本ウェブサイトでは、Cookieを利用しています。本ウェブサイトを継続してご利用いただく際には、当社のCookieの利用方針に同意いただいたものとみなします。
本ウェブサイトでは、Cookieを利用しています。本ウェブサイトを継続してご利用いただく際には、当社のCookieの利用方針に同意いただいたものとみなします。
ビジネスの場で「ガバナンス」という言葉を耳にすることがあります。どういう意味なのか、「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「ガバメント」とはどう違うのか、気になっている人もいるでしょう。
ガバナンスとは「統治・支配・管理」を意味する言葉です。
企業経営においては「コーポレートガバナンス」の略語として使われることが多く、公正な判断や健全な企業運営のための体制を指します。
本記事では、企業経営におけるガバナンスの必要性や強化のための取り組み方法などを紹介します。また、ガバナンス強化に有効的な方法の1つとして資格取得についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ガバナンス(governance)の意味
ガバナンスと混同しやすい4つの言葉
ガバナンスを強化することの意味
ガバナンスが効いていない場合に考えられるリスク
ガバナンスを強化するために必要な5つの取り組み
ガバナンス強化には資格取得も検討しよう
ガバナンスの強化は必要不可欠
ガバナンスとは、企業価値の向上や不祥事の防止を目的として、社外取締役や社外監査役など、社外の管理者によって経営を監視する仕組みのことで、コーポレートガバナンス(企業統治)として使われることが多いです。
従業員をはじめ、株主や顧客、地域社会などからの信頼を得るためには、企業内部にしっかりした管理体制を整えておかなければなりません。
日本においては、大企業による不祥事が相次いだ2000年代に広く注目されるようになりました。
ガバナンスを強化すると、有価証券報告書の虚偽記載や資金流用、情報漏えいをはじめとした様々な不正行為が安易にできなくなります。
また、仮にそのような不正行為が行われた場合でも、早い段階で社内の人間が不正に気づき、内部告発などにつなげることができるでしょう。
透明性の高い経営のためには、ガバナンスの強化が求められます。社内に有効な内部統制の体制が整備され、運用されているかを監視することが必要です。
企業としてコーポレートガバナンスの実現、強化するためのガイドラインとして、基本原則や指針を示したものを「コーポレートガバナンス・コード」といいます。
コーポレートガバナンス・コードは以下「基本の5原則」で構成されています。
金融庁と東京証券取引所が共同で公表し、2015年6月に全上場企業に適用されました。
2023年5月現在までに2度改訂されており、直近となる2021年の改訂では人的資本の情報開示についての項目などが追加されています。
参照:株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~(2021年6月版)」
コーポレートガバナンスの他にも、「グローバル・ガバナンス」という言葉があります。
言葉の定義があるわけではありませんが、海外進出や海外でのM&Aを含むグローバル市場への展開を進める企業において、日本国内だけでなく、国外でも同様のガバナンスを構築することを意味するケースが多いとされています。
日本と海外の価値観や文化の差で生じるリスクによって経営が悪化する可能性も懸念されるため、グローバル・ガバナンスの整備も重要です。
ガバナンスと混同しやすい言葉に、以下の言葉があります。
それぞれ、ガバナンスとは異なる意味を持っています。ここからは、各言葉の意味やガバナンスとの関係について見ていきましょう。
コンプライアンスとは「法令遵守」を意味する言葉です。
一般にビジネス用語として使う場合は、法令だけでなく、社会規範・モラル・社内規則などを広く守って経営を進めていくという意味で用いられています。
企業が不祥事を起こしてしまうのはガバナンスが有効に働いていない状態であるということであり、これはコンプライアンス違反となります。
コンプライアンスを強化するために、外部から企業を統治・監視する仕組み、つまりコーポレートガバナンスが必要なのです。
企業経営には、「災害にあうリスク」「個人情報流出のリスク」をはじめとする多くのリスクが伴います。また、リスクが発生した場合、損失が生じます。
リスクマネジメントとは、想定されるリスクを事前に洗い出し、リスクの発生を最小限に抑えるための取り組みです。
仮にリスクが発生した場合に、その被害損失を最小限にとどめるよう事前に準備しておくことも、リスクマネジメントに含まれます。
