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活躍できるフィールド

監査人としての活動領域の拡大

CFEの知識体系は、従来の監査とは異なる観点から形成されており、監査人の知見を広げるとともに監査の品質向上にも資するものです。そのキャリアは、不正調査という限られた領域から、マネージャー層や経営者まで、内部統制をつかさどるあらゆるポジションへと広がりを見せています。
内部監査、コンプライアンス(法務)、経理・財務といった職種で、不正に対して感度の高い人材を配置することは、組織としての対応能力も高めます。CFEは名刺に記載でき、社内外に対してのアピールが可能な資格です。日本においては、監査法人やコンサルティング・ファーム、会計事務所を中心にCFE資格保持者が求められています。一般事業会社においては、特に金融機関でCFEのリクルーティングが行われており、社内でも資格取得を推奨されるケースが増えています。

生かせるポスト・ポジション

CFE資格で得られる知識は、さまざまなポジションで生かせます。

内部監査やコンプライアンス担当部署

不正はリスクです。リスクは正確にとらえ、対策を取る必要があります。内部監査部門や、法務部をはじめとしたコンプライアンス担当部署は、不正がどのようにして発生するか、どのように対処するか、どう防ぐかを学ぶCFE資格の知識は業務に直結します。

独自の調査や基準を持っている企業はこれまでもありました。ただ、国境を越えたM&Aやダイバーシティのある組織が当然となった今、その調査手法や基準が、グローバル基準に照らしてどうか、それを対外的に証明できるかも、求められるようになっています。

管理職や経営層

不正はいつも現場で起きます。現場の責任を担っているのは、内部監査部門の担当者でもコンプライアンスの担当者でもなく、現場の管理職です。

CFEの知識は、管理職が自分の部署に不正は起きないか、不正が発生するリスクはないかを確認する指針となります。さらに、リスク担当部署との共通認識を持って現場から提言することも可能です。

現代は、SNSが普及したため、ひとつの小さな不正や事故、トラブルが、会社全体を揺るがしかねないリスクを抱えています。経営層にとって、不正対策は担当部署や現場に任せておくだけではなく、彼ら以上の厳しい視点で正しくリスク評価する必要があるのです。

会計士、弁護士などの専門職

米国のエンロン社、ワールドコム社の大型会計不正事件が起き、米国でも、日本でも、不正を防ぐための法律が整備されました。
一方で、2000年代以降も日本の上場企業の会計不正をはじめとした事件が後を絶ちません。そのたびに弁護士や公認会計士らが専門家として調査委員会を組織し、原因究明や再発防止に努めます。発生してからはもちろんですが、平時においても多角的に不正のリスクをとらえるために、CFEの知識は役立ちます。

ACFE × Abitus インタビュー

組織の不正に関する報道が後を絶ちません。今、不正は組織において潜在的に存在しているという前提で対策を講じることが求められています。CFE(Certified Fraud Examiner; 公認不正検査士)らを会員に持つ一般社団法人 日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)の藤沼亜起理事長とアビタス代表の三輪豊明が、組織の不正対策とCFE資格の意義について対談しました。

藤沼 亜起氏
一般社団法人 日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)
理事長
三輪豊明
アビタス代表

CFE の役割は「不正の事前防止や抑止」にこそある

小規模な不正会計でも年数が重なって大きな額に

三輪:世界的企業の不正会計や機密漏えい、公的機関の文書偽造をはじめ、不正に関する報道を毎日のように目にします。

藤沼氏:上場会社に関わる不正は、会計不正事案と開示不正事案の二つに大きく分けることができます。私がIFAC(国際会計士連盟)会長であった時代(2000~02年)には、米国でのエンロン社とワールドコム社の大型不正会計事案に遭遇し、JICPA(日本公認会計士協会)会長時代(2004~07年)には、ライブドアなどの新興企業の一連の不正が発覚しました。近年、製造業では品質管理データの偽造・ねつ造が相次ぎました。開示不正事件の範疇に入る、大手広告代理店による労働基準法違反事件も社会問題になりました。

三輪:不正そのものが増えていると捉えるべきでしょうか。

藤沼氏:不正会計の件数は、2008年度27社が、2015年度37社、2017年度には64社と確かに増加しています(2018年4月商工リサーチ調べ)。2017年を内容別に見ると粉飾22社、着服13社、誤謬(誤り)が29社で、誤謬の内容は不明です。

