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コンプライアンス遵守とは、法令や法律だけでなく、業界や企業のルール、社会的なモラル、倫理規範などに従い行動することを指します。
本記事ではコンプライアンスの具体例やメリット、違反した場合のリスクなどについて解説します。
目次
コンプライアンス遵守とは何か
コンプライアンス遵守の種類
コンプライアンス遵守の具体例とは
コンプライアンス違反のリスクとは
コンプライアンス遵守が企業に与えるメリット
コンプライアンス遵守に役立つ「公認不正検査士(CFE)」
コンプライアンスの遵守は企業の責務
企業経営において、法令遵守は欠かせません。しかし、それだけでは企業の信頼性や社会的責任を高めるには弱い部分があります。そこで求められるのが、企業のコンプライアンス遵守です。
コンプライアンス遵守とは、法令遵守に加え、企業倫理や社会的良識、社会規範、モラルなどを守ることを含んでおり、社会的ルールとして定められ明文化されている規律等の遵守を指します。また、ここには各企業が独自に定めたルールやポリシー、明文化されていない規律等も含まれます。
企業がコンプライアンス違反を行うと、消費者からの信頼が低下し、企業のブランドイメージを損なうこととなります。売上の低下や利益の減少につながることも少なくありません。
一度失った信頼を取り戻すのには時間がかかり、場合によっては、コンプライアンス違反がきっかけで倒産に至るケースもあります。企業イメージを維持し社会的信頼を得続けるには、コンプライアンス遵守は欠かせないものといえるでしょう。
企業にコンプライアンス遵守が求められるようになった一因として、2000年代初頭に企業の不祥事が相次いだことが挙げられます。リコール隠し、不正会計による株価操作、インサイダー取引、ブラック企業の長時間労働など様々な問題が明るみに出ました。
このような不祥事を防ぐためには、法令遵守に加えてコンプライアンス遵守が不可欠だという認識が広まりました。今では、企業の信頼性向上やブランドイメージ保護のためにもコンプライアンス遵守は欠かせないものだと考えられています。
コンプライアンスの範囲は、以下の3つの種類に分けられます。
それぞれについて見ていきましょう。
当然ですが、国や地方自治体が定めた法令や条例などを守ることも、コンプライアンス遵守の範囲の1つです。
企業は、会社法を始め労働基準に関するさまざまな法制度や税法、独占禁止法など、様々な法令や法律を理解し、遵守しなければなりません。これらに違反した場合、罰金・訴訟・業務停止命令などの法的制裁を受けることがあります。
グローバルに活躍する企業の場合、日本だけでなく様々な国の法令や法律を理解することが大切です。
企業は、倫理規範やモラルなどを遵守する必要があります。
例えば、ハラスメントや差別・誤解を招く広告などの禁止、製品の安全性の確保や環境保護への取り組みなどが該当します。
企業が透明性を保つためにも、倫理規範やモラルを意識したコンプライアンスの実践は欠かせません。
法律で規定されていなくとも、業界独自に自主的に採択されている規制や独自の基準なども存在します。これらを守ることも、企業のコンプライアンス遵守には欠かせません。
業界独自の規制や基準としては、電子機器業界の技術・安全基準や特定の業界における環境保護基準、IT業界などのプライバシーとデータ保護などが挙げられます。
このような業界独自の規制を守らなくても法律違反にはなりません。しかし、独自基準を守ることで、業界全体の信頼度向上につながります。
具体的にどのようなものがコンプライアンス遵守に該当するのでしょうか。ここでは、以下の4つの法令や法律に関する具体例について紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
個人情報保護法の主な目的は個人情報を適正かつ効果的に扱い、個人の権利や利益を保護することです。
個人情報とは、生存している個人で、特定の個人を識別できる情報を指します。主なものは次の4つです。
個人情報を入手する際は利用目的を特定し、その範囲内でのみ利用することが求められます。保管や管理には十分に気を配らなければなりません。
一般的に、労働者は使用者と比べて弱い立場にあり、「労働者に対して十分な対価を支払わない」「有休が取得できない」など、労働者の利益が搾取されやすい状態にあります。
労働に関する法律の主な例を見ていきましょう。
概要 | |
---|---|
労働基準法 | 労働の条件や使用者の義務、違反時の罰則等を定め労働者を保護する法律 |
労働組合法 | 労働組合を作り会社と対等に立つことで労働者の地位を向上するよう保護する法律 |
労働契約法 | 労働者と使用者が対等な立場で労働契約を締結・変更できるよう保護するための法律 |
その他にも最低賃金法、労働安全衛生法、職業安定法など多くの法律があり、企業はこれらを遵守しなければなりません。
