本ウェブサイトでは、Cookieを利用しています。本ウェブサイトを継続してご利用いただく際には、当社のCookieの利用方針に同意いただいたものとみなします。

卒業生の声

「基礎に裏打ちされた判断軸」と「学び続ける習慣」が、社会課題に向き合うキャリアを支えている。

「基礎に裏打ちされた判断軸」と「学び続ける習慣」が、社会課題に向き合うキャリアを支えている。

平澤 恵介さんHirasawa Keisuke

  • 通信

ご経歴、年齢はインタビュー時のものです。

「社会課題にどう向き合うか」を軸に築いてきた経験

これまでのご経歴をお教えください

これまでのキャリアは一貫して、「社会課題にどう向き合うか」を軸に築いてきました。大学卒業後、かねてから志していた途上国の社会課題解決に取り組むため、JICA(独立行政法人国際協力機構)の青年海外協力隊(現 海外協力隊)に参加。学生時代に立ち上げたフィリピンでの営農調査プロジェクトの経験を基盤に、南米アンデスの標高4,000mに位置する高地集落で2年間、現地住民と協働しながら生活課題の発掘と改善活動に従事しました。その過程で、公衆衛生や衛生習慣の課題が生活基盤に直結する現実を目の当たりにしました。 帰国後は南米滞在で感じた「衛生と医療の大切さ」を国内で実践するため、ヘルスケア業界へ転身。まず製薬会社にて医薬情報担当者として感染症・中枢神経領域を担当し、多くの医療機関で臨床現場と医薬産業の橋渡しを経験しました。その後、マーケティングリサーチ会社に転じ、大手製薬企業向けのプロモーション戦略支援や大規模パネルリサーチを通じて、エビデンスに基づくマーケティング支援に携わりました。 2011年の東日本大震災を契機に、社内での被災地支援企画などに携わる中で現場により深く関与したいと決意し、震災翌年からNPOへ転身。「トイレから社会を変える」を掲げ、公衆衛生・防災の社会課題解決事業を推進するため、主に官公庁・地方公共団体とのプロジェクトを担当しました。被災地の衛生課題調査、学校施設の防災力強化、オンサイトサニテーション技術の実証の他、防災・衛生教育の実施や、CSR事業や防災啓発イベントの企画運営などを幅広く担当しました。その後、衛生・トイレ分野での知見を活かして、JICA専門人材として再び国際協力の現場へ。“Better Toilet for All”を掲げ、SDGs Goal 6(安全な水とトイレを世界中に)に資するODA技術協力の監理・案件形成・アドバイザリー業務に従事。任期最後の1年間は在外において水道経営や防災関連プロジェクトの監理も担いました。 任期満了に伴い帰国後、2020年には世界がコロナ禍に突入し、社会全体の課題をグローバルな視点と連携の力で解決していくことの重要性を強く実感しました。その流れの中で、社会課題の解決をパーパスに掲げる外資系コンサルティングファームに入社し、リサーチ専門チームの立ち上げ期に参画しました。入社当初からライフサイエンス領域のリサーチマネジメントをリードし、現在はサステナビリティなど複数のセクターを横断的に担当しています。今後はリサーチ機能の拡張と組織マネジメントを推進しながら、より複雑化する社会課題を俯瞰的に捉え、グローバルな知見とリサーチを結びつけることで、さらなる価値創造に貢献することを目指しています。

ご担当の職種の業務内容をお教えください

現在勤務するコンサルティングファームは、グローバルネットワークを活かして企業の経営課題を包括的に解決するプロフェッショナルサービスを提供しています。 その中で私はリサーチ専門チームに配属し、具体的には①リサーチマネジメント、②ナレッジハブ、③対外発信の三つの柱に取り組んでいます。チームの設立1年前に参画し、立ち上げの初期段階から、担当セクターの組織構築・運営に携わる貴重な機会を得ました。現在はリサーチスタッフのマネジメントに加え、採用などを通じて新規ユニット立ち上げ業務も兼任しています。また、調査プロジェクトのプロセス設計・実行管理にとどまらず、チームビルディングや組織運営など、リサーチ組織全体の基盤強化にも取り組んでいます。

