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昨今、内部監査室に左遷もしくは異動になった社会人が増えていますが、内部監査と聞くと良いイメージを持たれていない方がほとんどです。
実際にGoogleの検索ボックスで「内部監査室」と入力すると、検索エンジンに「内部監査室 左遷」が出てきてしまいます。このことから、社会全体で内部監査はマイナスのキャリアというイメージが根強く存在しますが、本当に内部監査はマイナスのキャリアなのでしょうか。
本記事では、内部監査室への左遷や異動について、現役CIA(公認内部監査人)の筆者が、なぜ内部監査がマイナスのキャリアと言われてしまうのかを深掘りながら、内部監査人としてのキャリアパスについて分かりやすく解説します。
目次
なぜマイナスのキャリアと言われてしまうのか
そもそも内部監査の意義とは何か?
監査対象部門が内部監査室に抱く不満要因
良い内部監査とは何か
内部監査人としてのキャリアパス
内部監査はマイナスのキャリアではない!
内部監査がマイナスのキャリアと言われる理由を一言で表すと、監査対象部門から見て「粗探しをするかのように指摘する部署」というイメージが強い点にあります。
監査業務の性質上、監査対象部門に改善すべき点があれば指摘を行いますが、その指摘が例え正しい指摘であっても、監査対象部門が納得しなければ不満に変わってしまうことはよくあります。
この不満が蓄積されていくと、最悪の場合、監査対象部門との信頼関係が崩れ、内部監査が機能しなくなります。これこそが内部監査がマイナスのキャリアと言われてしまう大きな原因です。
また、この状態はキャリアに限った話ではなく、会社全体に対して悪影響を及ぼすため、是が非でも避けなくてはなりません。
監査対象部門との信頼関係を維持する上で、大切なことは「バランス」です。 監査対象部門へ改善すべき点を指摘することも大事ですが、監査対象部門の表情や反応などを観察することも忘れてはいけません。
このバランスを適切に保つためには、組織体の業務全般に精通し、客観的に評価・改善提案ができるようになることが必要です。 難しく感じるかもしれませんが、これが出来るようになると、監査対象部門との信頼関係を維持したまま指摘することができるため、組織体にとって貴重な人材となります。
様々な不正が蔓延する今の時代、定年間近の社会人に留まらず、誰でも内部監査人として転身する可能性は十分にあります。 そういったセカンド・キャリアを歩む読者を心から応援すると共に、どうすれば組織体の業務全般に精通し、客観的に評価・改善提案ができるようになるか。
内部監査の意義を振り返りながら解説します。
参照:CIAフォーラム研究会No.h4成果物(内部監査のスキル・ノウハウとセカンドキャリアについて)
内部監査の定義を一言で表すと、「組織体にさらなる価値を付加し、組織体の目標達成に役立つため」です。
具体的には、各プロセスの信頼性や確実性を検証し保証を与えるアシュアランス業務と組織の問題解決や改善のためにアドバイスやサポートを提供するコンサルティング業務にて、組織体にさらなる価値を付加させていきます。
アシュアランス業務とコンサルティング業務を遂行するためには、監査対象部門の業務内容、リスク、コントロールなどを適切に理解する必要があります。 この「監査対象部門への理解」というのはとても重要で、組織体の業務全般に精通するための第一歩と言えるでしょう。
ですが、組織体の業務全般に精通できたとして、その内容を客観的に評価・改善提案できるようにならなければ、偏った内容になってしまい、監査対象部門から不満を抱かれてしまいます。
参照:アシュアランス業務とは? コンサルティング業務との違い
内部監査の意義が素晴らしいものであるにも関わらず、監査対象部門に「粗探しをするかのように指摘する部署」というマイナスイメージを抱かせてしまうのはなぜでしょうか。それは、監査対象部門が内部監査室に抱く不満要因が関係しています。
不満要因は会社や業界によって多種多様ですが、先程述べた「監査対象部門への理解」が欠けている結果として、監査対象部門が内部監査室に不満を抱いたのであれば、監査対象部門への理解が十分でなかった内部監査室に非があると言えます。
しかし、監査対象部門に対する理解が十分な状態で、論理的に改善すべき点を述べたにも関わらず、監査対象部門が内部監査室に不満を抱いてしまうことがあります。
先程述べました通り、論理的に改善すべき点を述べる力に加えて、客観的に評価・改善提案ができる力が必要です。
