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公認会計士は、企業の監査と会計を専門とする職種です。日本で業務を行う場合は、国家資格を必要とします。
公認会計士という職業は世界約120カ国(約160団体)で約250万人おり、企業等が公開する財務情報を検証・監査し、株式市場においてその正しさを保証する大切な役割を担っています。
そんな魅力的な職種である一方で、「公認会計士になるのはやめとけ、あまりおすすめしない」という声があるのも事実です。
本記事では、公認会計士はやめとけと言われる5つの理由をはじめ、公認会計士の魅力や向いている人の特徴などを解説します。
目次
公認会計士はやめとけと言われる5つの理由
公認会計士の魅力とは
公認会計士に向いている人の特徴
公認会計士に向いていない人の特徴
公認会計士以外で役に立つ会計資格
公認会計士とUSCPA(米国公認会計士)の違い
公認会計士は難関資格! 米国公認会計士も検討しよう
公認会計士はやめとけと言われる理由には、主に以下の5つが挙げられます。
それぞれの理由を詳しく解説していきます。
公認会計士は医師や弁護士と並ぶ三大国家資格であるため、試験難易度が非常に高いといわれています。
2022年の願書提出者数は18,789人、短答式試験受験者数は16,701人、論文式試験受験者数は4,067人です。
年 | 願書提出者数(A) | 短答式受験者数 | 論文式受験者数(B) | 最終合格者数(C) | 合格率(C/A) |
---|---|---|---|---|---|
2022年 | 18,789人 | 16,701人 | 4,067人 | 1,456人 | 7.7% |
短答式試験の合格者数は1,979人で11.8%の合格率、論文式試験の合格者数は1,456人となり、合格率はわずか7.7%であるため、難関であることが分かります。
年齢、学歴等にかかわらず誰でも受験できる一方で、短答式試験・論文式試験ともに、原則として全ての科目を1度に受験しなければならず、複数科目を同時並行で勉強する必要があります。
さらに、試験合格後すぐに公認会計士になれるわけではなく、監査法人等において2年以上の実務経験および3年間のうちに実務補習を修了することで、晴れて公認会計士として登録することができます(実務経験中に実務補習を並行して行うのが一般的です)。
また「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律」(令和4年法律第41号。令和4年5月18日公布)の施行日以後は、3年以上の実務経験が必要となります。
参照:公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」
参照:金融庁「公認会計士の資格取得に関するQ&A」
公認会計士の試験合格のためには、2,500〜3,500時間程度の勉強時間が必要だといわれています。
3,000時間の勉強時間とは、例えば1日に5時間勉強すると仮定した場合、毎日休むことなく600日続ける必要があります。
公認会計士の試験は、短答式試験・論文式試験の2つに分かれています。科目別勉強時間の目安は下記の通りです。
<短答式試験>
試験科目 | 勉強時間(目安) |
---|---|
財務会計論 | 750~900時間 |
管理会計論 | 300~400時間 |
監査論 | 150~200時間 |
企業法 | 300~350時間 |
<論文式試験>
試験科目 | 勉強時間(目安) |
---|---|
会計学(財務会計論) | 250~300時間 |
会計学(管理会計論) | 50~130時間 |
監査論 | 80~130時間 |
企業法 | 120~180時間 |
租税法 | 300~350時間 |
選択科目(経営学、経済学、民法、統計学) | 200時間 |
働きながら合格を目指すために、仕事と睡眠以外の時間のほとんどを2年近くも勉強に充てなければならない方もいるでしょう。
公認会計士の仕事は一般的に「激務」といわれており、その業務は「繁忙期」と「閑散期」に分けられます。
公認会計士が働く監査法人では、3月末決算企業なら4〜5月上旬、12月末決算企業なら1〜2月上旬が繁忙期にあたり、決算時期になると書類チェック等の量が膨大になり、必然的に残業も多くなります。
8月と11月は閑散期にあたり長期休暇を取ることが可能ですが、閑散期以外は忙しいと考えておきましょう。
残業等を減らしたい場合、一般企業の経理職に転職する手もありますが、監査法人に比べて年収が下がる等のデメリットがあります。
公認会計士が主として行う監査業務は責任のある仕事である一方、仕事にやりがいがないと感じる人が多いのも事実です。
公認会計士の仕事にやりがいがないと感じる声で多いのは、「事務作業の単調さ」です。監査法人での事務作業には開示資料のチェックや過去データの集計などがあります。