MBA取得を志した背景にある、「危機感」と「ある想い」

なぜMBA取得を考えられましたか。きっかけと課題感をお教えください

私がMBA取得を志した背景には、大きく二つの意識がありました。 一つは、経営・マネジメント、ファイナンスといった、事業の根幹を支える知識を体系的に学んでこなかったことへの危機感です。これまでのキャリアでは、国内外の社会課題や組織課題の解決に携わりながら、現場での経験則に基づき対応してきました。しかし、その意思決定の根拠をより科学的に捉え、理論的に再現できる形に昇華させる必要性を感じていました。経験や直感に頼るマネジメントから脱却し、普遍的な理論とフレームワークに基づいて意思決定を支える力を身につけたい――それが最初の動機でした。 二つ目は、自らのスキルを「情報分析」から「意思決定支援」へと進化させたいという想いです。コンサルティングファームのリサーチ担当として、データやリサーチを起点に提示することは多いものの、最終的な示唆出し等の意思決定の質の向上に踏み込むためには、分析を超えた思考と判断力が求められます。そのため、MBAを通じてビジネス全体を俯瞰し、財務・マーケティング・組織・オペレーションといった多領域を統合的に捉える必要があると考えました。 思い返すと自身のマネジメントへの関心は強く、15年前にはB to B事業支援の基礎を学ぶため、国内大学の社会人講座で約3か月間、戦略マネジメントを履修しました。当時から体系的な経営知識の重要性を実感し、MBAの学びにも関心を持っていましたが、当時はまだオンラインMBAが一般的ではなく、時間的・経済的制約もあり、本格的な学びの機会を得るには至りませんでした。その後キャリアを重ね、企業の意思決定支援や組織マネジメントに携わる中で、再び「理論に基づく実践知」の必要性を痛感し、学び直しへの意思を固めました。
1. 情報分析から意思決定支援へ
従来の「情報収集・整理・分析」中心の業務から、経営判断を支える「戦略立案・意思決定」へと価値提供を広げるため、MBAで戦略思考と意思決定理論を体系的に学びたいと考えました。
2. ビジネス全体像の俯瞰と洞察力の深化
テーマ単位の分析に留まらず、財務・マーケティング・組織・オペレーションを横断的に理解し、全体最適の視点から課題を捉える力を養うことを目的としました。
3. リーダーシップとマネジメント力の強化
個人の成果にとどまらず、チームを率いて成果を創出する力が不可欠と感じ、MBAを通じて人を動かすためのリーダーシップ理論や実践的マネジメントスキルを体系的に学ぶ必要性を認識しました。
4. 多様なネットワークの構築と市場価値の向上
自身と異なる分野のネットワーキングを拡大し共に学ぶことで、知見の幅を広げるとともに、自身のキャリアポートフォリオを拡張し、中長期的な市場価値を高めたいと考えました。
5. 経営層・専門家との対等な対話力の強化
ケーススタディを通じて経営層の思考を理解し、より実践的な視点で対話できる力を養うことで、組織内外のリーダーとの協働を円滑にすることを目指しました。

(写真:2024年5月に参加したHooding Ceremonyの様子)

どういう活用イメージをもって取得を決断しましたか

決断した背景には、経営に関する知識や効率的な組織運営に関する理論を、断片的な実務知から体系的な経営知へと昇華させたいという目的がありました。そして、実務経験を通じて得た感覚的なマネジメントを、経営理論・フレームワークに基づく再現可能な手法として整理し、より戦略的かつ持続的な組織運営へとつなげたいと考えました。 加えて、当時の直属の上司が多忙な中でもオンラインMBAを受講しながら圧倒的なパフォーマンスを上げており、その姿に強く触発されたこともきっかけでした。今でもその方は社内外での実績をもとに多くの信頼を獲得し、そこからスピード昇格をされているまさに成功モデルのような方です。その上司からは「学びが実務に直結する」意味と、「地道な努力」の大切さを実感しました。さらにこの上司以外にも、トップマネジメントやチームメンバーの同僚がMBAにチャレンジすることを応援してくれたことも大きなきっかけの一つです。 また、多様なバックグラウンドを持つ実務家が集う環境を通じて、自分とは異なる業界・思考様式に触れ、視野を広げたい意図もありました。学びの中では多くのグループワークもあることから、異なる価値観をもつプロフェッショナルとの協働を通じて、実践的な意思決定力や組織変革を推進するためのリーダーシップを磨く場として想定しました。

