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卒業生の声

MBAを学べば、非効率な建設業の業務プロセスを一新してもっと効率的に働けると感じた

MBAを学べば、非効率な建設業の業務プロセスを一新してもっと効率的に働けると感じた

竹内 秀和さんHidekazu TAKEUCHI(55歳)

マサチューセッツ大学MBAプログラム第11期卒業生
(2017年入学)

建設業

  • 通信

ご経歴、年齢はインタビュー時のものです。

これまでのキャリアについてお聞かせください。

私は神戸大学工学部建築学科を卒業後、1992年に鹿島建設に入社しました。以来、建築現場で施工管理に従事してきました。施工管理とは、工場ではなく、現場でいちから建物を作り上げる仕事です。何十社もある協力会社ごとに、発注や図面の調整、安全管理、品質管理などさまざまなことを行います。

2001年から6年間は鹿島ヨーロッパへ出向し、オランダ、チェコ、ポーランドで工場や倉庫の建設プロジェクトのプロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトダイレクター(PD)として働きました。帰国後は、大阪や神戸で現場所長として現場の指揮を執りました。2020年からは建築現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)化、業務効率化を推進しており、本社のイノベーション推進室も兼務しています。

UMassのMBAプログラムに参加し始めたのは、48歳のときです。大阪の北新地でホテル建設の現場所長をしているタイミングでした。

MBA取得を考えたきっかけと課題感は何でしょうか?

最初にMBAを取得しようと思ったのは、30歳前半の頃です。当時、鹿島ヨーロッパへ出向していて、周囲のローカル社員がMBAを取得していることを知り「建設業界だけを見ていても世界は変わらない」と感じたのです。他産業の良いところを学び、最適な働き方を模索する必要があると思い立ちました。ただ、その時点では目の前の業務に追われていたため、MBAを学べませんでした。

2007年に帰国後、再びMBA取得を目指して留学を検討しましたが、業務が多忙なことや小さな子供との時間を大切にしたいという思いから、ここでも再度学習を断念しています。しかし、48歳の誕生日を迎え、次の干支が来る頃には定年を迎えると思ったときに、どうしてもMBAが取得したいと思い学習に踏み切りました。

10年前とは違い、オンラインで手軽に受講できるようになったことも大きな後押しとなりました。

どのような活用イメージをもってMBA取得を決断しましたか?

MBAの知識を活用すると、入社以来感じていた「無駄な業務をなくしたい、もっと効率的に働けるはずだ」という課題を解決に導けると考えました。現場所長は会社の社長のような役割のため、現場所長として働くには、経営者としてのスキルが磨けるMBAの知識が欠かせません。

また、非効率な建設業の業務プロセスを根本から見直し、一新したいという強い思いもありました。例えばヨーロッパでは、プライベートを重視して働く文化があるため、担当者が不在で仕事が遅れることも珍しくありません。そして、所長などの管理職だけが権限を持つ縦社会ではなく、お互いにリスペクトして担当へ権限を移譲することで残業を減らそうという文化があります。

もともとサッカーをやっていたため「ヨーロッパサッカーのように組織的なプレーができる仕組みを、仕事にも当てはめられるのではないか?」と思っていました。他の国がどのような働き方をしているのかを知り、ますます仕事を俯瞰的かつ体系的に学び直す必要があると感じました。

MBAプログラムを通じて、このような新しい働き方へのアプローチで現場の業務改善を図りたいと考えました。

※2:8の原理は、建設業でも当てはまります。大人数の組織では自然と2割の人だけが主体的に仕事をして、後の8割はその2割の人の指示に従います。少数精鋭では、現場は進みません。これは、建設業はピラミッド型の組織、言わばアンバー組織になっているからだと理解しています。私の究極の目標は、個々がセルフマネジメントできるティール組織です。

AACSB認証のオンラインスクールは、MBAと仕事を両立する唯一の道だった

スクール選びの優先順位と理由を教えてください。

スクール選びで最優先だったことは、英語のまま学ぶことです。海外で長年の勤務した経験があり、帰国後も海外デザイナーの建築現場で英語を日常的に使用するなど、英語での教育環境に慣れていたため英語に抵抗はありませんでした。そのため、スペインやフランスへ留学することも視野にヨーロッパのMBAプログラムも検討していました。

また、世界的に認知されたAACSB認証を取得しているプログラムであることも重視しました。AACSB認証は、ビジネススクールの品質を示す重要な指標であり、世界に通用する教育品質が保証されています。単なる知識の習得だけでなく、実際にグローバルなフィールドで通用するスキルと視点を身につけるためには、国際的なプラットフォームで学ぶ必要があると考えました。

最終的にアビタスを選んだ決め手は、MBAの本場であるアメリカの大学であることと、オンラインで受講できることです。オンライン学習であれば、現在の仕事を続けながら柔軟に学べると思いました。

なぜ海外MBA、かつAACSB取得の米国MBAの取得を目指す必要があったのですか?

