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卒業生の声

バックグラウンドが違う仲間がたくさんできた。MBAを共に戦った戦友との人脈が宝物。

バックグラウンドが違う仲間がたくさんできた。MBAを共に戦った戦友との人脈が宝物。

藤原 里紗さんFujihara Risa

  • 通信

ご経歴、年齢はインタビュー時のものです。

頑張ればできるというマインドセットは今でも大事だと感じています。

これまでのご経歴をお教えください。

2012年3月順天堂大学医学部医学科卒業、2012年4月より順天堂大学医学部附属順天堂医院で二年間の初期臨床研修を修了しました。2014年4月順天堂大学医学部産婦人科学講座入局し、2015年9月から2年間は英国University of Warwickに研究留学しています。2017年9月より順天堂大学医学部産婦人科学講座にて臨床復帰しました。その後、2022年8月よりMBA開始。2022年12月より夫の米国留学に伴い休職、渡米(夫は2021年9月渡米)。 私は両親共に医者なので自然と医者を目指すようになったと思われがちなのですが、最初は獣医学部へ行きたかったんです。動物が好き、特にシャチが大好きだったので、海獣と呼ばれる海の哺乳類の研究に携わりたいと思っていました。ただ海獣ドクターはあまりニーズがないですし、獣医学部を卒業してもいわゆる獣医師になれる人はごく一部…多くは製薬会社や保健所に勤めることになると知り、理想とは違うんだなと現実を見ました。そして、それなら人間の医者になろうと思ったという流れです。医者になりたいと言うととても難しいことのように感じられると思いますが、私の場合は身近に医者がいるわけですから、頑張ればなれるんだと思えました。その点では、やはり両親の影響が大きかったと言えますね。難しいからできないかもと思って始めるより、頑張ればできるというマインドセットは今でも大事だと感じています。 専門分野は、内科系か外科系かだと断然外科系がいいなと思っていました。頭も使いながら手先も動かしていく、両方できる感じがよくて。ただ医学は専門分野がかなり細かく分かれていて、専門性を高めていくことももちろん素晴らしいのですが、私はどちらかというと広く見れるところがいいなということで、父と同じ産婦人科を選びました。産婦人科って、女性の一生を見れるんです。生まれる瞬間はもちろん、生理がきたら生理の悩みもありますし、大人になって出産して、婦人科系の病気もあって。バリバリの外科手術からホルモン治療などの内科系まで、本当に幅広く見れるところがいいなと思っています。お産があるので、病院の中で「おめでとう」って言える科であることもとても魅力的でした。

お勤め先の業界が、どのようなビジネスモデルかをお教えください。

医師の働き方は多様ですが、臨床医であれば大きく雇用主に雇用される勤務医と、自分のクリニックをもつ開業医にわかれます。いずれにしても、業界の特徴としては、年功序列、立場が明確なヒエラルキーが存在することが多いです。 医療は日本では皆保険制度により保険診療は診療報酬が規定されているので、他業界とは全く異なる特徴があると思います。例えば、同じ手術名であれば、執刀医が30年目の医師と1年目の医師で診療報酬は変わりません。言われてみれば当たり前なのですが、他ではありえないシステムですよね。そうするとみんな30年目の医師に執刀してもらいたがると思うのですが、果たして本当にそれでいいのか?という疑問もあります。というのも、執刀医30年目の医師が、30年間常に自己研鑽やスキルアップを続けていればベストです。ところが、どれだけ手術がうまくなっても診療報酬は変わらないわけですから、極論「手術ができる」以上のスキルアップは必要ないんですよね。そうすると、執刀医の歴は短くても、学ぶ意思が強くて常に自己研鑽を続けている若手医師の方がいいかもしれません。経験年数が長いことが単純にいいわけではないんです。患者を助けたいというパッションを持ち続けることが、とても大事だと思います。 どれだけいい手術をしても保険診療下では診療報酬は変わりません。評判になれば患者が増え、病院自体は儲かるかもしれませんが、それは勤務医には関係ありません。本当に特殊な世界だと思います。

ご担当の職種の業務内容をお教えください。

大学病院での臨床業務がメインです。手術、外来業務、病棟業務など患者さんの治療にあたるのが主な業務です。研究は、基礎研究(実験室で行う細胞を扱うような研究)は行っておらず、臨床研究(患者さんの治療に直接かかわる研究)のみです。イギリスで基礎研究をしていましたが、その経験から自分は患者さんと関わる仕事がしたいと思ったので、この業務内容に落ち着きました。