スクール選びには明確な3つの判断基準

スクール選びの優先順位とその理由についてお聞かせください

優先順位としては、①仕事・家事育児・学業の両立が可能であること、②グローバルに通用する理論・フレームワークを体系的に学べること、③コストおよび時間の効率性が高いこと――の3点を明確な判断基準としました。私にとっては学びの場がキャリアや家庭の時間に極力影響しないことを前提としておりました。 検討段階では、海外MBAを中心に複数校のプログラムを比較し、日本国内でサポートを受けながら学べる点や、先生の属性、カリキュラム等を幅広くリサーチしました。その中で、アビタス社が提供しているUMass MBAプログラムは、基礎・上級コースに分かれたサポート体制、受講生ネットワークの広さ(特にヘルスケア領域の受講生が非常に多い点)、オプションを含むカリキュラムの豊富さ、そして米国公認会計士講座などで培われた教育実績が際立っており、実務と両立しやすい環境と判断しました。 私は英語力に不安を抱えていたためグローバルなカリキュラムに触れたいと考えた場合、日本語サポートのあるアビタス社のMBAが、実務での即応性や継続的な学びの面で最適解となりました。

(写真:マサチューセッツ州ローウェル市にあるUMassとその街並み)

AACSB認証校での学びは、「信頼性の高い資産」

なぜ海外MBA、かつAACSB取得の米国MBAである必要がありましたか

正直なところ、MBAを検討していた当初はAACSB認証についてこだわりはありませんでした。しかし、各校を調べていく過程で、世界3大認証機関とされる AACSB・AMBA・EFMD(EQUIS)の存在を知り、その意義を理解するようになりました。 アビタス社が提供しているUMass MBAプログラムはAACSB認証(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)を受けています。AACSB認証は1916年にアメリカで設立された、世界で最も歴史のあるビジネス教育分野の国際認証評価機関で、世界でもわずか約6%の学校しか取得していない、非常に権威あるものです。 私の場合は検討中に海外駐在中の友人から「AACSBは国際的に最も評価されるビジネススクール認証の一つで海外では有名」と紹介を受けたことも一つのきっかけとなりました。そのため、AACSB認定は教育カリキュラムの体系性、教授陣の実務的・学術的水準、継続的改善のプロセスが厳格に審査される国際基準であることを理解し、AACSB認証を受けた米国MBAスクールで学ぶことは、単なる学位取得にとどまらず、学んだ知識やスキルの信頼性・再現性を国際的に証明する意味を持つと考えました。もちろん、国内MBAにも優れたプログラムは多く存在しますが、教育の質保証と国際的な認知度の両立という観点から、AACSB認証校での学びは、今後のキャリアにおいてもグローバルに通用する信頼性の高い資産になると思います。

オンラインであることをどう考えましたか

オンラインに対して抵抗は全くなく、むしろ「ようやくフルオンラインでMBAが学べる時代になって良かった」と感じました。現職ではリモート勤務制度が定着しており、オンラインでの業務や学習は日常的でした。 入学当時の2021年はコロナ禍真っ只中にあり、共働きでフルタイム勤務を続けていたため、家事育児の時間を考えると週末や夜間に通学する形式は現実的にハードルが高いと判断しました。家族を含めキャリアや家庭の時間を犠牲にせずに自己成長を実現する挑戦をするには、オンライン形式は柔軟なスケジュール管理を可能にし、キャリアを中断せずに学びを深められる最適な選択でした。また、オンラインMBAは地理的制約を取り払い、世界中の優れた教育機会へアクセスできる点でも優位です。フルタイム留学に比べ、生活・渡航コストを抑えつつ同等レベルの教育を受けられることは、キャリア継続と投資対効果の観点から極めて合理的です。 もし検討中の方でオンライン学習に不安を感じる方は、むしろデジタルツールの活用力や遠隔でのコミュニケーション力を鍛える好機と考えてみてはいかがでしょうか。