公認会計士の独占業務である財務諸表監査も、クライアントの財務諸表の誤りをチェックしたり保証したりする作業です。これらの事務作業を面白みのない作業と感じる人が一定数いるのが現状です。
社会的に重要な役割であると常に自負できているか、専門家としてのプライドや責任を持って仕事に取り組んでいるか、などが監査法人の仕事にやりがいを感じるポイントとなるでしょう。
AIの発展により公認会計士の業務に影響が出るといわれています。
野村総合研究所は、英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究で、国内601種類の職業がAI等で代替される確率を試算しています。
その結果、「10〜20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業がAI等で代替することが可能」と推計されました。
公認会計士の監査業務も、AIやITを活用して集計等の定型作業の自動化、取引データの加工、財務情報等のデータ分析などを行うことで、業務の効率化や監査品質の向上が図れる、ということです。
今後、公認会計士の業務のうち、人が行っていた作業がAIに奪われてしまう可能性は否定できません。
ただし監査には、定型的な業務だけではなく、専門家としての判断を必要とする業務や経営者等とのコミュニケーションが含まれています。そのため、全面的にAIに代替されることはないと考えられます。
参照:株式会社野村総合研究所「News Release|日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」
ここまで、公認会計士はやめとけと言われる理由について解説してきました。一方、公認会計士の仕事には様々な魅力もあります。
公認会計士が魅力的だと言われる主な理由は以下の5つです。
ここからは、公認会計士の魅力について解説します。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、公認会計士および税理士の平均年収は746万6,400円です。
一方、国内の一般労働者の賃金の平均年収は311万8,000円ですから、公認会計士の平均年収は2倍以上になります。
公認会計士・税理士の平均年収 | 746万6,400円 |
一般の給与所得者の平均年収 | 311万8,000円 |
公認会計士の年収は役職に比例して上がり、パートナークラスになると年収1,500万円以上になることもあります。
公認会計士の年収は年齢や役職にもよりますが、総じて高く、高収入であるというメリットがあります。
参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
公認会計士資格を活かして独立・開業する人もいれば、企業内で資格を活かす人もいます。
公認会計士の資格があれば税理士登録も可能です。そのため、公認会計士資格を取って税理士として活躍している人もいます。
また、財務会計や経営などの専門的な知識を活かし、「資金調達」や「事業再生」をはじめとした企業へのコンサルティング業務を行う人も見られます。
税理士と公認会計士の知識を併用し、企業に幅広い観点から様々なアドバイスを行うことも可能です。
このことから、監査業務以外に多様なポジションで働くことができる資格といえます。
公認会計士資格を取得し十分な経験があれば、一旦仕事から離れた場合でも職場にスムーズに復帰でき、一般企業等にも比較的容易に就職することが可能です。
出産や育児で仕事の場を離れる可能性がある女性にとって、職場復帰のしやすさは非常に魅力的でしょう。
また日本公認会計士協会では、女性会計士活躍促進協議会を設置しており、女性会計士のさらなる活躍の促進を積極的に行っています。
公認会計士は、女性が生涯幅広く活躍できる職業である点もメリットといえるでしょう。
「監査」は公認会計士の独占業務です。公認会計士は、財務書類を監査しその内容が適正であることを証明することができます。
公認会計士は、企業・医療法人・学校法人をはじめ、各種組織に対して監査を行うことが可能であり、その監査業務には「法定監査」と「任意監査」があります。
法定監査とは、金融商品取引法や会社法など、法律等の規定によって監査が義務付けられているものです。
任意監査は、法定監査以外の全ての監査を指します。会社が自発的に受ける場合や、第三者による監査が行われることがあります。
公認会計士は、監査業務として企業の財務情報を検証し、適正・不適正の判断を行うことがあります。また、経営コンサルタントとしてクライアントの課題解決を行う人もいます。
その中で、企業の経営陣とともに経営の根幹に関わるような話し合いをする場面も少なくありません。
