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卒業生の声

MBAで得たのは、ビジネスの共通言語と広がるネットワーク

MBAで得たのは、ビジネスの共通言語と広がるネットワーク

鈴木 智洋さん

マサチューセッツ大学MBAプログラム第11期卒業生(2017年4月入学)
MS&ADインシュアランスグループホールディングス総合企画部・イノベーション室

  • 通信
  • 40歳代
  • 海外
  • 金融・保険・不動産
  • グローバルに活躍

-どのような経緯でMBAを目指すことにしましたか?

私は早稲田大学の商学部を卒業して、2001年に大手損害保険会社のMS&ADグループに入社しました。入社以来、文系ながらシステム部門に所属して現場レベルのことをやってきましたが、キャリアの後半は企画のような立場で経営にも比較的近い部署で過ごし、ビジネスを深く理解しておく必要性を感じるようになっていきます。

そんな中、まずは2014年から2016年にかけてUSCPA(米国公認会計士)の学習をして、無事資格を取得することができました。更なるキャリアアップに向けては、MBAを取得するのはキャリア的にもプラスになると考え、2017年4月に「マサチューセッツ大学(UMass)MBAプログラム」に入学しました。

実はその後、UMassに入学したその年のうちに、米シリコンバレーに駐在し、自社の事業につながる海外スタートアップに投資を行うオープンイノベーション活動を担当することになりました。仕事の変化が激しく大変なところもありましたが、2019年7月にUMassを無事卒業することができました。

―UMassを選んだ理由は何ですか?

まず挙げられるのが、私が会社の研修で1年ほどシンガポールに駐在したことがきっかけで、将来的に海外でもっと本格的に仕事をしたいと考えるようになったことです。それに向けて海外MBAを取得したいと考えるようになり、欧州やオーストラリアのMBAと比較した上で、保険分野において進んでいるイメージのあった米国のMBAを取得できるUMassを選びました。

実際に駐在を通じて、保険会社がオープン化していてイノベーションが起こりやすい体質になっていることや、新しいことを取り込もうとする土壌やオープン性があることを感じています。そういう意味で、結果的にもUMassを選択して良かったと満足しています。

MBAの取得は大きな目標の一つになっていましたが、キャリアを重ねて会社で期待される役割が高くなっている中、MBAに集中するために休職することは難しいと考えていました。そのため、現業を続けながら2年間のオンライン学習でMBAを取得できるUMassは、とても魅力的なプログラムでした。

―仕事と学習の両立は大変でしたか?

UMass MBAは大きく基礎課程と上級課程の2つに分けられますが、私の場合、基礎課程が終わったタイミングでシリコンバレーに駐在することになり、上級課程は海外から完全にオンラインで受講していました。
基礎課程のときは、自分の仕事のコントロールが比較的しやすい時期だったこともあり、平日に少しずつ学習を進めることができました。また、講義以外でも受講生仲間と学習会を開くなど相互に刺激し合って、半年間しっかり学習できました。

上級課程からは仕事で平日に学習することが難しくなり、土日にまとめて学習するという形でした。しかし、基礎課程の学習仲間とのネットワークは続いており、彼らとうまく連携しながら厳しい科目を乗り越えることができました。オンラインになってからも仲間とつながりながら学習できたのは、UMassの良いところだと思います。

仕事と学習の両立は大変でしたが、MBAの学習を通じて学んだ知識を実務で生かせる場面が多くありました。学んだことを今の仕事に当てはめてユースケースを考えるのは楽しいですし、それを会社の人に共有することもできます。これは、仕事を続けながら学習することの大きなメリットだったと感じています。

―MBAで学んだ知識が仕事で役立ったエピソードを、具体的に教えてください。

私がシリコンバレーで最も役立ったと感じているのが、上級課程で学んだ「ビジネスモデルキャンバス(BMC)」というフレームワークです。BMCは「顧客は誰?」「自社の強みは何?」「リソースはある?」「競合は何?」というような形で、ビジネスを9象限に分類して検討するフレームワークです。
オープンイノベーション活動において投資先を選定する際、スタートアップが行うピッチ(4分程度の短時間で濃密に行うプレゼン)を聞いて判断をしますが、このピッチは基本的にBMCの9象限を1枚ずつスライドにするような形で構成されています。もし1つでも要素が抜けていれば、ピッチをしたスタートアップは投資家から建設的な批判・フィードバックを受けることになります。