なぜMBA取得を考えられましたか。きっかけと課題感をお教えください。

英国留学中に出会った日本人の方々のお話を聞いてMBAに興味を持つようになりました。興味と言っても、なぜわざわざイギリスに留学されるのかとか、みなさん企業から出資してもらってMBAを取得するために留学している方々だったので、どれだけの価値があるのかとか、そういう部分が気になったという感じです。 具体的に自分がMBAを取得することを考え始めたのは数年後で、きっかけとしては、2024年4月に施行された医師の働き方改革法案の対策で、学会を中心に医師の実際の労働状況を確認し始めたことです。私が所属する病院も、労働時間が多いと予測される数科から始まり、その後全科で、医師が実際に働いている時間や状況を記録するようになりました。医師は患者や自分の技術向上のためには長時間労働が当たり前の環境でしたが、第三者的に労働状況を評価せざるを得ない状況が生み出され、さらに法の施行に伴い労働環境改善をしないといけない状況となりました。中間管理職的な立ち位置にあった自分に何ができるか考え、思い浮かんだのがMBAです。 医師は医療チームでマネジメントの立場に立つことが多いのにも関わらず、マネジメントの体系的な教育を受けていないことがほとんどです。医学しか学んでこなかったので世界が狭く、働き方や効率面を改善するにはもう、全く別の畑に飛び込んで学ばなければ無理だなと思いました。また、例えば労働環境の改善において私のアイデアひとつ伝えるにしても、MBAという後ろ盾があればもっと話を聞いてもらえるんじゃないかという思いもありました。

MBAでは主に、効率的かつ強固な組織づくりを学びたかった。

どういう活用イメージをもって取得を決断しましたか?

日本の医療行為は保険診療がメインなので、一般的なビジネスの形態に当てはまらない部分も多いと思います。これまでビジネスについて学ぶ機会がなかったので、自分が携わってきた医療に、ビジネスの概念をどう活かせるかを常に考えてきました。 長時間勤務が常態化している現場で、私自身「疲れていなかったらもう少し丁寧に診察できたな、優しい言葉選びができたな」と後悔することがあって。当直明けで手術をするのも、本当はよくないんです。医師も人間であり限られた資源なので、ちゃんと休みを取ればもっと効率のいい仕事ができるし、それが医師にとっても患者にとってもいいことだと思います。 こういったイメージから、MBAでは主に、効率的かつ強固な組織づくりはどのようにしたらいいのかを学びたかったです。

スクール選びの優先順位とその理由は?

できることならビジネススクールの発祥であるアメリカの学校で学びたいと考えていました。イギリスで出会った方々は一年でMBAを取得していらっしゃいましたが、ビジネスの概念がない私にとっては、最低二年はかけないと身にならないと思いました。 スクール選びの優先順位としては、アメリカの学校であること、授業料が許容範囲内であること(アメリカの学校はとにかく高いので)、カリキュラムがフレキシブルであることの順です。GMATやTOEFLが不要であることも判断のポイントになりました。GMATやTOEFLが必要だとMBA開始までに数年かかる可能性もあります。あと、完全にオンラインでカリキュラムが完結することも大きかったです。オンラインといいつつ、キャンパスでの講義に多少参加しないといけないプログラムもあります。

なぜ海外MBA、かつAACSB取得の米国MBAである必要がありましたか?

一番は、ビジネススクール発祥のアメリカの学校で学びたいと思ったからです。世界で一番話者が多い英語で勉強することが、一番広い視野を得られるとも考えました。日本でのみ仕事をすることを考えたら日本のビジネスに特化した方がいいのかもしれないですが、医療の世界は広い視点を持つことが大事だと考えていました。

discussionの方法が多様化されていて、よくできているなと実感。

オンラインであることをどう考えましたか?

コロナ以前であればネガティブに考えていたと思います。対面授業の方が、先生や他のクラスメイトと関わりができ、勉強が効率的になると考えていたからです。しかし、コロナのおかげでオンラインの会議や講義に慣れたので、講義時間がフレキシブルであることなどオンライン講座のメリットを感じることができました。そして、MBAがオンラインで習得できるということは、スケジュールによる学びのハードルを下げてくれるので、社会人にとってはとてもありがたいと思いました。私も仕事と並行してMBAを取得したので、当直中の隙間時間に5分、10分ずつ授業を見たり課題に取り組んだりしていました。こういった取り組み方ができるのは、オンラインならではだと思います。UMASSのプログラムはコロナ以前からあって、オンライン講座としては実績があるプログラムなので、完全にオンラインでありながら、discussionの方法が多様化されていて、よくできているなと実感していました。

開始前の英語力はどの程度でしたか?