日本企業がますますグローバル化していく中で、国際的なビジネスの視野を広げ、多様な文化や思考方式を理解し取り入れる必要があると感じたからです。日本特有の企業文化だけでは今後のビジネス環境で競争力を維持することが難しくなると考え、他国の考え方や戦略を学ぶことが必要だと感じました。

海外のMBAプログラムでは、多国籍の学生と一緒に学べて、実際のグローバルビジネス環境で必要とされるコミュニケーション能力や異文化理解を実際に体感できます。また、英語のスキルをさらに磨くと同時に、国際的に多様なビジネスケースを学ぶことで、具体的なグローバルビジネスの課題に対する理解を深められます。

AACSB認証を受けたプログラムからの学位は、国際的に高い評価を受けています。同じMBAを取得するのであれば、国際的に認証され、広く認知されている資格を持つことが、グローバルに活動する上での信頼性やキャリアの機会を広げる上で重要だと感じました。

オンライン学習であることをどのように考えていましたか?

非常にありがたく思っています。もしオンラインプログラムがなければ、MBAは取得できなかったと思います。もちろん、仕事との両立は非常に大変でした。しかし、その経験が私にとって大きな財産となりました。現場が最盛期のときも勉強があったため、受験勉強よりも遥かに大変で、人生で一番勉強した時期だと思います。

仕事を続けながら学べる柔軟性が、オンラインMBAの最大のメリットでした。2教科ずつ学ぶ方もいましたが、私は1教科ずつじっくりと学びました。自分のペースでしっかりと履修できてちょうど良かったと感じています。オンラインだからこそ「もうこの時間しかない」という限られた時間の中で勉強でき、「絶対に無理だ」と思える状況を「なんとかできた」という経験に変えることができ、集中力向上に役立ちました。

MBA開始前の英語力はどの程度でしたか?

仕事で英語を使っていて、TOEICのスコアは約720点でしたが、この英語力ではMBAの授業をスムーズに進めるに不十分でした。しかし、MBAの受講中に毎日英語に触れることで、大幅に語学能力が向上しました。海外のスタートアップとのやり取りもすべて英語で行い、英語での業務が以前にも増して、スムーズに進められるようになりました。

なお、英語では筋道を立てた論理展開が必要となるため、日本語で話す場合にも表現が論理的でわかりやすくなるという良い影響が得られました。説明能力の向上やプレゼンテーション、ドキュメント作成のスキルの改善に役立っています。

MBAを学ぶ際に許容できる費用とその考え方を教えてください。

MBAプログラムの受講料は、支出を将来への先行投資と位置づけました。娘が私大に入学する年だったため、家族の説得は大変でしたが、何とか納得してもらい教育ローンで賄いました。

また、MBAを学ぶ費用について、400万円程度までなら許容できると考えています。この金額は、MBA取得によって得られる将来のキャリアアップや収入増、さらには個人的なスキルの向上という長期的な利益を踏まえると、十分に合理的な投資だと思います。

基礎、上級の二段階式のカリキュラムについてどのように感じていましたか?

基礎課程は、私の理解ではビジネス用語や新しい考え方に初めて触れる導入段階という位置づけでした。心の準備を含めてMBAの学習体制が整ったと感じています。組織行動論など普段から現場で実践していることもありますが、あまり使う機会のない内容もあります。それらを日本語で受講できたため、安心感がありました。

一方、上級課程はより深く具体的な内容を英語で学びます。必死に勉強をした結果、基礎よりも上級課程のほうが成績は良かったです。基礎課程でわかったつもりになっていた部分があり、上級課程で気合いを入れ直したことが成績向上に繋がりました。

特に、マーケティングの科目では答えを出すことに苦労しました。また会計の科目では、一般的に建設業界の所長間ではあまり重視されない会計の知識を扱います。これにより、なぜこの数字を重点管理する必要があるのかなど、会計上の数字の理解が深まり、会計担当者との打合せもスムーズとなり、直接的な職務効率化が得られました。

