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  • 2026/02/19公開
  • 2026/02/20更新

【第1回】国内市場の成熟と花王ブランド戦略の原点──成長が止まる日本市場でなぜ花王は価値で選ばれる企業であり続けられたのか──

【第1回】国内市場の成熟と花王ブランド戦略の原点──成長が止まる日本市場でなぜ花王は価値で選ばれる企業であり続けられたのか──

【第1回】国内市場の成熟とブランド戦略の原点

【第2回】R&D・商品開発とデジタル活用

【第3回】グローバル展開と海外事業戦略

【第4回】収益モデルとデジタル経営の統合

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
花王の概要と事業領域
国内市場の成熟と成長の限界
ブランドポートフォリオ戦略の起点
国内外市場戦略の方向性
MBAの学びとの接点


花王の概要と事業領域

花王株式会社は、1887年に創業された日本の老舗化学・日用品メーカーであり、「消費者の生活価値向上」を使命としています。洗剤や化粧品、ヘルスケア用品まで幅広く手がけ、国内ではトップシェアを誇る製品も多く、グローバル市場でも高品質ブランドとして認知されています。

主力事業は以下の通りです。

家庭用品事業:アタック、キュキュット、バスマジックリンなどの洗剤・清掃用品
化粧品・美容事業:ソフィーナ、カネボウ、ビオレなどのブランド
ヘルスケア事業:ベビー・介護用品、医薬品原料など
化学品・ファインケミカル事業:界面活性剤や機能性材料など産業向け製品

国内市場でのブランド認知度は非常に高く、「生活者の目線に立った製品開発」を徹底することで、長期にわたり安定的な収益を確保してきました。しかし、21世紀に入ると国内市場の成熟化や人口減少、消費者ニーズの多様化が、従来型の成長モデルに限界を示し始めます。

国内市場の成熟と成長の限界

花王が直面する最大の課題は、国内市場の構造的な縮小です。

人口減少・少子高齢化
総人口は減少傾向にあり、特に20〜40代の消費者層が縮小。日用品や化粧品の需要が横ばいまたは微減となる環境は、売上成長を自然に制約します。

消費者ニーズの変化
「安くて便利な商品」だけでは購買されなくなり、機能性やブランド体験、サステナビリティへの配慮が重要な選択基準に。たとえば、洗剤では生分解性や香りの持続性、化粧品では自然由来成分や肌への安全性が重視されます。

競争の激化
P&Gやユニリーバなどグローバルブランドに加え、資生堂やライオン、無印良品など国内企業も機能性・ブランド訴求を強化。価格競争だけでは差別化が難しい状況です。

これにより、国内市場だけに依存して成長を維持するモデルは限界を迎えました。つまり、花王の戦略転換は市場環境の変化に応じた収益モデルの再設計から不可避となったのです。

ブランドポートフォリオ戦略の起点

花王の強みは、単一ブランドではなく、複数ブランドを持つポートフォリオ管理にあります。これにより、異なる消費者層・使用シーンに対して最適な提案を行い、リスク分散と収益最大化を同時に実現しています。

家庭用品ブランド:アタックやキュキュットなど、日常消費型で高頻度購入される製品に特化。ブランドロイヤルティの高さにより、価格変動に強い安定収益を確保。

化粧品ブランド:ソフィーナやカネボウは、機能性・高品質訴求で都市部・女性層をターゲットに。プレミアム価格帯でも需要が維持される。

新規・海外ブランド:海外展開を前提としたブランドやサステナブル志向の新ブランドを組み込み、将来の成長を見据える。

このブランドポートフォリオ戦略により、既存ブランドの安定収益と新規事業の成長投資を両立させる仕組みが成立しています。


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国内外市場戦略の方向性

花王は国内市場の成熟を前提に、「海外展開」と「高付加価値化」の両輪戦略を進めています。

1. 海外展開
アジア市場、特に中国・東南アジアでのブランド浸透を加速。家庭用品・化粧品の現地適応製品を投入し、現地消費者のライフスタイルにマッチする商品を提供。

2. 高付加価値化
国内市場では、単なる「洗浄力」や「低価格」に加え、香り・肌への優しさ・環境配慮など複合価値を訴求。これにより、価格競争を避けつつ売上の維持・拡大を図る。

3. デジタル・マーケティング活用
ECの強化や顧客データの活用により、ターゲットに最適な製品・プロモーションをタイムリーに提供。顧客接点の拡張とリピート率向上を同時に実現。

このように、国内安定収益をベースに海外成長と高付加価値戦略を組み合わせるモデルが、花王の成長の核となっています。

MBAの学びとの接点

花王の事例から、MBAで学ぶ戦略論や組織論との接点は明確です。

MBAの論点 花王事例の示唆
経営戦略論 成熟市場での差別化戦略と海外市場拡大戦略の両立
マーケティング論 ブランドポートフォリオ戦略によるセグメント対応
組織デザイン論 ブランド・事業ごとの独立運営と全社戦略の連動
変革マネジメント 国内安定収益の維持と新規事業への投資バランス

特に、成熟市場での差別化戦略をどのように設計し、組織に落とし込むかは、多くのMBAケースで扱われるテーマと重なります。


次回予告

次回第2回では、花王のR&D・商品開発戦略とデジタル活用を中心に、以下のテーマを掘り下げます。

国内外での製品開発サイクルの効率化
消費者データを活用したマーケティング戦略
高付加価値商品を支える研究開発体制
ブランドポートフォリオと収益モデルの連動

これにより、花王がいかにして成熟市場での競争を勝ち抜き、持続的成長を実現しているかを、より具体的に理解できます。

次の記事はこちら

【第2回】R&D・商品開発とデジタル活用


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