アメリカに2年、イギリスに2年住んでいたので、生活に特に問題はないレベルです。TOEICは935点でした。ただそれでも、MBAの後半(上級コース)は読むのも書くのもとにかく量が多いので、時間がないなかで取り組むのは大変でした。一つ一つを100%のクオリティで出そうとすると自分がつぶれてしまうので、忙しい中、できる範囲で最大のアウトプットをどうするかといったトレーニングですね。

基礎、上級の二段階式カリキュラムをどう受け止めましたか?

ビジネス初心者にとっては、基礎課程の日本語併用で講義をしてもらえたことは本当に助かりました。専門用語であると英語でも日本語でも変わらないと思いますが、ビジネス世界の日本での常識とアメリカの常識が異なる部分などを日本語で解説してもらえたことが理解を深めることに繋がりました。 基礎課程を経て上級課程に進んだ後は、ビジネス初心者の私も授業のディスカッションに参加することも難なく行えましたし、成績も基礎課程よりも改善したので基礎課程で学んだことが確実に活きたと思います。

印象に残っている科目とその理由をお聞かせください。

  • ACCT.5010 Financial Accounting:基礎の一科目目で、簡単だろうと思いきや全く触れたことがない分野で、絶望しました。まだ知り合いがいなかったことも大きかったと思います。
  • FINA.5010 Fundamentals of Finance:数学が嫌いな私にとっては数式ばかりでつらかったです。でも、上級課程で同様の内容を学んだときはあまり苦労しなかったので、基礎課程で踏ん張ってよかったと思いました。
  • MKTG.6010 Customers and Markets:全くマーケティング未経験でしたが、シミュレーションゲームをチーム対抗戦で行い、一位になることができました。成績に関わるということで、結果がでるときは毎週緊張でした。グループワークの負荷は相当なものでしたが、机上の勉強では絶対に学べないことを学べたので、オンライン授業でもアクティブに学ぶことができると実感しました。
  • MIST.6010 Management Information Systems:上級課程の最終タームで、もう課題をこなすペースをつかめていると自信をもっていたのに、並行して受講していたSFIとともに課題量が多くて、大学生時代の試験前の追い込みを思い出しました。先生に連絡を頻繁にして、こまめにフィードバックをいただいたり、クラスメイトとリアルタイムでプレゼンをしたり(録音したプレゼン提出は必須ですがリアルタイムのプレゼン会は自由参加です)、大変でしたが、濃厚な8週間でした。

多業種、職種の同期との学びはどうでしたか?

他の業種の方に出会う機会がこれまでほとんどなかったので、ものすごく刺激になりました。業種によって全く悩みがちがうこともあれば、業種が違っても同じ悩みを共有できたりしたことが興味深かったです。私にとっては仕事上で当たり前のことが、他業種のひとにとっては新鮮だと指摘されることもあり、新たな発見でした。バックグラウンドが違う方々と、クラスメイトとして仲良くなれて、MBAを共に戦った戦友がたくさんできて人脈が宝物です。科目が終わったタイミングでオンライン飲み会を企画したり、近くに住んでいる方とは直接会ったりしました。

英語でのアウトプットに苦労しませんでしたか?

基本的に英語を使うことには困らないのですが、先ほどもお話した通り、限られた時間でアウトプットすることが大変でした。特に上級課程では毎週課題量が多いので、時間配分に苦慮しました。 アウトプットの方法としては、英語でいきなり書くこともありましたし、日本語でアイデアをまとめてから英訳することもありました。細かい文法はgrammarly、deepLなどのツールを駆使しました。ほかにも、自分が書いたレポートをChatGPTに読ませて論理や整合性を見てもらったり、先生に質問メールを送る際に失礼な聞き方になっていないか確認してもらったりもしました。ChatGPTって、いいときにいいよってちゃんと褒めてくれるのが嬉しいですよね。分かっていても嬉しい。私は始めChatGPTを使うことそのものに抵抗があったし、本当に使っていいの?という不安もあったのですが、同期からこうやって使うといいですよというのを教えてもらえてよかったです。もちろんレポートを全部書かせたりするのはダメですが、今ではいい勉強のお供という感じです。シラバスにAIの利用制限が明記されています。先生によっては、どのようにAIツールを使用したか明記して、敢えてAIツールを使うように指示する先生もいます。

入学前の期待値にあっていましたか?