外部の人間でありながら、同時にクライアント企業の会社経営に深く関わり経営のサポートができるのは、公認会計士の魅力の1つといえるでしょう。
公認会計士に向いているのはどういった人なのでしょうか。公認会計士の業務内容は多岐にわたります。
監査法人に勤めるか独立・開業するかによっても適性に多少違いが出てきます。 一般的に以下のような人は公認会計士に向いています。
それぞれ理由を解説していきます。
公認会計士の業務では、日々数字と向き合うことになります。 数字に対して苦手意識がなく、基本的な四則演算が問題なくできる人が向いています。
監査法人、独立・開業を問わず公認会計士には高度な専門知識と正確性が求められます。 業務は企業の財務諸表のチェックなどですから、企業の大小にかかわらず仕事上のミスは許されません。
自分の仕事にきちんと責任感を持ち、正確に業務をこなすことにモチベーションを感じる人が向いています。
仕事で会社の財務情報や機密情報を扱う公認会計士には、責任感の強さが必要です。 公認会計士がミスをすれば会社全体のみならず、その顧客にまで影響が及びます。
また、監査業務は期限内に業務を行う必要があり、長時間集中して業務に取り組む自己管理能力と責任感が重要になります。
公認会計士の業務は財務諸表を作成するだけにとどまらず、現場に出向いて資料を調査したり、クライアントへの説明をしたりするため、コミュニケーション能力が求められます。
また、独立・開業する場合には自身で得意先を開拓する必要があり、顧客を獲得する営業力が必要です。
その他、チームメンバーを引っ張っていくリーダーシップやマネジメント能力、クライアントやビジネスパートナーとのコミュニケーション能力も求められます。
公認会計士は監査だけでなく、クライアントの調査や分析結果から経営についてのアドバイスを行います。そのため、会社経営や担当するクライアントへの興味を持てる人が、公認会計士に向いているでしょう。
クライアントが属している業界や業務への興味があれば理解が深まり、クライアントとのコミュニケーションも円滑になります。 会社経営に興味を持つことで重要な業務がこなせるようになり、やりがいにもつながるでしょう。
公認会計士に向いていないと考えられる人の特徴は以下になります。
それぞれ解説していきます。
公認会計士の収入は一般的な給与所得者よりも高額ですが、収入だけに魅力を感じる人は公認会計士には向いていません。
公認会計士の資格試験合格の難易度や業務に求められるハードルは高いです。収入面に魅力を感じて公認会計士を目指したとしても、国家試験に合格するまでの道のりがまず困難です。
さらに、公認会計士になったとしてもハードな仕事についていけず、後悔することもあるでしょう。
収入面だけに魅力を感じる場合には、公認会計士以外の高収入な仕事を探すほうがいいかもしれません。
前述したように、公認会計士に合格するためには、2,500〜3,500時間程度の膨大な勉強時間が必要です。 現在働いている人にとって、膨大な勉強時間を確保するのは至難の業でしょう。
公認会計士・監査審査会のパンフレット「目指せ、公認会計士!」によると、2021年の試験における職業別の合格者の構成比は以下の通りです。
職業 | 割合 |
---|---|
学生 | 59.4% |
社会人 | 15.3% |
受験予備校生・専修学校生 | 8.5% |
その他 | 15.8% |
公認会計士試験の合格者のうち、59.4%が学生で、これは公認会計士試験のために集中して勉強する生活を送ってきた人と推測できます。
また、受験予備校生・専修学校生は8.5%、その他が15.8%で、学生と合わせると全体の83.7%にのぼります。
社会人はわずか15.3%であることから、社会人はまとまった勉強時間が確保できない人が多く、公認会計士の試験に合格できない、または試験合格を途中で断念してしまうことが考えられます。
ここまで読んで、公認会計士の資格取得は難しいと感じた人もいるのではないでしょうか。
そんな方には、他の役立つ会計資格を検討してもいいでしょう。公認会計士資格と比較して難易度や勉強時間が少なくて済むものも数多くあります。
例えば次の資格です。
それぞれの資格について詳しく解説します。
企業の日々の取引状況や経営活動を、帳簿に記入する作業を簿記といいます。貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作るために必要な技術です。
日商簿記は、簿記の知識について問われる検定試験です。簿記は全ての企業や個人事業者にとって必要な知識や技術といえるでしょう。
なお、一般的に履歴書などに記入して企業から評価されるのは2級以上といわれています。
ビジネスで役立てるために日商簿記を取得する際は、まずは2級の取得を目指しましょう。
関連記事:アビタス「簿記2級の合格率は?合格の難易度を学習範囲・勉強時間から解説」
