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【第1回】資生堂はなぜ「世界で勝てる日本ブランド」になれたのか
【第3回】資生堂のグローバル組織はなぜ機能するのか?
目次
ブランド経営を支えるのは“人と組織”の設計
グローバル組織再編のポイント
人材戦略の鍵は“グローバルリーダー育成”
連動型組織を可能にした情報・プロセス設計
人材・組織戦略のMBA的整理
資生堂の変革は、ブランドや製品だけでは実現できません。
グローバルで統一されたブランド戦略を実行するためには、人材・組織の再設計が不可欠でした。
・日本本社の指示だけでは、世界市場は動かせない
・各地域の消費者インサイトを取り入れないとブランド価値は維持できない
・R&D・マーケ・サプライチェーンが連動しないと製品投入が遅れる
こうした課題を解決するため、資生堂は2014年以降、グローバル連動型組織への変革を本格化させました。結果として、今の資生堂は“世界各地に展開しながら一体で動く”組織を確立しています。
資生堂の組織変革は、段階的に進められました。
中でも象徴的なのは「地域カンパニー制」と「グローバル本社機能の強化」です。
1. 地域カンパニー制の導入
・北米、欧州、中国、アジアパシフィック、日本の5大リージョンに再編
・各リージョンにブランド・営業・マーケティング・人事の権限を委譲
・現地の市場ニーズを即時反映可能に
2. グローバル本社機能の強化
・ブランド戦略・R&D・SCMを本社で統合管理
・「クレ・ド・ポー」「NARS」などグローバルブランドは一括戦略
・デジタルマーケティングとデータ分析を本社主導で標準化
3. クロスボーダー人材の活用
・本社の管理職に外国人登用(CMO・CFOなど)
・各国でローテーションを組むグローバルリーダー育成プログラム
・中国・北米市場で活躍する現地トップの権限強化
このように、資生堂は「現地対応の柔軟性」と「本社一体の戦略性」を両立する組織を目指しました。
資生堂のグローバル戦略を支えるのは、単なる配置転換ではなく、人材の質的変革です。
1. 幹部のグローバル比率を拡大
・2010年代前半はほぼ日本人中心
・現在は主要幹部の約半数が外国籍または海外経験者
2. リーダー育成プログラム(GLDP)を運用
・世界中の若手リーダーを選抜
・研究・マーケティング・SCMを横断するプロジェクトに参加
・将来的にリージョンCEOや本社幹部を担うことを想定
3. ダイバーシティとインクルージョン(D&I)の推進
・女性管理職比率は40%超
・価値観の異なる人材を前提とした意思決定プロセスを構築
この結果、資生堂は「日本発グローバル企業」から「多国籍企業」に近い経営スタイルへ進化しました。
グローバル組織は、放置するとサイロ化(縦割り化)しやすいという弱点があります。
資生堂はこれを避けるため、情報共有と意思決定の標準化を徹底しました。
観点 | 具体策 |
---|---|
情報共有 | ブランド・販売・R&Dのデータを共通基盤で管理(グローバルBI) |
会議設計 | 月次グローバル会議+リージョン別会議を組み合わせ、意思決定を標準化 |
製品開発プロセス | 本社で「開発ロードマップ」を統一、各地域で顧客調査を反映 |
KPI管理 | 売上・利益だけでなく、ブランド価値指標・顧客LTVも共通管理 |
このプロセス整備により、スピードと透明性の両立が可能となりました。
MBA的には「グローバル・マトリクス型組織の成功事例」として位置づけられます。
今回の資生堂の事例を、MBAの学びと対応付けると以下の通りです。
MBA領域 | 資生堂の実践 |
---|---|
組織設計論 | 地域カンパニー制+グローバル本社機能の二層構造 |
国際経営論 | 権限委譲と標準化のバランスを取る“連動型組織” |
人材マネジメント | グローバルリーダー育成・D&I推進 |
ナレッジマネジメント | 情報基盤・共通KPI・標準化プロセスによる知識共有 |
資生堂は、単なる海外進出ではなく、組織・人材・プロセスを統合した“経営システムの国際化”を実現しています。
次回(最終回)では、資生堂がここまでの変革で築いた「ブランド・人材・組織・技術」の統合経営モデルを総括します。
・無形資産を経営資源に変える仕組み
・ブランド成長と財務成果をつなぐ戦略デザイン
・MBA的に学べる「統合的経営」のヒント
資生堂の事例を通じて、次世代のグローバル経営像を描きます。
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