バックグラウンドの異なる同期との学びでは、物事を捉える視点の違いが新鮮だった

印象に残っている科目とその理由を教えてください。

印象に残っている科目は「Strategy Formulation and Implementation」です。この科目では、新規事業企画書の作成をチームで行いました。他のメンバーと共にアイデアを出し合い、実際に事業計画を形成していくプロセスが非常に楽しかったです。

これは実際の業務にも直接的に活用できる知識であり、特に、スタートアップとの協業プロジェクトにおいて非常に役立っています。新規事業の企画書を作成するスキルは、新たなビジネスチャンスを模索する際の強力なツールとなり、戦略的な思考と実行の基礎になりました。

また、財務系の科目も興味深かったです。ROIなどの財務指標について初めて学びました。財務系の知識は会社のプロジェクトにおいても財務的な側面からの評価や意思決定に役立つのはもちろん、個人的に株投資を始めるきっかけにもなりました。

多業種、多職種の同期と一緒に学んだ経験をどのように感じていますか?

バックグラウンドが異なる同期たちとの学びは、非常に新鮮で刺激的でした。それぞれ物事を捉える視点や経験、知識が異なるため議論が豊かになります。私の考え方や自分自身の視野を広げ、新しいアイデアの創出や問題解決のアプローチに多大な影響を与えました。日常業務でも、コミュニケーションやプロジェクトマネジメントにとても役立っています。

英語でのインプットやアウトプットには苦労しませんでしたか?

過去6年間半ほど、主に英語でイギリス人やアメリカ人のデザイナーなどとビジネスメールや図面のやり取りを行ってきたため、英語には慣れていました。

確かに英語でのアウトプットには苦労しましたが、むしろ楽しい経験だと感じました。英語でアウトプットする過程では、論理的に考えることが求められます。直接的で余分なものがない表現や、敬語がなくストレートに意見を伝えやすいという英語ならではの環境により、思考を整理して明確に伝える能力が自然に養われました。

その結果、苦手だった日本語の表現でも論理的に要点をまとめるスキルが向上しました。自分の意見をはっきりと述べて結論から話す習慣は、ビジネスシーンでも大いに役立つ重要なスキルであり、非常に有意義な学びでした。

上級課程の現地プログラムではどのような学びが得られましたか?

在学中の上級課程での学びは、英文の教材が非常に多かったため、集中力を高めると共に斜め読みなど効率的な読み方が身に付きました。

毎週の課題提出は常に大変で、毎回「絶対に無理!」と思いながら取り組むことが多かったものの、不思議と一度も期限を逃しませんでした。最終的には「どうせ何とかなる」という自信に繋がり、自分でも驚くほどの集中力が養われたと感じています。この「ここぞ」という時の集中力は、現在の仕事にも大いに役立っています。

特に、この上級課程で磨かれた斜め読みのスキルは、英文の契約書を読む際にも非常に役立っています。 海外のスタートアップ企業とのビジネスを行うには、契約書が欠かせません。詳細は専門の国際法務部が確認するため、自分の立場上はビジネスに重要な箇所をいかに素早く見つけるかが重要です。効率的に情報を得るためにこの技術が役立っています。

アビタスで学んだことは入学前の期待値にあっていましたか?

入学前に持っていた期待値については、実際の学びがそれを上回るものであったと感じています。当初からMBAプログラムから多くを学べると期待していましたが、実際の経験はそれ以上の価値がありました。特に上級課程での学びは、期待していた内容よりも深く、具体的な知識とスキルが身につき、自分自身の成長が実感できました。
定年後には起業も検討しているため、そのような準備などにも活かせると考えています。

「この人は凄い!」と感じた学生はいましたか?

在学中には、本当に多くの素晴らしい学生たちと一緒に学べました。特に印象的だったのは、生まれたばかりの赤ちゃんを育てていて、会社勤めを続け、さらにMBAの勉強をしている方です。赤ちゃんが寝てから勉強するという大きな負荷を抱えながらも、そのすべてをこなしている姿に深い尊敬の念を抱いています。

学習とプライベートとの両立は簡単ではありません。私自身は、自宅でも勉強を優先に家事は少なめにして学習に集中できる環境を整えてもらっていました。しかし、家族が目の前でテレビを見ていて集中しづらいなど不満を感じることもあったのです。

万全とは言えない学習環境の中でも強いモチベーションを持って学習を進める仲間に感銘を受け、自分もより一層努力を重ねるきっかけとなりました。

楽しみながら働き、欠かせない人材になるために、MBAは絶対に学んだほうがいいと感じた

入学前の課題感と活用イメージは叶えられましたか?