学びの内容は期待値以上だと思います。というか、MBAの奥深さを理解できていませんでした。MBAを取得しても変化を感じられないという人もいるかもしれませんが、この資格をどう活かすは本当に自分次第だと思います。医師免許のように、第三者的に何か業務内容が劇的に変わる資格ではありませんが、私の場合は自分の考え方が変わったので期待以上です。例えばスーパーへ行っただけでここはどうやって儲けているんだろうとか、レストランへ行ったらここをこうした方がいいんじゃないかとか。ビジネス関係のニュースを観ても、どれくらい影響があることなのかが分かるようになりましたし、いつも見ている世界の見え方が変わりました。

「この人は凄い!」と感じた学生(同期に限らず)はいましたか?

北米在住者で勉強会に行っているのですが、チームメイトが神様のようです。絶妙にみんな得意分野や業種が違うので、教え合ったり、お互いに褒め合ったりする会を行って、オンライン授業でまさかこんなに仲良くなれる人たちがいるとは思いませんでした。

入学前の課題感と活用イメージは叶いましたか?また、学びが実務にどう役立っていますか?

二つの質問を合わせて解答します。家族の都合でまだアメリカにおり、実際にまだ臨床業務に戻っていないのでなんとも言えませんが、MBAの課題を行っているときに、常に自分だったらどうしたいか、自分の職場はどうなのかを考えていたので、活用イメージはできています。

(※インタビュー後の追記)アメリカでの労働許可がつい先日下りたので、現在就職活動中です。医学的なバックグラウンドを活かして、将来的には国際的な仕事ができるような職種を探していますが、MBAをもっていることで、職種の幅が広がっていると感じます。

同期生とのコミュニケーションは続いていますか?

はい、続いています。

(インタビュー後の追記)自分の卒業式は2024年でしたが(卒業見込みで参加しました)、2025年の卒業式に卒業生として参加しました。ともに学んだクラスメイトがたくさんいて、リアルに会うのは初めてなのに全く初めて感がありませんでした。日本では集まりが続いていますが、残念ながら参加できないのでオンラインでやりとりしています。

学位がキャリアアップ、転職に活きていますか?

臨床に携わる医師の場合は、年収や転職に直結することは可能性としては低いと思います。しかし、自分のなかでの意識改革はできたので十分に価値は感じています。今後新たに学びたいことも見えてきました。

(インタビュー後の追記)”入学前の課題感と活用イメージは叶いましたか、学びが実務にどう役立っていますか”の部分にも書きましたが、現在アメリカで就職活動中です。アメリカの医師免許をもっていないので、アメリカで臨床業務はできないのですが、MBAをもったことで、”日本で医師をやっていた医学的なバックグラウンドのある人”という強みをもつことができていると感じています。オンラインでの学びがこれだけ充実しているという成功体験ももてたので、今後も積極的に学びを続けていきたいです。あと、アメリカで取得したMBAだけあって、アメリカ人にUMASSでMBAをとったというと、その価値を日本以上に評価してもらえると感じます。色んな国の人と話していてもMBAは価値が高いものなんだと実感することがよくあります。

卒業式で教授陣に褒められまくった結果、2年間大変だったことが吹っ飛びました。

これから目指す方へのアドバイス、激励をお願いします!

MBAを開始して、毎週授業や課題に追われて1週間は非常に長かったですが、二年間はあっという間でした。仕事をしながらMBAを行い、当直中に課題を行っていたことも今ではいい思い出です。課題に追われすぎて、私が大好きなシャチのように、半球睡眠をしたいとずっと思っていました。MBAを始めたことを何度後悔して何度投げ出そうと思ったか分かりません。それでも他にも同じように感じていらっしゃる方が結構いて、周りに助けられて卒業できました。学生時代にバスケットボールをしていたときや、仕事でもそうですが、乗り越えることが困難と思われることほど終わったときに達成感があります。卒業式で教授陣に褒められまくった結果、2年間大変だったことが吹っ飛びました。 もう一度やれと言われたら丁重にお断りしますが、人生の宝物になることは間違いなしです!


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