化を単なる風土ではなく、“戦略実現の基盤”と捉えて設計している証拠です。
ビジネスリーダーの参考になる気づきを以下に整理します。
1.多角化は悪ではない。構造がすべて
2.共通テーマがあれば、事業はバラバラでも連携できる
3.意思決定のスピードは“任せ方”で変えられる
4.文化は組織行動と制度設計でつくる
5.ブランドとは、“ぶれない軸を持った変化”のこと
ソニーのような「構造で語る経営」を理解するには、MBA的な知識が不可欠です。
MBA領域 | ソニーとの接点 |
---|---|
経営戦略論 | 多角化戦略、事業売却、集中と選択の理論 |
コーポレートガバナンス | 持株会社制・子会社の統治モデル |
組織文化論 | 組織文化論 価値観・心理的安全性・イノベーション文化の醸成 |
リーダーシップ論 | 分散と統合を両立する“設計型マネジメント”の実践 |
こうした構造理解があれば、今後どのような企業を見ても、「なぜそうしたのか?」が読めるようになります。
ソニーの経営は、“偶然の多角化”ではありません。「価値創出の構造」を自ら設計したからこそ、現在の強さがあるのです。これは、企業に限らず、チーム運営やプロジェクトマネジメントにも応用できる考え方です。
次回は、また別の業界・企業の事例を取り上げていく予定です。あなた自身の現場と重ねながら、引き続き一緒に考えていきましょう。
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