海外スタートアップのピッチは、日本型の順序立てたプレゼンテーションと異なり、テンポは良いのですが話題が飛びながら話が進んでいるようにも見えます。ところが実際は、BMCのフレームワークにきちんと当てはめて「ビジネスモデル全般で漏れている観点がないか」を入念に詰めた上でピッチに臨んでいて、投資家側もそれを前提として聞いているわけです。1スライドにつきわずか数十秒で、しかも英語で一気に説明されるピッチですが、このことが分かってからはかなり理解がしやすくなりました。

これは、私が担当していたオープンイノベーション活動という文脈での一例です。しかし、例えば経理やファイナンスを担当している人であれば、その業務における文脈の中で、MBAで学んだ知識がそのまま出てきて生かせることがあると思います。

―UMassでMBAを取得したメリットはありますか?

UMassで学習したことのメリットとして、4つのポイントを挙げたいと思います。1つ目はビジネスの共通言語が身に付いたこと、2つ目は英語力が鍛えられたこと、3つ目は履歴書に書けること、4つ目はネットワークが広がることです。

まず1つ目ですが、先ほどのBMCの話のように、ビジネスの会話をする上での共通言語が身に付きます。グローバルでの仕事においてレベルの高い人と対峙していく上で、あるいは、将来的に経営層を担っていく上で、MBAで学ぶ知識は一種の常識のようなものとして知っておく必要があるでしょう。

次に2つ目ですが、UMassでは英語でたくさんの読み書きをすることになります。確かに英語での学習にはハードルがありますが、そこを乗り越えることで英語の読み書きの能力を大きく鍛えることができます。私自身、ブレークスルーのようなものがあって、英語のレポートを書くスピードが一気に上がったと実感したことがありました。

さらに3つ目ですが、UMass でMBAを取得したことは学歴として履歴書に書けるようになります。特に海外で仕事をしたい人にとって、これはバックグラウンドに箔を付けるという意味でとても有効なことで、チャンスも広がっていくはずです。

単科コースのようなものを利用して手軽に学習を進める方法に比べると、確かにUMassは時間もかかり大変です。しかし、それだけ深く知識を身に付けられると同時に、しっかり学んできたということを形として示せるのは、キャリア的にも大きなポイントになると考えています。

最後に4つ目ですが、MBAは単に知識を学ぶだけでなく、ネットワークをつくりに行くところでもあると考えています。実際に、MBAでできたネットワークは私にとって今でもとても大切です。また、会社の外で学習仲間とつながって自分を高めるということは、仕事面でのモチベーションアップにもつながりました。

意識の高い人とたくさんつながることができると、「もっといろいろな人とつながって自分を高めたい」「ネットワークを広げたい」という気持ちがますます強くなっていきます。UMassの素晴らしい仲間とのつながりをきっかけに、さらに外とのネットワークを広げることで、見える世界もさらに広がっていったと感じています。

―UMassで刺激を受けた人を教えてください。

UMass受講生のみなさんは自分を高めたいという意識が高く、優秀な方が多いと思います。私と同じように海外から受講されていて仕事も多忙であるにも関わらず、毎回ハイスピードで質の高いレポートを提出されていて、素晴らしい成績で卒業された方もいらっしゃいます。

その他にも、1,000人規模の会社の2階級特進でトップ10まで一気に上ったという驚異的な経歴を持つ同期もいます。彼は、2021年1月に米国子会社の社長に就任したそうです。UMass MBAを取得してからの抜てきということで、まさにモデルケースのような人だと思います。

このようにUMassには刺激を受けるような人がたくさんいますが、卒業後も同期とはつながっており、今でもやりとりが続いています。会社の立場や業務での関係に全くこだわらずに、アイデアを一緒に温めるといったことをやっている仲間もいます。

―海外からのオンライン学習で大変だったことはありますか?