(写真:基礎課程で学んだ当時のオンラインでのリアルタイム授業)

開始前の英語力はどの程度でしたか

英語には日常的に触れる機会があったものの、入学前の時点では、実務で即戦力として活用できるレベルには達していませんでした。特に会話やリスニング面には不安を感じていました。一方で、過去に3年間のスペイン語圏での勤務経験があり、スペイン語がある程度は使えるため、日本語以外の言語が全くできないよりは学びながらの適応はできるかと思いチャレンジしました。 MBAの学習を通じて、英語論文やケース教材を読み解く力、情報を構造化して英語で表現する力が向上すると良いとは考えていましたが、リスニングや会話力などを伸ばすことは難しいと考え、MBAそのものの理解度を優先するため、翻訳ツールなどをうまく活用しながら割り切って学ぶことにしました。

基礎、上級の二段階式カリキュラムをどう受け止めましたか

アビタス社を選んだ一つに、二段階式のカリキュラム構成がありました。私の英語力の問題もあり、全てを英語で学ぶと日本語のみと比べて理解度が低下すると思われたので、基本的な要素は全て日本語で学び、応用を現地と同じ英語のみという方式は私に合っていました。基礎・上級課程共にベースのテキストや資料は現地の英語テキストとなりますが、全ての科目にアビタス社独自の「日本語サポートテキスト」があったことも理解の促進に最適でした。 特に基礎課程では、講師との双方向コミュニケーションによるリアルタイムでの授業(土曜日または日曜日)を通じて理解を深めることができた点が有意義でした。初めてMBAを学ぶ立場としては、この学びの入り口での伴走支援が重要であり、基礎の学びは後の上級課程にも役立ったと感じています。そして、同じタイミングで学ぶ日本人メンバー(同期は50人程でした)とのリアルなつながりもこの基礎課程がきっかけで卒業まで続くことになります。 一方で、上級課程では教授との直接的なコンタクトが減るため、自主的な学習姿勢がより一層求められるフェーズになります。この段階では、モチベーションを維持する力が必要となり、自己マネジメント能力が試される場でもありました。

印象に残っている科目とその理由をお聞かせください

個人的に印象に残っている科目はたくさんありますが、その中から4つを紹介します。
Marketing Fundamentals:過去にマーケティングリサーチの経験があったものの、グローバル環境下でのマーケティングマネジメントプロセスや個別の分析手法の適用などは、理論と実務をつなぐ視点で特に興味深い内容でした。参考文献を通じて、顧客理解やブランド戦略の根底にある概念を、期末レポートに総括してまとめることで体系的に理解することができました。
Organizational Behavior:現在、マネジメントとしてチームを率いる中で、組織内の個人やグループの行動が組織全体のパフォーマンスに大きな影響が出ることを感じています。組織行動理論をどのように実務へ落とし込むかについて、リーダーシップ、モチベーション、チームダイナミクスといった要素を学びながら、自らのマネジメントスタイルを客観視する良い機会となりました。
Customers and Markets:BtoBマーケティングのワークでは、実際の企業買収事例をもとに戦略を分析し、販売チャネルや価格戦略を見直しながら需要創出活動を特定するグループワークが学期を通じて行われました。それぞれ全く異なる業界での経験をもった3人で取り組み、レポートの構想からプレゼンテーション発表までを経験できたことが印象に残っています。
Health Information Technology Strategic Planning:テクノロジーを活用したヘルスケア戦略の立案をテーマに議論し、現在担当しているライフサイエンス分野の業務にも直結する学びを得ることができました。グループワークでは、チーム内に米国の現場で活動する専門家の方もおり、理論と実務を学ぶ貴重な科目でした。