リスクマネジメントの体制が整備され適切に運用されているかについて監視することも必要です。
関連記事:アビタス CIA「リスクマネジメントとは?意味やその必要性、事例や手順を解説」
内部統制とは、企業が不祥事を起こすことなく健全かつ効率的に事業を運営するための社内ルールや仕組み、社内の管理体制を指します。
ガバナンスも内部統制も、健全な経営を行うための取り組みという点では同じですが、取締役や経営者が従業員の不正などを防止・管理するため、企業内部でつくられる仕組みが内部統制となります。
一方、ガバナンスは株主や取締役会、顧客などが経営者の不正などを外部から管理・監視するための仕組みです。
関連記事:アビタス CIA「内部統制とは? 4つの目的・6つの基本的要素、J-SOXについても解説」
ガバメント(government)とは「政治」や「政府」を意味する言葉です。名称の響きから混合されるガバメントは、ガバナンスという言葉が示すものとは大きく異なります。
言葉そのものに着目すると、ガバナンスとガバメントは、ともに由来は「govern(統治する)」です。
しかし、それぞれ主体が異なり、ガバメントは「国」、ガバナンスは「組織」を指します。
企業のガバナンスを強化するとどのような意味や価値が生じるのでしょうか。
ここでは、ガバナンスを強化することによって企業が得られる意味や価値について、詳しく見ていきましょう。
ガバナンスを強化している企業は、不正に対する監視体制が確立できているため、社内で不正や情報漏えいなどが起きるリスクが大幅に軽減されています。
そのため、ガバナンス強化に積極的な企業は、透明性が高いと評価されるのです。
透明性が高いと優良企業であると多くの人から認知されるため、企業価値の向上につながります。企業価値が向上すれば、顧客や株主など、ステークホルダーからの信頼度も高まることが期待できます。
加えて、ガバナンスを強化している企業の財務情報も信頼度が高いと判断されるため、金融機関から融資を受けやすくなる点もメリットの1つです。
ガバナンスを強化する際は、規則や企業の方針を社内に浸透させなければなりません。
規則だけでなく企業方針もしっかり社内に浸透すると、従業員同士の連帯感が生じ、企業に貢献しようという気持ちが高まる傾向があります。その結果として、生産性の向上が期待できます。
生産性の向上は、収益力の向上につながります。収益力が向上すれば企業は競争力を高めることが可能です。
このように、社内に良いサイクルができると、持続的に収益力が向上し、事業成長が見込めます。
ガバナンスが効果的でない場合、不正や不祥事などが発生しかねない状況にあるといえます。
不正や不祥事などが起きれば、企業や組織の社会的信用の失墜は免れず、経営不振や倒産といった結果につながる可能性も否定できません。ガバナンスを強化することは不正や不祥事の防止策の1つでもあり、万が一発生した場合も被害を最小限にしやすくなります。
結果、社会的信用の失墜の防止につながるのです。
前述のように企業内でガバナンスが効果的ではない場合、社内の不正や不祥事を防止することが難しくなります。
ガバナンスが効いていない場合、従業員の不祥事が発生する可能性が高まります。情報漏えいや横領などが起きると、企業としての社会的信用を失うことになるでしょう。
ガバナンスが効いていない企業では、外部からの監視が不十分となり、社内のリスクマネジメントが適切に実施されない場合があります。場合によっては、地震などの災害が起きた場合などに対応できないこともあるでしょう。
加えて、コンプライアンス(法令遵守)への取り組みも十分に行われない可能性があります。そのため、独占禁止法違反、賄賂、偽装などの防止が困難になるでしょう。
実際に従業員が不正に手を染め、結果として企業の評価を落とすことにもつながります。
このようなリスクの高い企業に対して、投資を避ける株主も珍しくありません。結果として、ガバナンスが効いていないと、株価下落のリスクも生じます。
ガバナンスの強化が進んでいれば、企業価値や収益力向上が期待できます。一方、ガバナンスが効いていないと、企業にとって様々なリスクが生じます。
では、ガバナンスを強化するためには、どのような部分に力を入れればよいのでしょうか。
ここでは、ガバナンスを強化するために必要な下記5つの取り組みについて見ていきましょう。
ガバナンスは、企業は経営者のものではなく出資している株主のものというスタンスで経営を監視する仕組みのことです。そのためには、社外取締役や社外監査役等社外の管理者による経営の監視や、取締役と執行役の分離が必要となります。
コーポレートガバナンス・コードにおいても、社外取締役が独立した客観的な立場から経営陣や取締役に対して実効性の高い監督を行うことが求められています。
