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【第4回】NTTの変革から学ぶ「経営の本質」
目次
NTTの変革を読み解く3つの視座
「企業が変わる」とはどういうことか?
公益と収益の二律背反をどう超えるか
ビジネスパーソンへの3つの示唆
MBAの学びとの接点
終わりに
これまで見てきたように、NTTの歩みは「規制産業」としての制約を抱えながらも、組織再編と技術革新を通じて進化を続けてきました。整理すると、大きく以下の3つに集約されます。
制度と規制との向き合い方
独占から自由競争へという環境変化の中で、NTTは「完全民営化ではない」という曖昧な立ち位置に置かれてきました。その中でグループ再編やNTTドコモ完全子会社化といった決断を重ね、規制の枠を活かしつつ成長を模索しました。
巨大組織のガバナンス改革
持株会社体制の下、グループ各社に自律性を与える一方で、資本効率や全体戦略を司令塔として統制。本社の役割を「監督」から「戦略設計」にシフトさせ、部分最適に陥りがちな大組織を全体最適に近づけました。
未来を見据えた技術投資
年間5,000億円規模の研究開発費、IOWN構想を通じた社会基盤レベルの挑戦。短期収益ではなく、10年先の社会課題を見据えて動く姿勢は、日本企業として稀有な存在感を放っています。
NTTの歩みから見えてくるのは、企業変革とは単なる「制度の変更」や「組織図の書き換え」にとどまらないという事実です。
制度・規制が変わるだけでは不十分
たとえば電気通信事業法の改正や料金規制の緩和があっても、それだけでは経営の質は変わりません。実際に現場での意思決定プロセスや資源配分のルールが変わらなければ、研究開発投資や新規事業はスピード感を持って動けず、効果は限定的に終わってしまいます。
組織再編だけでは持続しない
NTTは過去に分割や統合を繰り返してきましたが、それだけで長期的な競争力を維持することはできません。重要なのは、人材の動き方や研究者の挑戦文化、現場の裁量にまで改革の波を浸透させることです。例えばドコモ完全子会社化も、単なる資本再編に終わらせず、法人営業部門や技術部門が横串で協働する体制づくりに発展させて初めて成果が出ました。
技術開発だけでも勝てない
年間約5,000億円もの研究開発投資を続けても、それが社会実装されなければ意味がありません。IOWN構想のような先端技術も、国際標準化やビジネスモデル化と結びつけなければ、世界市場での優位性にはつながらないのです。
結局のところ「企業が変わる」とは、制度・構造・人・技術がそれぞれ単独で変わるのではなく、相互に結びつき合い、総合的に変化することを意味します。これを欠いた改革は、一時的な成果は出ても持続可能な競争優位にはなり得ません。
NTTに特有なのが「公益」と「収益」の両立というテーマです。
公益:ユニバーサルサービスの提供、災害時通信の確保、地方インフラの維持
収益:株主へのリターン、国際競争で勝てる新規事業の創出
この二律背反をどう調和させるかは、今後も永遠の課題です。近年の光回線卸や5G展開でも、規制当局との綱引きは続いています。NTTの挑戦は、「公益性を担保しながら収益性を高める」経営モデルを示す実験でもあります。
NTTの変革から、私たちが日々のビジネスに活かせる教訓を抽出すると、次の3点に整理できます。
制約条件を前提に戦略を描く力
自由度がない環境こそ、創造的な戦略設計が問われる。規制産業に限らず、制約をチャンスに変える思考は不可欠。
巨大組織でも「自律と統制」を両立できる
部分最適と全体最適のバランスをどう取るか。これは企業規模を問わず、どの組織にも共通する課題。
長期の技術投資こそ未来の競争優位
短期利益に追われがちな中で、10年先の社会課題に投資する姿勢は、個人のキャリアやスキル投資にも応用可能。
NTTの示唆は、MBAの学びに直結します。
| MBAの論点 | NTTの示唆 |
|---|---|
| 経営戦略論 | 制約下での競争優位の設計 |
| 組織デザイン | 自律と統制を両立する仕組みづくり |
| イノベーション戦略 | 巨額R&Dを社会実装に結びつける力 |
| ガバナンス | 公益と収益を両立させる意思決定のあり方 |
NTTの歩みは、「日本最大の通信企業の物語」であると同時に、「制約の中で進化し続ける組織の物語」でもあります。企業にとっての変革は、外から与えられるのではなく、内部から設計し、浸透させ、未来へつなげていくプロセスです。
あなたの所属する組織に置き換えるとどうでしょうか?
・制約の中で、どんな工夫ができるか?
・部門最適に陥らず、全体の視点で考えられているか?
・10年後に誇れる投資や仕組みを今つくれているか?
NTTの挑戦は、私たち一人ひとりに「制約を超える経営思考」を問いかけています。
次回は、また別の業界・企業の事例を取り上げていく予定です。あなた自身の現場と重ねながら、引き続き一緒に考えていきましょう。
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