はい、MBAで学んだ知識とスキルがあるからこそ、現在の業務を推進できていると感じています。

例えば、海外スタートアップの様々な最新技術を探索し、建設現場にフィットしそうな次世代AI技術を、実際に現場で実証実験を行い、本社と連携して全国へ展開したり、BIMやARを活用しての現場業務を効率化したり、現場社員にイノベーション文化を醸成させるため、デザイン思考のワークショップを実施したりすることにも関わっています。その中でも組織改革を伴うDXには、MBAで学んだ知識が不可欠でした。

また「Innovation and Emerging Technology」は、実務に直接に活かせるものでした。履修時にMicrosoftのHoloLensについてまとめた課題を提出しましたが、それを実際に購入して現場で試行し、現場での活用の可能性を探っていました。

このような活動は非常に忙しいものの、毎日が充実しており、楽しみながら仕事ができています。MBAで学んだことは、私が直面していた課題を解決し、新たな価値を生み出すための基盤となり、実際に多くのプロジェクトで成果を上げています。自分自身のキャリアだけでなく、所属する組織にもポジティブな影響を与えていると実感しています。

同期生とのコミュニケーションは続いていますか?

卒業後も、お互いの近況を共有するなど同期生とのコミュニケーションは続いています。11期のある方とは、シリコンバレーのスタートアップとの面談や実証実験を行った際に連携していて、彼とのその時の経験があるからこそ、現在の私の業務があると、彼には非常に感謝しています。同期生とプロフェッショナルな関係も保ちつつ、個人的な繋がりも大切にしています。

MBAの学びを通じて築いたネットワークは、お互いのキャリア発展に活かせています。

MBAで学んだことは実務でどのように役立っていますか?

会社の運営やプロジェクトの管理において、常に俯瞰的な視点が持てるようになりました。これにより、組織全体のあるべき姿や抱えている課題を明確に把握し、それを解決するための戦略構築を行っています。また、自分一人では解決できない問題に対しては、どのような専門家や部門に協力を依頼すべきかを適切に判断できる能力も身につけました。

社外の先進的な技術やアイデアを探索調査し、それを会社の事業にどのように組み込めるかを検討して、小さく実証実験を行い、それを本社にフィードバックするという考える役割を担っています。シリコンバレーにも直接出向いて、グローバルな視点を肌感覚で理解し、社内の様々なハードルを越えて会社に取り入れるというチャレンジを繰り返しています。

このようにMBAで学んだ経営戦略や組織論、リーダーシップの理論が直接的に実務に役立っており、より効果的な意思決定を行い、会社の成長とイノベーションを推進するための重要な基盤となっています。

学位はキャリアアップや転職に生かせましたか?

MBAを取得して社内での立場が大きく変わったわけではありませんが、社内での部署異動などに少なからず影響はあると思います。

MBAで学んだ知識とスキルを活かし、実際にやりたいことを実現できていることに大きな達成感を感じています。学位を取得したことによって、先を見通す力が身につき、自信を持ってプロジェクトに挑戦できるようになりました。

MBAの学びが、これからのキャリアプランにおいても基盤となり、全てにおいてポジティブになれた感覚があります。次のステップとして、60歳での定年後に起業を検討しています。そして自分自身の中で80歳を定年と設定しており、長い目でキャリアと人生を設計している状態です。

最後に、これからMBA取得を目指す方へのアドバイスをお願いします。

働きながらMBAを取得するのは確かに大変ですが、意を決して努力すれば、確実にリターンがあります。MBAの勉強を通して、自分の限界がなくなったり自分の限界が伸びたりするような学びが得られると思います。自分の限界を広げ、会社を俯瞰的に見る視点を得られるようになれば、単に「上の人に言われたからやっている」ではなく、他人が気づかない会社を良くするためにどうすればいいかの発見や行動に繋がります。

刻々と変化する世の中に合わせてイノベーションを進めることを考えると「MBAは少し古い」と言われることがあります。しかしMBAの授業内容は、管理や経営だけでなく、新しい起業家精神やイノベーションにも重点を置き、世の中の流れに合わせて新しいことを取り入れながら変化しています。

時代の変化に対応しながらどのように経営するかを学ぶことで、起業でも会社に残る場合でも自分のポジションを確立し、組織全体の状況を見据えて良い方向へ導く戦略的な行動に繋がります。

勉強をすることで、会社を改善して新しい価値を生み出せる重要な人材になれるため、絶対にやったほうが良いと思います。既存の業務にとらわれず、自分の可能性を信じてぜひ挑戦してください。


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