金融商品取引法により、上場企業や大企業は有価証券報告書を開示しなければなりません。また、株式会社であれば非上場会社であっても、原則として会社法に則り決算公告が必要です。
決算公告とは、株式会社が前年度の決算内容について株主総会の承認を得た後、その要旨を債権者や投資家に広く伝えるために、官報や日刊新聞紙、または自社ホームページに掲載(電子公告)するものです。
ガバナンスの強化を目指す際は、決算書の開示に加えて、業務内容や経営活動、今後の予定、社会的責任に関する情報、ガバナンス強化への取り組みなどについての公開を検討しましょう。
企業としての方向性や取り組み内容を公開することで社会から信頼が得られ、企業価値の向上につながります。
ガバナンスの要請に応えるためには、リスクマネジメントやコンプライアンス対策などが機能するように、社内に有効な内部統制の体制を整備しなければなりません。
リスク要因やコンプライアンスは、国際情勢の変化や技術革新などの影響を受けて毎年のように変化し続けています。
そのため、既に内部統制を行っている企業も、今の体制に不備がないか定期的な確認が必要です。
現状、リスクマネジメントに積極的に取り組んでいない場合は、想定されるリスクを事前に洗い出し、防止やリスクの軽減に努めるとよいでしょう。
経営者がガバナンスに応えるための経営を行っても、従業員がその趣旨を理解し協力を得られなければ、目的を達成することは困難となります。
社内に対しても、ガバナンスを強化する目的や取り組み内容を周知し、認識を共有しておくことが必要です。
ガバナンスの強化には内部監査の実施が欠かせません。内部監査人が行う内部監査では、独立で公平な立場で経営状況の検討や評価をした上で、経営者に対し企業経営に対する適切なアドバイスを行います。
具体的には、財務状況の確認・検討だけでなく、コンプライアンスの徹底、リスクマネジメントの実施など、幅広い観点から企業経営の評価なども行うのです。
そのため、内部監査によって、自社に今欠けているものや足りないものを自覚し、その都度改善することができます。
内部監査機能は、健全なガバナンスを支えるために不可欠な資源といえるでしょう。
関連記事:アビタス CIA「内部監査(業務監査)とは?目的・やり方・チェックリストを解説」
ガバナンス強化の取り組みとして、内部統制の整備や内部監査の実施が挙げられます。その中で、資格取得も有効な方法の1つです。
内部統制の整備や内部監査の実施を適切に遂行できる知識や能力を身につけるためには、CIA(公認内部監査人)の取得をおすすめします。CIAとは、内部監査人としての能力および専門性を証明できる唯一の国際資格です。
内部監査は企業の内部統制の適正性をチェックするものであるため、CIAの試験対策では内部統制についても詳しく学びます。また、CIAの認定試験は世界約190の国と地域で実施しているため、世界的に認知度の高い資格といえます。
ガバナンス強化を目指すのであれば、こうした資格取得も方法の1つといえるでしょう。
関連ページ:アビタス CIA「公認内部監査人(CIA)とは?取得するメリット、他資格比較」
ガバナンスが効いていない企業では、企業内でいつ不正行為が行われるか分からない状態です。また、社内のリスクマネジメントが適切に実施されない場合もあり、様々なリスクが生じた場合に大きな損失を被る可能性があります。
一方、ガバナンスを強化すれば、株主や顧客はもちろん、社会からの信頼度が高まります。従業員も自信を持って仕事ができるため、生産性や利益の向上が期待できます。
企業にとってのリスクをできるだけ軽減し、企業の価値や透明性、信頼度を高めるためにも、ガバナンスの強化は必要不可欠です。
ガバナンス強化の取り組みとして内部統制の整備や内部監査の実施などが挙げられます。内部統制や内部監査に係る知識向上のためには、CIA資格の取得は有効な手段といえるでしょう。
CIA(公認内部監査人)資格を取得すると、内部監査やガバナンスに関する知識や能力を有していることを証明できます。
CIAは、内部監査人の能力を証明するための唯一の国際的な資格です。CIA資格取得者によって内部監査を行うことは、企業にとってガバナンス強化をアピールすることにもつながります。
アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講しています。試験傾向を踏まえた上で、トピックを精選したオリジナルテキストを利用しており、効率よく学習を進めていくことが可能です。
講師陣の質も高く、アビタスのプログラムで取り組めば、内部監査に関する知識がない方でも約400時間で合格を狙えます。
CIAの資格取得を目指す方は、ぜひアビタスの利用を検討してください。
最近のエントリー