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【第2回】IPとテクノロジーを融合する「ソニーのプラットフォーム戦略」
目次
ソニーは“ハードの会社”ではなくなった
IPとは「経営資産」である
なぜ「縦割り」ではなく「融合」に成功したのか?
テクノロジーが支える「エンタメ体験の高度化」
サブスクリプションで“接点”を取りにいく戦略
この戦略にMBAの学びはどう活きるか?
“ゲーム会社”に見えるソニーの真の強みは、“IP × テクノロジー”で“体験を束ねる力”にあります。
前回の記事で、ソニーが「家電メーカー」から脱皮し、IP・エンタメ・半導体・金融を中核に据えた多角経営体へと変化したことを解説しました。では、その中でも特に注目すべき領域は何か?
答えは、「IP(知的財産)とテクノロジーの融合によるプラットフォーム戦略」です。
もはやソニーは、製品(プロダクト)ではなく体験(エクスペリエンス)で勝負する企業となっており、ゲーム・音楽・映画・アニメといったエンタメ領域で、自社IPを軸に複数事業を連携させる経営モデルを実現しています。
ソニーが所有するコンテンツIPは、世界でも有数の規模と質を誇ります。
・映画:『スパイダーマン』『ヴェノム』など(ソニー・ピクチャーズ)
・音楽:Adele、YOASOBIなど(ソニー・ミュージック)
・ゲーム:『ゴッド・オブ・ウォー』『ラスト・オブ・アス』(PlayStation Studios)
・アニメ:アニプレックス(『鬼滅の刃』など)
これらのIPは、ソフトウェア(コンテンツ)としての価値だけでなく、他領域へ展開できる“再利用性”と“継続収益性”を持った資産です。
つまり、IPは一度ヒットすれば、その後も映画化・ゲーム化・配信・音楽展開などで長期的にキャッシュを生み出す“ストック型”のビジネス資源となります。
一般的に、大企業が映画・音楽・ゲームといった複数のメディア領域を抱えると、各事業が“縦割り”になりがちです。しかしソニーは、以下のような仕組みで事業横断の統合を促進しています。
・統一された経営メッセージ:「IPは会社の核」(売り切り型ではなく“継続収益を生む資産”として扱う視点)
・クロスプロジェクトの推進:例)ゲーム→映画→アニメとメディアミックス展開
・グループ内での人的・技術的連携(例:モーションキャプチャ技術の共有)
これにより、たとえば『ラスト・オブ・アス』のようなタイトルがゲームからHBOドラマへと展開され、ブランド価値を飛躍的に高めるといった好循環が実現しています。
ソニーの強みは、単にコンテンツを持っていることではありません。そこにテクノロジーとデバイスの力が掛け算されることで、“体験の質”が圧倒的に高まるのです。
・ゲーム:PlayStation 5の高性能ハードによる没入体験
・音楽:360 Reality Audio(立体音響)での音楽新体験
・映像:イメージセンサー技術での高精細映像制作支援
・VR/AR:PlayStation VRによるインタラクティブな没入型メディア
これらは、「作品」だけでは成し得ない“体験価値”の設計であり、ソニーが“体験プラットフォーマー”(作品を超えて、継続的に体験を提供する仕組みを構築する企業)として進化している証拠です。
近年、ソニーは「接点の確保」にも積極的です。単なるヒット作ではなく、顧客との継続的な関係構築=プラットフォーム化を重視しています。
・PlayStation Plus:定額制でゲーム提供+クラウドセーブなどを提供
・Crunchyroll(アニメ配信):世界最大規模のアニメ専門配信サービスを買収
・高品質な音楽サブスクや配信支援機能(ソニー・ミュージック)
これにより、一度コンテンツに触れたユーザーが、長期的にソニーの“経済圏”にとどまり続ける仕組みが整備されつつあります。
ソニーの「IP × テクノロジー」戦略は、MBAで学ぶ複数分野にまたがる総合戦略です。
MBA分野 | ソニーとの接点 |
---|---|
プラットフォーム戦略 | コンテンツを軸とした“多面的接点設計” |
経営戦略論 | 垂垂直統合と事業横断で競争優位を強化 |
イノベーション戦略 | テクノロジーとIPを融合させた体験革新 |
顧客戦略 | “所有”から“継続接点”への戦略転換(サブスク化) |
“面白い作品”を生む企業ではなく、“顧客との関係性”を経営資源と捉え直す企業としてのソニーは、まさにMBA的に語る価値のあるモデルです。“商品を売る”から、“体験と関係を売る”へ。ソニーの進化は、私たち自身のサービス設計にもヒントを与えてくれます。
次回第3回では、「ソニーの組織文化と経営統制」に焦点を当てます。なぜ、ここまで多様な事業が“自立しつつ協調”できるのか?分社化と経営哲学、現場と本社の絶妙な関係性に迫ります。次回もぜひご覧ください!
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