私は上級課程を米国から受講しましたが、グループワークでは日本の人と組んで、オンラインでやりとりをしながら取り組むことが数多くありました。しかし、日本側の皆さんもオンライン前提でやっていたので特に不都合を感じたことはなく、むしろオンラインで良かったと感じることもありました。
例えば、最後にレポートをまとめるのですが、その締め切りが日本時間の月曜日の昼で、米国時間では日曜日の深夜と時差がありました。そこで、日曜日に日本側の皆さんが書き切ってくれたものを、米国時間の日曜日に私が受け取り、編集して仕上げるというキャッチボールをやっていたことがあります。

世界中のいろいろな所にいてオンラインでつながっているからこそ、うまく連携しながらフォローするといったことができたわけですが、これはUMassならではの経験だったと感じています。

―コロナ禍によって仕事の在り方に変化が起きていますが、オンラインのコミュニケーションについてどのように考えていますか?

シリコンバレーでは、コロナ禍の前からオンラインで世界中の人とつながってミーティングをするのは普通のことでした。また、オンラインだけでビジネスの契約を決めることも珍しいことではありませんでした。

もちろん直接会った方がいいと考えているのは同じですが、コロナ禍によって物理的に会えなくなった中で、例えばスタートアップへの投資に関する意思決定も、オンラインでのミーティングだけで判断して行っているそうです。アフターコロナでは、こういったことが増えていくのかもしれません。

私自身もオンラインのコミュニケーションが増えており、コロナ 禍の方が会議の数も質も向上しているようにも感じます。数十人に会ってようやく1人とビジネスの話が進むというような世界なので、成果が出ないことを恐れずに数を打つのですが、それがオンラインだとやりやすいからかもしれません。

―オンラインのコミュニケーションが重要性を増す中で、どのような能力が必要になっていくと考えていますか?

まずは、オンラインでのミーティングにおける作法を身に付けることが大切です。例えば、きちんと正面から顔を見せる、発言をしないなら会議には出席しない、といったことです。こういった世界標準の作法が、日本ではまだ浸透していないと感じることがあります。

また、これも基本ですが、自己紹介ファーストということがあります。自分がどういう人間で何をやっているのかをしっかり主張して、自分について知ってもらうということをやらなければなりません。そのときにMBAは武器になりますし、相手の印象に残すことができれば、将来のビジネスにつながることがあるかもしれません。

あとは、短時間でコンパクトに相手に伝えるという、ピッチする能力が重要になっていくと思います。そして、それを鍛えるために欠かせないのが、熱意やパッションという言葉よりもう少し深い“熱量”を持つことです。

会社の中だけでこの“熱量”を持てるようになるのは難しく、外に出て、いろいろな人に頭を殴られるような刺激を受けることが必要です。意識の高い人とオンラインでつながって刺激を受けられるUMassですが、“熱量”を持つためのきっかけの1つにしていただければいいなと考えています。

―これからMBAを目指す人に向けてメッセージをお願いします。

UMassでMBAを学習すると、さまざまな職種や役職の人たちとネットワークをつくることができます。利害関係のないオープンでフランクな関係な仲間ができることは、知見も視野も広がっていくことにもつながると思います。
また、ビジネスにおける共通言語、必須の知識、基礎体力といったものを得られると同時に、履歴書にも「UMass MBA修了」と書くことができるようになります。海外では日本以上に学歴やバックグラウンドが意識されるため、特に海外での仕事がしやすくなり、チャンスも広がっていくはずです。

最後に、MBAの学習は大変だということも伝えておきます。私は仲間をつくりやすいUMassだったからこそ、乗り越えられたと感じています。UMassに来る人は皆さん意識が高く、頑張る人が多いので、それを見てモチベーションを高めることができました。加えて、彼らと教え合える仲間になれたことは、学習を進める上でとても役立ちました。

MBAに挑戦する上で、仲間というのは貴重な存在だと思います。仲間をつくって、最後まで走り抜けられる環境を整えるということも意識して、MBA取得に向けて突き進んでいってください。