コンセントレーションでヘルスケアを選ばれた理由と、実際に学んでみたうえでのご感想は

自身が現職にてヘルスケア、ライフサイエンス分野に関与していることもありますが、業界特有の組織構造やプロジェクトマネジメントの複雑性に関心があったため選択しました。加えて、医療機関、製薬企業、保険会社、行政機関など、多様なステークホルダーが関与する中で、相反する利害を調整しながら進めるマネジメントを学びたいと感じていました。特にUMass MBAプログラムでは、米国の医療制度を前提とした事例が多く、日本の国民皆保険制度とは異なる視点から医療経営を学ぶことができました。 実際の授業では、前述の通り「Health Information Technology Strategic Planning」が印象に残っています。その他では「Healthcare Project Management」において、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)をベースにしたプロジェクトマネジメント理論をグループワークで戦略立案からプレゼンテーションまでを行うプロセスは実務に近く学びが多かったです。後者のプロジェクトマネジメントは、ヘルスケア要素はそれほど深くはなかったものの、汎用的なプロジェクトマネジメントを学ぶことができ、実務に応用がしやすいものでした。

多様なバックグラウンドを持つ同期との、刺激的な交流

多業種、職種の同期との学びはどうでしたか

多様なバックグラウンドを持つ同期との交流は、毎回が刺激的でした。職種、業界、年代といったあらゆる側面で多様性に富み、具体的には新卒で参加された方から会社経営をされている方、大手金融機関のトップマネジメントの方などもおり、普通に仕事をしているだけではなかなか出会えない方にも多く出会えました。単なる経営知識の習得にとどまらず、異なる価値観に触れる機会そのものが有意義でした。 印象的だったのは、同じ課題に対してそれぞれまったく違うアプローチを取る点でした。例えば前述した「Customers and Markets」では、グループメンバーが異なるバックグラウンドをもち業界も異なっていたことから、「一つの正解」ではなく「複数の現実」をもとに最適解を求めていく柔軟性を学べました。この経験は、日常業務においても異なる専門を持ったメンバーが集まる際に、多様な視点を統合し意思決定を行う上でも役立っています。また、グループディスカッションでは議論をリードしながらも他者の視点を引き出す力が求められ、検討チームで取りまとめを行う場面などでは多様性を生かす視点が学べました。異なる業界・異なる視座を尊重しながら互いに刺激し合い、高め合う環境が整っている点こそが、単なる知識習得以上に成長させる力を育んでくれたと実感しています。

(写真:2024年5月に参加したCommencement Ceremonyの様子)

英語でのアウトプットに苦労しませんでしたか

英語には最後まで苦労しました。入学前から英語に触れる機会はあったものの、実務で使えるレベルではなかったため、レポート作成のほか、プレゼン系の課題では相当な時間を要しました。特に、英語で論理を組み立てながら文章に落とし込む作業は最初の壁でした。 レポート執筆の際は、まず日本語で内容を整理し、それを英語に翻訳、確認する形で進めました。本来的にはゼロから英語で思考することが求められるとは思うものの、理解を優先する上では現実的でした。現在では生成AIも普及してきているため高度な分析や翻訳などもAIで補完しながら進めることができるかもしれませんが、私が卒業するまでは翻訳ツールのDeepLや、文法確認のためのGrammarlyなどの校正ツールを中心に活用しながら英語の構造を一つずつ理解し、自分の言葉として再構築するプロセスを重ねました。同期を見ると、現地駐在でビジネス英語に堪能な方やネイティブレベルの方も多かったため、最初から英語で書く人、日本語で下書きを作る人は半々であり、それぞれの方法で工夫していた印象です。 上級課程のグループワークでは日本以外のメンバーと学ぶ機会も増えますが、直接的な英会話の機会は時差の関係で限られ、主にチャットでのコミュニケーションが中心でした。そのため、会話力の向上はありませんでしたが、英語での読解力や論理構成力は伸びたと感じています。これからは生成AIを含むツールの活用がますます進んでいくと思いますが、これらは答えを求めるための使い方ではなく、自らの思考を補完する手段としてどう使いこなすかが重要だと思います。これは、私自身が担当するリサーチ専門チームにも通じる考え方であり、テクノロジーを補助線として適切に活用しながら、自分の思考を深めていく点は欠かせないと感じました。