企業と反社会的勢力とのつながりを絶つことを目的とした法令や法律、条例には様々なものがあります。主な例は次の通りです。
建設業法や宅地建物取引業法、貸金業法などでは事業の要件として「暴力団員等が在籍していないこと」という内容が盛り込まれています。
企業の発展のために自然環境や生活環境を無秩序に破壊すると、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音など人の健康に影響を与える様々な問題が生じます。
環境保護に関する法律は、このような問題を未然に防ぎ、環境の保護や改善を行うことを主な目的としています。具体的な例としては以下のものが挙げられます。
概要 | |
---|---|
環境基本法 | 生活環境および自然環境の保全を主な目的とする |
自然環境保全法 | 自然環境の保全を主な目的とする |
なお、公害対策を目的とした「公害対策基本法」は、「環境基本法」の制定に伴い1993年に廃止されました。
コンプライアンス違反は、企業にリスクをもたらします。具体的には以下の4つのリスクが想定されるでしょう。
1つずつその詳細を解説していきます。
法令や法律違反が発生した場合、罰金の支払いが求められるケースがあります。また、民事訴訟を起こされた場合、対応に多くの時間や費用が必要です。
業務停止命令や免許・許認可の取り消しは、経済的な機会損失に加えて企業としての信頼低下につながります。
コンプライアンス違反が明るみに出ると、ニュースやSNSで話題になるケースも少なくありません。
悪評が立てば、取引先や消費者、顧客、株主など利害関係者からの信用低下に加えて、社会全体においての企業イメージの悪化にもつながります。
企業の信頼度が落ちると、顧客離れや売上低下が生じることがあります。業務停止命令が下れば、一定期間は商品販売やサービス提供ができません。
また、罰金や訴訟費用の支払い、製品回収のコストなど様々な支出が必要になることがあり、大きな経済的損失が生じます。
重大な金融犯罪や汚職など、大きな問題が起きた場合は、経営者の責任が追及されることがあります。違反内容によっては、解任されるケースも見られます。
また、経営者が刑事責任や民事責任、職務上の責任などについて問われることがあります。コンプライアンス違反は経営者にとっても大きなダメージを与えます。
コンプライアンスを遵守することは、企業にメリットを与えるものでもあります。代表的なメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
コンプライアンスを遵守することで、法律や法令違反といった法的リスクを回避することができます。また、社会的責任を果たす企業として高い評価を得られる可能性も少なくはありません。
加えて、コンプライアンスの遵守を目的とした取り組みにより、製品の安全性向上や透明性の高い取引が実現できれば、顧客満足度の向上も期待できます。
社内においても、コンプライアンス遵守の姿勢が浸透することで、ハラスメントなどがなくなり、従業員にとって働きやすい職場環境が実現します。結果として、社員のモチベーション向上につながりやすくなるでしょう。
コンプライアンス遵守に役立つ資格に、公認不正検査士(CFE)があります。CFEは不正に関する専門性を証明する国際資格です。
資格取得には法的な知識に加え、不正の発見方法、犯罪学の知見、関係者への聞き取り調査能力など、幅広い知識や能力が求められます。取得すると、内部監査、コンプライアンス(法務)、経理、財務などの職種で活用できます。
日本においては、監査法人やコンサルティングファーム、会計事務所など中心にCFE資格保有者が求められている状況です。
コンプライアンス違反など、企業内の不正リスクへの対応知識を強化したい場合は、CFEの資格取得を検討してみましょう。
コンプライアンス遵守とは、法令や法律に加え、社会的なモラルや倫理規範、企業や業界のルールなどに従い行動することを指します。
法令や法律に違反すると、罰金や罰則が科せられることや業務停止命令の対象となることもあります。その他にもコンプライアンス違反を起こすと、企業に対する信頼度は低下し、売上低下や倒産につながるケースすらあります。
多くのリスクを回避するためにも、コンプライアンス遵守は欠かせません。
コンプライアンス遵守に役立つ資格として、CFEがあります。企業内の不正リスクへの対応知識を強化したい場合、取得を検討してみましょう。
アビタスでは2018年からCFEプログラムを実施しています。開講以来多くの合格者を輩出し続け、約80%という高い合格率を維持しています。
最新の試験傾向を踏まえたオリジナル教材を使用しています。学習時間150時間での合格を見込んだカリキュラムを組んでおり、短期間に効率よく合格したいと考えている多忙な社会人の方にも最適です。
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