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  • 2025/07/07公開

【第1回】なぜ任天堂は“競争しない”戦略を選ぶのか?──ブルーオーシャンで独自価値を築く「競争しない勇気」──

【第1回】なぜ任天堂は“競争しない”戦略を選ぶのか?──ブルーオーシャンで独自価値を築く「競争しない勇気」──

【第1回】なぜ任天堂は“競争しない”戦略を選ぶのか?

【第2回】ハードとソフトの“一体戦略”が任天堂を強くする

【第3回】任天堂が貫く「面白さ最優先」の組織文化とは

【第4回】任天堂に学ぶ、“競わず勝つ”経営の本質とは

この記事を書いた人

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山本 和敏(やまもと かずとし)
マサチューセッツ州立大学MBA。USCPA(米国公認会計士)。情報系の大学を卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。主にシステムインテグレーション関連のプロジェクトに従事する中で、製品やサービスに依存せず、顧客視点からの提案・支援を行いたいという思いが強くなり、コンサルティング業界への転職を決意。転職後は、IT関連のプロジェクトを中心に、業務改革や戦略策定など支援の範囲を広げ、様々な業界のクライアント様の課題解決に取り組んでいる。現在は、業界最大手のクライアント様の伴走支援を行い、上層部の方々が抱える難易度の高い課題に対し、これまで培ってきた知見やスキルを活かし、さまざまな視点から価値ある解決策を提供している。

目次
任天堂は「ゲーム企業」であり、「戦略企業」でもある
なぜ「スペック競争」に乗らなかったのか?
“勝たない戦い方”がなぜ通用するのか?
Switchが象徴する“ユーザー視点”の極致
他社と何が違うのか? ── 差別化の“本質”
この分析にMBAの学びはどう活きるのか?

任天堂は「ゲーム企業」であり、「戦略企業」でもある

マリオ、ゼルダ、ポケモン──世界中で知られる人気IPを数多く抱える任天堂。

その成功は「ゲームが面白いから」と思われがちですが、実はその裏には独自の戦略的思考があります。

任天堂は、ソニー(PlayStation)やマイクロソフト(Xbox)などと真正面から競争しないことを、あえて選んできました。この「競争しない」という選択こそが、任天堂の経営の中核であり、他の企業と一線を画す強みとなっています。

なぜ「スペック競争」に乗らなかったのか?

多くのゲームメーカーが、ハード性能やグラフィックの進化を追い求めるなか、任天堂は異なる方向を歩んできました。

・ニンテンドーDSは「2画面+タッチ」
・Wiiは「高性能ではないが、体感操作」
・Switchは「据え置きと携帯の“ハイブリッド”」

こうした選択の根底には、「競争の土俵を自分で変える」という明確な意志があります。

つまり、性能や市場シェアではなく、「面白さ」を軸に市場を定義し直しているのです。

この発想は、MBAで学ぶ「ブルーオーシャン戦略」に非常に近く、“価格 × 差別化”のトレードオフを超える戦略構築を体現しています。

“勝たない戦い方”がなぜ通用するのか?

任天堂は、ゲーム業界で長年トップを張ってきたにも関わらず、「市場占有率」に固執していません。実際、競合がハイエンドユーザー向けに進化する一方で、任天堂は

・家族で遊べるカジュアルゲーム(Wii Sports、あつ森)
・幅広い年齢層に訴求するソフト開発
・IPを軸としたキャラクタービジネスやテーマパーク展開(USJ)

など、“遊びの拡張”によって、需要そのものを創り出しているのです。これは「既存の需要を奪う」のではなく、「新しい需要を創造する」戦略であり、まさに競争しないことで勝つアプローチです。

Switchが象徴する“ユーザー視点”の極致

2017年に発売されたNintendo Switchは、据え置きと携帯の“ハイブリッド”型ゲーム機です。これは「ユーザーがゲームをどう楽しみたいか?」を徹底的に追求した結果の産物です。

・家ではTVで、外では手軽にプレイ
・Joy-Conで多人数プレイも即可能
・ソフト購入もパッケージとダウンロードの選択制

任天堂は「ユーザーのライフスタイルに合う遊び方」を重視し、ハードウェアを“体験装置”として再設計しました。この設計思想は、MBAで扱うバリュープロポジション(提供価値の再定義)に通じます。

まずは無料の説明会にご参加ください。

他社と何が違うのか? ── 差別化の“本質”

任天堂の最大の差別化要素は、「技術」でも「資本」でもなく、“価値の捉え方”です。

他社が重視する価値 任天堂が重視する価値
解像度・フレームレート ワクワク感・遊びやすさ
高性能ゲームエンジン ソフトとハードの一体設計
売上・シェア競争 新規需要の創出と家族体験

このように、任天堂は「何を価値とみなすか」から独自の軸を持っているのです。この戦略は、「競争優位性とは、他社より上に行くことではなく、他社と違う場所に立つこと」という、MBA的な競争戦略の核心を実践しています。

この分析にMBAの学びはどう活きるのか?

任天堂の事例は、MBAで学ぶ差別化戦略・顧客価値設計・ブルーオーシャン論をリアルに理解できる絶好の教材です。

MBA領域 任天堂との接点
経営戦略論 差別化とコストを同時に実現する非連続型戦略(例:高性能を追わずに“まったく新しい遊び方”を提案するようなアプローチ)」
ブルーオーシャン戦略 競争を避けて市場を創造する構造思考
顧客価値設計 製品ではなく“体験”を再定義する視点
イノベーション論 既存技術の再構成による“意味の革新(既存技術の組み合わせで“今までにない価値”を生み出す視点)”アプローチ

単なるヒット作ではなく、「なぜそれが生まれたのか?」を構造で捉えることで、任天堂の強さは“学び”へと昇華されます。

次回予告

次回第2回では、任天堂がなぜ「ハードとソフトの一体運営」にこだわり続けているのか?

Switchの成功や、IP戦略と自社開発体制を軸に、その経営モデルの深部を解き明かします。次回もぜひご覧ください!

次の記事はこちら

【第2回】ハードとソフトの“一体戦略”が任天堂を強くする

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