なぜMBA取得を考えましたか。きっかけと課題感をお教えください
私は製薬企業で創薬研究に長年携わってきましたが、研究開発が成功するためには優れたサイエンスだけではなく、事業性や投資判断、経営的な視点も欠かせないことを実感していました。研究者としては科学的な価値を評価できても、その研究にどれだけの資金を投入し、どのような戦略で価値を最大化するかについて体系的に学ぶ機会は限られていました。
また、将来的には自ら小さなビジネスを立ち上げ、社会に新しい価値を提供したいという夢も入学前から持っていました。そのためには、研究開発のみならず、マーケティング、ファイナンス、経営戦略、組織運営などを幅広く理解する必要があると考えました。
MBAは単なる学位取得ではなく、自分自身の視野を広げ、研究者からビジネスリーダーへと成長するための投資だと考えて挑戦しました。創薬をサイエンスとビジネスの両面から考えられる人材になりたいという思いが、MBA取得の大きなきっかけでした。
他校と比較して、最終的にUMassを選んだ『決め手』は何でしたか?
UMassを選んだ最大の理由は、私が最も関心を持っていたアントレプレナーシップ(起業家精神)やイノベーションを体系的に学べるカリキュラムが充実していたことです。将来、自ら新しい事業を立ち上げたいという思いがあり、単なる経営知識ではなく、新しい価値を創造する力に磨きをかけたいと考えていました。
また、国際認証を受けたMBAプログラムであることも大きな魅力でした。グローバルに通用する教育の質が担保されていることに加え、授業を英語で受講することで、世界標準のビジネス思考やコミュニケーション能力を身につけることができます。
さらに、仕事を続けながら学べる柔軟な学習環境も決め手の一つでした。医薬品業界での実務経験とMBAで学んだ知識を並行して活用できるため、学びと実務を相互に高められる環境だと感じ、最終的にUMassを選びました。
学習時間の捻出方法や、継続のための工夫があれば教えてください
社会人がMBAを続けるためには、まず時間の使い方を見直すことが重要だと思います。私自身は通勤時間を積極的に学習時間へと置き換えました。また、在宅勤務を活用することで通勤時間そのものを削減し、その時間を課題や教科書読みに充てるよう工夫しました。加えて、15分や30分といった細切れ時間を有効活用し、授業の予習・復習や資料の読み込みを進めました。
継続のためには仲間の存在も非常に大きかったです。学友との交流を通じて刺激を受けるだけでなく、自ら勉強会を企画・主催することで学習習慣を維持しました。仲間との約束や定期的な勉強会があると自然と学習を続けることができ、「やめられない・サボれない環境」を作ることができたと思います。
UMassでの学習を通じて得た事について教えてください。印象に残っている課目やその理由についても教えてください
UMassでの学びを通じて最も得られたものは、「正解のない課題に対して、自分なりの答えを導き出す力」だと思います。特に印象に残っているのは、MBAの集大成ともいえる上級科目のSFI(Strategy Formulation and Implementation)です。
この科目では、MBAで学んだ経営戦略、マーケティング、ファイナンス、組織論などの知識を総動員し、米国の大企業について徹底的に調査・分析しました。そして、自分自身がその企業のCEOの参謀になったつもりで、将来の経営方針や具体的な打ち手を提案するレポートを作成しました。
情報収集から分析、提言まで一貫して取り組む過程は非常に大変でしたが、その分大きなやりがいを感じました。MBAで学んだ知識を実践的に使う経験ができ、自分の思考力や判断力に対する自信を大きく高めることができたと感じています。
UMassでの学びや学位がキャリアや実務にどう役立っていますか
現在、私は製薬会社で創薬プログラムの企画や外部連携、新規技術・プロジェクトの評価に携わっています。MBAで学んだ知識は、創薬プログラムを単に科学的な価値だけで評価するのではなく、事業性や市場性、投資効率まで含めて総合的に判断するうえで大いに役立っています。
例えば、新規研究テーマを評価する際には、技術的な実現可能性だけでなく、競争環境や将来の市場機会、収益性などを多面的に考えられるようになりました。また、経営陣や他部門との議論でも、研究者の視点だけではなくビジネスの視点を取り入れた提案が自信をもってできるようになったと感じています。
MBAで得たフレームワークや思考法は、創薬プログラムの質を高めるだけでなく、シニアな経営層にプログラムの魅力を論点整理して伝えることにも役立っています。
クラスメートとの交流や印象に残ったエピソード
オンライン中心のプログラムでしたが、クラスメートとの交流は想像以上に活発でした。授業中に話題になったハンバーガーショップを実際に訪ね学ぶことを口実に、オンラインでしか会ったことのなかった仲間たちとリアルに集まったことがあります。それぞれ異なる業界や職種で活躍するメンバーでしたが、実際に会って話すことで、授業だけでは得られない学びや刺激を得ることができました。MBAで得られる価値は知識だけではなく、多様なバックグラウンドを持つ仲間とのネットワークにもあると感じています。
卒業後も交流は続いており、仕事の相談をしたり、お互いの近況を共有したりしています。一緒に学んだ仲間は、今後の人生においても大切な財産になると思います。
これから目指す方へのアドバイス、激励をお願いします!
振り返ってみると私はMBAを「経営を学ぶ場」というより、「世の中の見方を増やす訓練の場」だと感じています。
研究者はつい一つの専門分野を深く掘り下げがちですが、MBAでは経営戦略、ファイナンス、マーケティング、組織論など、異なるレンズを通して同じ事象を見る訓練を繰り返します。特に印象的だったのは、正解のない問いに対して自分なりの答えを作る経験を積めたことです。その過程では「考え抜くこと」、これは研究にも事業にも、人生にも共通する力だと思います。
もし知的好奇心が強く、「もっと広い世界の見方を身につけたい」と思うのであれば、MBAは非常に魅力的な投資になるはずです。ぜひ一歩踏み出してみてください。