入学前の期待値にあっていましたか

期待にあっていました。ネットワークの広がりともに非常に満足しています。多様な業種・職種・役職の同窓生と共にグループワークやケーススタディ、ディスカッションを通じて、視野が大きく広がりました。課題そのものだけでなく、MBAそのものについて議論したり、時に深夜のディスカッションや、旅先のホテルから家族が寝静まった後にロビーで議論に参加するようなこともあったりと、納得のいくまで答えを導き出す過程そのものが貴重な体験となりました。 また、日米双方の教授陣による講義は、現役で経営を実践されている先生を含む実務経験に裏打ちされた理論やフレームワークが多く実践的でした。とはいえ上級課程では科目によってはコンタクトポイントが減ってしまい一人で黙々とこなす科目も少なくはなかったです(この辺りは選択する科目やタイミングにもよるかもしれません)。 一方で、コロナ禍により、国内講師やアビタス社の方々との直接的な交流機会が減ってしまったことはやむを得ないとはいえ残念でした。

仕事や家庭の状況に応じて、使命感をもって学びに向き合った日々

「この人はすごい!」と感じた学生(同期に限らず)はいましたか

「この人は本当にすごい」と感じる方ばかりでした。企業の経営者として事業を率いながらも学びへの探求を止めない方、大手企業のトップマネジメント層として高い専門性を発揮しつつも、常に新しい視点を求めて議論に参加される方、経験と学びをもとに起業されたり、昇進や転職で更なる高みにチャレンジされた方など、実に多様でした。ヘルスケアオプションの中では、多忙な医療現場で勤務しながら限られた時間の中で学びを続けている方々とも多く接点がありました。週次のDiscussion Board投稿では、米国の医療現場の当事者として現地の医療制度を踏まえた深いコメントをいただくことも多く、学びが深まりました。 また、アビタス社経由で入学された日本人学生の中には海外駐在中の方も多く、時差の中で工夫しながら学ばれている姿が印象的でした。さらに、私も含めてですが育児と両立しながら学び続ける方なども多く、それぞれが仕事や家庭の状況に応じて使命感をもって学んでおられました。 繰り返しになりますが、こうした多様な仲間と出会えたことこそが、UMass MBAプログラムにおける財産であり、参加して最も良かった点だと感じています。

入学前の課題感と活用イメージは叶いましたか

意思決定に臨む際の自己効力感は確実に高まりました。体系的に学んだ内容が即座に業務へ適用できるとは考えていませんが、入学前に掲げていた「情報分析から意思決定支援へ」という課題意識は、少なくともマインドセットの転換という観点で達成できたと感じています。MBAを通じて断片的だった実務の知見が体系化され、リサーチをする際のフレームワーク活用や意思決定理論の参照が自然な習慣になりました。 また、多様なバックグラウンドの同期との学びもとても有意義でした。異業種のプロフェッショナルと議論を重ねる過程で、自分の思考の癖なども客観的に見直すきっかけになりました。

同期生とのコミュニケーションは続いていますか

現在も同期を中心にSNSなどを通じて継続しております。卒業から時間が経った今でも、半年に一度程度は同期メンバーで集まり、近況報告やキャリアの相談、互いの業界動向を共有する場があります。社会人になってからの学びは、10代のような学生時代とは異なり、単なる同窓関係ではなくビジネス面においても同僚とは異なるビジネスパートナーと言えるかもしれません。 また、自主的に勉強会を開いているグループや、積極的にその知見を発信している方もおります。キャリアや業界を越えて信頼関係を築けたことはとても貴重な成果です。

(写真:さまざまなバックグラウンドを持つ多くの方が集まった交流会)

