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【第1回】総合商社は“経営の最前線”へ、三井物産が挑む「脱・仲介」戦略とは
【第2回】脱炭素は“リスク”ではなく“収益源”、三井物産の逆転サステナ戦略
【第3回】ゼネラリストを超えて“経営人材”へ、三井物産の人と組織の進化論
【第4回】「変わり続ける経営体」はどう設計されるのか、三井物産の実践から学ぶ
目次
ESGは“商社の強み”にフィットするのか?
脱炭素は“新たな市場創造”の起点
“環境対応”を“利益モデル”に変える発想
なぜそれが可能なのか?── 商社のDNAを活かす
この分析にMBAの学びはどう活きるか?
まとめ── ESGを“利益構造”に転換する思考法
商社、とりわけ総合商社といえば、エネルギー・資源・インフラなど、“重厚長大”産業の中核を担ってきた存在。
とりわけ三井物産は、資源投資で世界展開してきた歴史を持ち、「脱炭素」というキーワードとは本来、対立する立場に見えるかもしれません。
しかし、現実の三井物産はまったく逆を行っています。
・化石燃料への依存度を計画的に減らし
・再生可能エネルギーに巨額投資を実施
・水素・アンモニア・カーボンリサイクルなど、新技術に先手で取り組む
つまり、“環境制約を、経営レバレッジに変える”企業へと進化しているのです。
三井物産は、単に“排出量削減”を目指しているわけではありません。 彼らが本当に見ているのは、「脱炭素によって生まれる新たな価値連鎖」です。
主な取り組み領域:
・水素/アンモニア供給チェーン:海外での製造〜輸送〜活用までを自社で構築
・再生可能エネルギー投資:洋上風力、太陽光、バイオマス発電事業への資本投下
・CCUS(CO₂回収・貯留):産業排出源からの炭素回収・再利用を視野に
・サーキュラーエコノミー:廃棄物リサイクル、プラスチック循環モデルなどの事業化
これらは、単なる“環境コスト”ではなく、“成長市場”として設計されている点が特徴です。
多くの企業が脱炭素投資を「仕方なくやるESG対応」として捉える中、三井物産はそこに意事業性(リターン)を設計しています。
たとえば:
・水素インフラに関しては、製造・輸送・販売までをバリューチェーン化
・脱炭素ソリューション(CO₂排出量可視化・最適化システム)をSaaS化して提供
・サプライチェーン全体の脱炭素支援を、BtoBサービスとして展開中
MBAで言えば、これは「サステナブル戦略」×「新規事業開発」×「サービス化」の高度な統合。脱炭素を“理念”ではなく、“収益構造”として設計できる企業体になりつつあります。
三井物産がこのような構造転換に成功している背景には、以下のような「商社ならでは」の強みがあります。
商社の伝統/span> | サステナ戦略での活用法 |
---|---|
グローバルネットワーク | 再エネ開発地・供給拠点との協業・展開力 |
複数領域の知見 | エネルギー×製造×流通のバリューチェーン設計力 |
投資・事業統括力 | 新規領域におけるP/L設計とガバナンス力 |
リスクテイク文化 | 長期投資前提の収益モデル構築力 |
つまり、「既存の力を、これからの課題に応用できている」というのが、他社との「構造的優位性」と言えるでしょう。
三井物産のサステナブル経営は、以下のMBA分野に深く関わっています:
MBA分野 | 三井物産の対応事例 |
---|---|
経営戦略論 | カーボンニュートラルを機会と捉える戦略転換 |
サステナブル経営 | ESGを“事業価値化”するモデル構築 |
新規事業開発 | 環境領域でのプラットフォーム/SaaS化の展開 |
組織設計論 | 長事業横断型のプロジェクト体制/専門人材の内製化 |
環境対応はもはやCSR(企業の社会的責任)ではなく、「未来の稼ぐ力」の源泉であることを、三井物産の事例は、“環境を収益源に変える戦略”の実例です。
三井物産の取り組みは、「脱炭素だから仕方なくやる」の真逆を行くものです。
・社会課題を“自社の経営資源”と組み合わせ
・長期的成長と短期的収益を両立する設計を行い
・変化を“収益モデル”に組み込む
これは、今後すべての企業が求められる「社会変化を収益に変える構造的対応力」のひとつの理想像と言えます。
次回第3回では、人材と組織の側面から、三井物産の変革を読み解きます。
“ゼネラリスト神話”を超えて、どのようにして“経営人材の育成”を実現しているのか?
その裏側に迫ります。
次の記事はこちら
【第3回】ゼネラリストを超えて“経営人材”へ、三井物産の人と組織の進化論
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