客観的に評価・改善提案できるようにするためには、この論理的な思考に加えて、特定の立場に囚われることなく、誰が聞いても理解・納得できるような丁寧な言葉で伝えなければなりません。ここまでのクオリティに仕上げることができれば、それは良い内部監査と言えるでしょう。逆に、これが欠けると、納得のいかない不満要因になってしまいます。
では、不満要因を解消できるような良い内部監査を目指すために、私たち内部監査人は何をするべきでしょうか。
良い内部監査を一言で表すと、「監査対象部門のコンフリクトを適切に理解した上で、合意形成に至るまでのプロセスを確立し、実行レベルまで落とし込めている内部監査」です。
論理的に改善すべき点だけを述べるというのは、机上の空論になってしまいがちで、現場の状況を考慮した尊重が欠けてしまうことがあります。大切なのは、監査対象部門とWin-Winな関係を築くことです。そのために客観的に評価・改善提案できる力も必要と述べましたが、これにはコンフリクト・マネジメントの考え方が役立ちます。
監査場面に応じたコンフリクトと監査シナリオを策定した上で、監査対象部門に合わせた具体的かつ実現可能性のある改善提案が述べられるような適切な準備をしましょう。
また、改善提案を述べる際は、監査対象部門の反応に注目しながら、お互いが納得できる形で合意形成できるようなコミュニケーションを心掛けます。
仮に監査対象部門が感情的になっても、内部監査室側が感情的になってはいけません。内部監査室側が毅然たる態度でありつつも歩み寄る姿勢を持つことが必要です。
この一連の行為の積み重ねが良い内部監査へと発展し、会社にさらなる価値を付加することができて、最終的には企業価値の向上に繋がります。
コンフリクトについては以下の参照をご覧ください。 大変よくまとまっており、すぐに実現できるレベルで分かりやすく解説されていますので、深くお読み頂くことをお勧めします。
ここまで述べた通り、良い内部監査を目指すためにはそれ相応の準備が必要です。
特に、個人スキル(コミュニケーション能力、批判的思考など)や技術的専門知識(ガバナンス・リスクマネジメント・コントロールに関する知識、ビジネス感覚など)に関しては、良い内部監査を目指す上で強く求められます。
今回、左遷や異動などで内部監査人になった読者に向けて、この記事を通してお伝えたいのが、そのきっかけは間違いなく新たなキャリアパスへのスタートになるということです。
内部監査人は、医者・弁護士・会計士と同じ専門職であり、誰もが簡単になれる職業ではありません。故に希少性が高く、価値があります。
内部監査人に求められる個人スキルや技術的専門知識を伸ばすことができれば、幅広い場面で活躍することができるでしょう。
内部監査人としての能力をさらに向上させたいという方へ、特にお勧めしたいのが公認内部監査人(CIA)の取得です。
公認内部監査人でなくても内部監査を行うことはできますが、公認内部監査人で学ぶ内容は実務に直結するものが多く、内部監査人としてのキャリアパスを歩む上では申し分ない内容となっています。
公認内部監査人について気になった方は、下記の参照をご覧下さい。
参照:公認内部監査人(CIA)とは?取得するメリット、他資格比較
内部監査はマイナスのキャリアではありません。むしろプラスのキャリアと言えるでしょう。「粗探しをするかのように指摘する部署」というイメージが完全に消えることはありませんが、様々な部門とコミュニケーションを取る中で、独立した客観的な立場で監査対象部門の課題を理解し、助言や提言を行うことができるのは、内部監査系の部署だけです。
1人でも多くの読者が、自信と誇りを持って、監査業務に励んで頂くことを心よりお祈り申し上げます。
アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。合格率を上げるために、オリジナル教材と講師の質の良さにこだわっています。
講師は対法人向けの内部監査の実務研修も行っており、専門分野の知識だけでなく、ティーチングスキルにも優れているのが魅力です。
また通学・通信を併用できるコースや、スキマ時間で学習できるコンテンツなども揃えており、忙しい社会人でも効率よく学習できる環境が整っています。
CIAをはじめとする内部監査に関する資格取得を目指している方は、ぜひアビタスの利用を検討してみてください。
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