税理士は税務代理、税務書類の作成、税務相談を独占業務として行うことができる、税の専門家です。
税理士になるためには5科目の試験に合格しなければなりません。
ただし、科目合格制度であるため、1度に全ての科目に合格する必要はなく、数年かけてコツコツと合格科目数を増やしていくことも可能です。科目の合格は生涯有効で期限はありません。
まとまった勉強時間が取りづらい場合、1科目ずつ受験することもできる税理士試験に挑戦してみてもよいでしょう。
関連記事:アビタス「税理士ってどれくらい難しい?難易度や合格率、勉強時間をUSCPAと比較」
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対して助言を行う専門家のことです。独占業務はありませんが、経営コンサルタントに関する唯一の国家資格です。
コンサルタント業務に魅力を感じている人は、中小企業診断士の受験を検討してみてもよいでしょう。なお、公認会計士試験の経済学科目に合格している場合などは中小企業診断士試験で「経済学・経済政策」科目が免除になります。
また、公認会計士や税理士などの資格を取得している場合、「財務・会計」科目が免除となるため、ダブルライセンスとして取得している人も少なくありません。
関連記事:アビタス「中小企業診断士試験の難易度や合格率、勉強時間はどれくらい?」
USCPAは米国の公認会計士資格です。試験は全て英語で行われますが、日本で受験することが可能です。
外資系企業で用いる会計基準と日本の会計基準は異なります。そのため、USCPA資格を取得していると、米国会計基準の財務諸表が理解でき、監査やコンサルティングが可能であることを証明できます。
また、一定程度のビジネス英語のスキルがあることの証明にもなる資格です。USCPAはグローバルに活躍したい人におすすめの資格といえます。
日本の公認会計士試験と違い、科目合格制度が取り入れられている点を魅力と感じる人もいるでしょう。
公認会計士とUSCPAの違いをさらにみていきましょう。
米国公認会計士は日本で受験することができ、USCPAの難易度も公認会計士より低いとされています。実際に2022年のUSCPAの平均合格率は52.8%でした。
他にも米国公認会計士には公認会計士に比べて以下のメリットがあります。
監査や財務・管理会計、税務などの基礎知識を身につけることができ、勉強時間も公認会計士と比べて少なく、仕事をしながらの取得も可能です。
米国公認会計士資格でも、日本国内で日本の会計士と同様に会計監査の業務が可能です。 ただし、監査法人のパートナー業務の一部である監査報告書へのサインは日本の公認会計士の資格が必要になります。
また、試験の勉強をする過程で英語力の向上が見込まれるため、米国公認会計士資格を取得すると一定程度の英語力のある人材として認められます。
日系・外資系を問わず、経理、財務、経営企画職で活かせるグローバルな資格です。
関連記事:アビタス「公認会計士とUSCPAどちらを取るべき? それぞれの違いについて解説」
公認会計士は難易度の高い試験です。2022年の合格率は7.7%でした。
必要な勉強時間も2,500~3,500時間といわれており、働きながら取得するのは大変だと感じる人もいるでしょう。
一方で、USCPAの科目別合格率の平均は52.8%です(2022年)。必要な勉強時間は1,200~1,500時間程度といわれており、働きながら取得する人も多く見られる資格です。そのため公認会計士よりもUSCPAの難易度は高くありません。
「グローバルに活躍したい」「米国基準の財務諸表を読みこなしたい」「外資系企業で仕事をしたい」と考えている人は、米国公認会計士(USCPA)の資格取得も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
USCPAの合格を目指すならアビタスを利用しましょう。
USCPA日本在住合格者の約3人に2人はアビタスの卒業生です。多くのビジネスパーソンに利用されています。
日本語を利用したオリジナルテキストで勉強できるため、英語で学ぶよりも分かりやすく、効率的なインプットが可能です。英語で行われる本試験に向けて、テキストは日本語に英語を併記して詳細な解説を行っています。
紙の教材や問題集に加えてスマホやタブレットでいつでも勉強できる電子テキストなどもあるため、隙間時間を利用して効率よく勉強したい方にもおすすめです。
アビタスでは無料の説明会を実施しています。USCPAの資格取得に興味のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。
※記事に記載の内容は2023年4月時点のものを参照しています。
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