三輪:不正か誤りかは、意図があるかどうかですね。

藤沼氏:そうですね。不正会計の理由は会計が難しくなってきているという面もあります。近年「子会社・関連会社」で発生する不正会計が増加しており、2017年は親会社での発生数を上回っています(子会社・関連会社30社、親会社23社)。日本の会社は子会社管理の部隊が必ずしも海外まで見ておらず、買収先の現地(法人)に任せがちです。小規模な不正会計でも年数が重なって大きな額になることは珍しくありません。海外子会社に関しても、抜き打ちで監査に訪れることが必要だと思います。

不正のトライアングル(動機・機会・正当化)を考える

三輪:未然防止策についてはいかがでしょうか。

藤沼氏:不正問題には企業内のさまざまな部署が関わります。会計不正であれば経理財務部や内部監査部だけでなく、法務部や広報部が加わることもあります。製造部門に関係する問題は品質管理部門が、海外や国内の子会社・関連会社の問題は海外・国内事業部門などが担当部署になる会社もあるでしょう。いろいろな部門が関与しなければならない中で、日本の会社の場合は連携がうまくとれていないケースが多々あります。社長には報告したけれど他部署は知らないとか、その逆に社長にまで上げる事案ではないだろうと思っている間に問題が大きくなってしまう。これは内部統制の基本的要素である「情報と伝達」に問題があったのではないかと思えます。不正が発覚した場合の責任者(執行役)とその指揮命令系統を事前に明確にしておくこと、また関係部門間の情報の共有や連携が重要になると思います。

ACFEでは、不正のトライアングル(動機・機会・正当化)の視点を強調しています。経営上層部による収益目標達成のプレッシャーや、業界慣行による製品引渡し納期厳守のプレッシャーが不正を働く動機になります。多額の借金をしている者が、着服などに走る場合もあります。人間は一般に、プレッシャーやお金に困っていることなどが動機になり不正に走るのであって、性善説や性悪説で人間を判断することはできないと思います。

CFEは犯罪の心理まで踏み込んで学ぶ

三輪:CFE資格取得者が果たす役割についてお考えをお聞かせください。

藤沼氏:CFEの主な役割は、不正の摘発や検査のみならず「不正の事前防止や抑止」にあると思います。CFEの視点を理解することが、CIA(公認内部監査人)やCPA(公認会計士)、また社外役員にとっても、大変役に立ちます。これは、長年公認会計士として企業の外部監査に携わり、また約10年間社外役員としてコーポレートガバナンスを担ってきた私の実感です。不正に対する感度が上がるのです。「大事は小事より起こる」という言葉もあるように、自分の部下の行動を見て「大丈夫なのかな?」と思ったときに、注意を促すことで、小事でことを納められるという感じがしています。

CFEの知識体系は、①「財務取引と不正スキーム」、②「法律」、③「不正調査」、④「不正の防止と抑止」の、4つの分野に分かれています。「財務取引と不正スキーム」は会計上の不正をどう見抜いていくか、「法律」は不正調査をするにあたって知っておくべき法律、どんなものに抵触すると不正になるのかなど、「不正調査」はいかに不正調査を行うかを学びます。四つ目の「不正の防止と抑止」は、もともとは倫理を含めた「犯罪学と倫理」という科目でした。不正対応のプロになっていくには、犯罪学と倫理も非常に大きなテーマとなっています。

米国では、CFE資格保持者の職種は、内部監査部門にとどまらず、財務経理部、法務部などの担当者の中にCFEの資格ホルダーがいるケースが少なくありません。CFEは公的機関の要請を受けて不正検査をしており、米国のACFE会員は、CIA、会計士、弁護士、金融機関の担当者、GAO(米国政府会計検査院)や連邦・州政府の監査部門・税務部門など広範囲にわたります。

専門領域を名刺で示すことができる

藤沼氏:ACFE JAPANは2005年4月に発足し、約1800人の会員(CFE資格者約1200人)を擁しています。日本でも、内部監査人、会計士、弁護士、金融機関の担当者、政府機関の人々などに広がってきています。
米国は、公認会計士ならCPAと名刺に表記します。同様に、CFE(公認不正検査士)と表記している人がたくさんいます。自分の専門領域を示すという面でも非常に有効だからです。品質データ偽装といった開示不正の領域でも、CFEが一人でも入ると違うのかなという気がしています。

三輪:最後にCFEを目指す方々へのメッセージをお願いいたします。

藤沼氏:日本ではコーポレートガバナンス改革が進行中で、取締役会は攻めの経営を求められていますが、攻めと守りは車の両輪で、健全な企業風土と強固な内部統制組織によって支えられることがその前提条件です。CFEは企業の抱える様々なリスクの評価に基づき、Anti-Fraud Program (対不正プログラム)を準備し適切に対応することが求められています。これらが評価されCFEに対する社会や企業における認知が広がり、結果として企業の多くの部署でCFEが配置され活躍することを期待しています。