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【第1回】ソフトバンクグループは、なぜ“投資会社”として生まれ変わったのか?
【第2回】ソフトバンクグループの投資は、なぜ成功と失敗が極端なのか?
目次
投資会社化したソフトバンクグループの核心
“投資成功”を象徴する2社
投資失敗の象徴:WeWorkとCoupang
ハイリスク・ハイリターンの構造を支える仕組み
MBAで整理する、ソフトバンクグループ投資の成功と失敗
ソフトバンクグループ型投資から学べること
第1回では、ソフトバンクグループが通信会社から投資会社へ変貌した構造を整理しました。
その核心は、孫正義氏が掲げる「群戦略(cluster strategy)」です。
・世界中のAI・IoT・ロボティクス企業に先行投資
・企業同士のシナジーを狙う「投資によるエコシステム」
・投資の成否がグループ業績に直結
この戦略は、巨大な成功と失敗の両面を生みます。
第2回では、ソフトバンクグループの投資実績を成功事例と失敗事例に分けて読み解いていきます。
1.Alibaba(アリババ)
・2000年に約20億円を出資 → 2014年のIPOで約8兆円の価値に化ける
・ソフトバンクグループ史上最大の投資成功
・中国EC市場の爆発的成長に先行投資できたことが勝因
これは、「先行者利益(first-mover advantage)」と「プラットフォーム戦略」の典型です。孫氏は単なる資金提供者ではなく、経営者ジャック・マーとの信頼関係を武器に長期保有を貫きました。
2.ARM(半導体設計)
・2016年に約3.3兆円で買収、2023年に米NASDAQに再上場
・AI・IoT時代の基盤技術を押さえた“垂直統合型投資”
・買収後も独立経営を維持し、エコシステム拡張に注力
これは、「プラットフォーム型M&A」に該当します。ソフトバンクグループは単に株を持つだけでなく、ARMを軸に投資先同士の連携(自動運転・スマートシティ)を狙いました。
1.WeWork(シェアオフィス)
・2017年に累計約1兆円規模の出資
・2019年IPO直前に企業価値が1/10以下に急落
・2023年には米国で破産申請
失敗要因は明確です。
・成長性の過大評価とガバナンス軽視
・「ソフトウェアのようにスケールする」という誤解
・孫氏のスピード投資が、内部管理の成熟を待たなかった
これは、「過剰楽観バイアス」「コーポレートガバナンス不備」が教訓となります。
2.Coupang(韓国EC)
・2015年に約1,000億円を出資 → 2021年に米NYSE上場
・初値で大成功するも、その後は株価低迷
・成長市場を押さえたが、収益化までの道のりが長期化
これは、「市場タイミングリスク」の典型例です。先行投資は成功したが、短期では業績に貢献せず、ボラティリティが高いという特徴を示しました。
ソフトバンクグループは、なぜ極端な投資戦略を取れるのでしょうか?
その背景には、ポートフォリオ分散+資金調達戦略があります。
1.巨大ファンド構造
・ビジョンファンドにより、外部投資家資金を活用
・自社資金のみでなく、リスクを一部外部に転嫁
2.ポートフォリオ分散
・成功確率は低くても、1社の大成功で全体をカバーする「VC型」発想
・アリババ・ARMがWeWorkの損失を吸収する構造
3.安定キャッシュフローの下支え
・通信事業の利益(年間約1兆円)が投資損失のクッションとなる
これは、「コーポレート・ベンチャーキャピタル型ポートフォリオ戦略」の実例です。
観点 | 成功事例(アリババ・ARM) | 失敗事例(WeWork・Coupang) |
---|---|---|
投資タイミング | 成長初期を的確に押さえた | 市場過熱・収益化前の突入 |
経営関与 | 信頼関係を活かした長期支援 | ガバナンス軽視、過剰楽観 |
事業モデルの強み | プラットフォーム型 ・ネットワーク効果大 |
固定費負担が大きく スケール性に難あり |
ポートフォリオ 効果 |
他投資先とのシナジーを狙える | 独立事業でシナジー薄い |
MBA的学び | 先行者優位 +戦略的ポートフォリオ構築 |
バイアス管理+リスク分散の重要性 |
1. 1社の成功で全体をカバーするVC型発想
2. ガバナンスと投資スピードのバランスが重要
3. 成功はシナジー設計とタイミングに依存する
ソフトバンクグループは、成功と失敗を繰り返しながらも、「未来のGAFAを先取りする投資集団」として独自ポジションを確立しています。
第2回では、ソフトバンクグループの投資の光と影を、成功と失敗の事例から整理しました。
・アリババ・ARMは成功の象徴
・WeWork・Coupangはリスクの現実
・MBA的には、ポートフォリオ戦略・ガバナンス・投資バイアス管理が鍵
次回(第3回)は、ソフトバンクグループの組織設計とリスクマネジメントに焦点を当てます。
・巨大ポートフォリオをどう管理しているか?
・孫正義氏の意思決定とチーム運営の特徴
・MBA的「自律分散型マネジメント」のリアル
ソフトバンクグループの組織運営は、投資会社でありながら経営チームが極端に小さいという特徴があります。その構造を読み解くことで、超巨大企業の“管理しない経営”が見えてきます。
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