学びが実務にどう役立っていますか

業務のあらゆる場面に直結しています。特に、授業で扱ったフレームワークやケーススタディを通じて、「構造化して伝える力」が格段に高まりました。よくある定型手法も、体系だって学べたことでフレームワークの幅が広がりました。また、苦手だった会計・ファイナンス領域では、財務諸表や企業の開示資料の読解に抵抗がなくなり、収益構造の把握等が向上したと感じています。これは現職においてライフサイエンス企業の市場分析においても即戦力となっています。 さらに、チームマネジメントの考え方は、現在の組織運営にも活かされています。役割分担の明確化、意思決定プロセスの設計、チームメンバーの成長支援──いずれもMBAでの学びが実務へと自然に浸透している実感があります。MBAは単なる理論習得ではなく、自身の仕事の進め方そのものを再設計する契機とも言えるかもしれません。

今、最も活かされている「経営・マネジメントの基礎に裏打ちされた判断軸」と「学び続ける習慣」

学位がキャリアアップ、転職に活きていますか

直接MBAの結果かどうかの判断は難しいですが、勉強開始時から現在までに2段階のプロモーションがありました。MBAを通じて「学び続ける習慣」と「経営・マネジメントの基礎に裏打ちされた判断軸」を得たことが、今のキャリアで活きていると思います。まだ私自身未熟ではありますが、日々の業務において、複雑な課題に直面した際にも構造的に思考できる癖がついたことは、意思決定の精度とスピードに寄与していると思います。 なお、現職のコンサルティングファームにはMBAホルダーやUSCPA保有、海外大学院卒、博士号取得者が多数在籍しており、MBAを持つこと自体が特別なポジションを保証されることは全くありません。しかし、MBAで培った自己効力感とリーダーシップへの自覚は、単なるスキル習得にとどまらず、キャリアを通じた継続的な成長マインドへとつながっています。自らの専門性を軸にしながらも、全体を俯瞰し、組織・社会により大きな価値を還元していく姿勢こそ必要なマインドと感じています。

これから目指す方へのアドバイス、激励をお願いします!

まずは、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。今回のインタビューを通じて、私自身もMBAを選択してからのプロセスを整理し、言語化する貴重な機会をいただきました。 冒頭でお話ししたように、私は一貫して「社会課題にどう向き合うか」を軸にキャリアを築いてきました。言い換えれば、自分の想いをいかに社会へ還元するかを常に問い、行動してきたつもりです。その過程で、社会を動かすのは結局“人”であり、人材育成やマネジメントなど、組織の力を高めるスキルを磨くことが変化を生む近道だと確信し、その基礎力をつけるためMBAに挑戦しました。 現在、世界は複雑さを増し不確実性や分断が深まる状況がみられております。このような中でグローバル企業やスタートアップといった、社会に大きな影響力を持つ組織の役割は一層重要になっています。さらにAIの台頭によって仕事への向き合い方も変わり、一見すると誰もが深い洞察を容易に得られるように見えますが、実際にはデータ分析や既存の方法論だけでは導き出せない、より複雑な社会的・経営的課題が増えています。したがって、データと理論に立脚しつつも、現場の文脈理解と深い洞察に基づく“人の判断”が、これまで以上に問われていると感じます。組織の中で自らの強みを最大化するには、未来のリーダーに求められるスキル――戦略思考、意思決定、チームの力を引き出すマネジメント――を体系的に身につけることが不可欠であり、MBAはその基盤を整える最適の場でした。 当然ながら、MBAはゴールではありません。学びのプロセスで見えてきた「足りない部分」は、弱点ではなく、次の成長機会の発見です。私自身、学びを通じて得た自己効力感と“学び続ける習慣”が、その後のスキルアップや機会の創出を確かなものにしてくれました。 最後に、MBAで得た知識や経験は、自分のためだけではないはずです。組織や社会にその価値を返すために、私たちは学びを止めない姿勢そのものが、最大の力になると信じています。これからMBAを目指す皆さまにも、「学び続けるリーダー」として、それぞれの現場で変化を生み、社会に還元していく道を歩んでいただきたいと思います。そしてなにより、UMass MBAでの新しい出会いや発見を楽しんでください。

(写真:同期と参加した2024年のCommencement Ceremony後の様子)

※掲載している写真は、被写体の方々の同意を得て使用しています。


他の合格者の声を見る


選ばれる理由