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卒業生の声

病院経営に携わるにあたり、MBA取得が必要だと思った

病院経営に携わるにあたり、MBA取得が必要だと思った

海老澤 健太さん

  • 通信

ご経歴、年齢はインタビュー時のものです。

これまでのキャリアについてお聞かせください

大学時代の4年間、中学校の野球クラブチームのコーチをしながら横浜労災病院で働いていました。卒業後は野球コーチとして進む道も考えましたが、結果的に徳洲会系列の総合病院に就職します。 そこから3年半、窓口対応かられレセプトの処理、会計業務、秘書業務まで幅広く対応しました。病院経営について考えるベースとなる期間でしたが、上司との折り合いがうまくつかず退職。その後個別指導学習塾の教室長をしていたところ、縁があり、徳洲会系列の別病院で再び秘書をすることになりました。 秘書と言っても運転手をしたり人事をしたりと、本当に幅広い業務を経験させていただきました。理事長である徳田虎雄氏がわたしのことを気に入ってくださり、秘書と言いつつわたしをそばに置き、なにかと面倒を見てくださったのがありがたかったです。徳田虎雄氏はずっと交流がある、恩師と呼べる人です。今は麻薬依存やアルコール依存患者の更生施設にいらっしゃいますね。 このとき、当時EU最貧国だったブルガリアへの医療支援や、タンザニアの臓器移植プロジェクト、コンゴ民主共和国の病院建設などに携わるようになりました。徳田虎雄氏は、貧しい国に病院を作ったり医療支援を行ったりすることに使命を感じているんです。「生命(いのち)だけは平等だ」という理念ですね。近くにいたわたしも、自然とそういった活動に関わるようになりました。 その後、次第に病院経営についても学ぶこととなります。

MBAを取得されたきっかけを教えてください

きっかけとしては、31歳のとき、徳洲会が海外に展開している病院に、病院版ISOと言えるJCI(ジョイント・コミッション・インターナショナル)の認証を取るプロジェクトにアサインメントされたことが始まりです。JCIは、海外の団体が、安全にオペレーションできている病院を認証する仕組みです。当時徳洲会は75病院あったのですが、このうち12病院でJCIを取得しました。 このプロジェクトでは、業務マニュアルの作成、オペレーションの最適化、リスクマネジメントや質の改善など、病院の仕組みをJCTが求めるものに合わせていく必要がありました。この際に、経営をきちんと学んだ方がいいとなり、そもそもやり取りがすべて英語でしたし、海外の基準に合わせていくわけですから、海外のMBAを受けようと思いました。

MBA取得を決断するにあたり、どのような活用イメージをもちましたか

病院経営において意思決定をする際に役立つと考え、決断しました。先ほどお話したJCT取得プロジェクトがきっかけではありましたが、必ずMBAが必要なプロジェクトだったというわけではありませんでした。 MBI取得を決断した理由としては、35歳くらいから病院グループ全体の経営改善や経営戦略にも関わるようになっていたことが大きいです。理事長や他の経営企画の人たちと、グループ全体の方針を考える立場でした。 現在、全国の病院の60%以上が赤字を抱えています。病院も企業と同じように、赤字を避けた経営を行わなければなりません。徳洲会系列は総事業所数が約400施設、従業員数で言うと38,000人いますから、そのぶん、経営方針を考える責任も重いわけです。病院一つ一つの経営を改善したり、将来の長期戦略を立てたりと、いわゆる経営企画を考えるにあたり、より経営についての知識を欲するようになっていました。 余談になりますが、コミュニケーション力はこの頃鍛えられたと思います。秘書として理事長が動きやすいように気を配ることはもちろん、相手の気分に合わせて話題の流れを作ったり、相手が求める資料作りをしたりする経験ができました。

オンラインでなければ、コロナ禍でのMBA取得は難しかった

スクール選びにおいてなにを優先されたか、理由と合わせてお聞かせください

まず、当時携わっていたJCI取得プロジェクトに合わせて、海外のMBA取得を決めました。そのうえで、並行して語学力もあげたかったので、アメリカに絞りました。カナダやオーストラリアも考えましたが、やはり英語ネイティブであり、GDPナンバーワンでもあるアメリカが一番いいだろうと思いました。

なぜ海外MBA、かつAACSB取得の米国MBAの取得を目指す必要があったのですか

こちらも同じ理由です。海外の基準に合わせるために海外でMBAを取得したい、かつ、語学力をあげるためにネイティブな環境で学びたい、という観点からアメリカに決めました。

オンライン学習であることについてはどう考えましたか

受講の途中からコロナ禍に入ってしまったので、そもそもオンライン学習でないと成立しませんでした。始めは教室にも通っていましたが、コロナ禍に入ってからはほぼオンラインになりました。 特にわたしは病院勤務で、さらにコロナ臨時病棟の事務長的な立場になりましたので、通い続けることは難しかったと思います。当時の職場は、180床ある日本最大級のコロナ臨時病棟でした。コロナが未知なるウイルスとされていた頃ですから、誰も近寄りたがらなかったですし、中等症や軽症の患者を受け入れる機関が少なかったことから、県外からも受け入れ要請がありました。 そんななか、昼間は現場のマネジメントをしながら、夜にオンラインでMBAを学んでいました。最後のSFIもコロナ病棟からプレゼンしましたし、大変なことも多かったのですが、オンラインでなければ学び続けること自体が難しくなっていたはずですので、結果的によかったです。 コロナを除いて考えてみても、ずっと出張が多い生活でしたから、オンライン学習はありがたかったです。アフリカやタンザニアなど国外への出張もあったので、対面学習であれば仕事を休まなければならなかったと思います。同期など他の学生との交流が減ってしまう点は残念でしたが、その反面、時間を有効に使うことができました。

開始前の英語力はどの程度でしたか

TOEIC780点ほどでしたが、当時から頻繁に海外へ行っていたので、コミュニケーション力としてはもう少しあったかもしれません。海外現地スタッフとの会話はもちろん、徳田氏に会いに日本へ来た大使との交流や観光案内などを英語で行う力はありました。ただ当時は、海外での病院経営に関わったり、JCT取得に向けて動いたりできるほどの英語レベルは、まだなかったと思います。 実は、徳田虎雄氏の秘書兼運転手をしていた頃「英語を喋れるようになっておけ」と、運転中はずっと英語のCDを聞かされていました。片道2,3時間の長距離移動も多かったので、リスニング力は上がっていたと思います。リスニング用に開発された、聞き流すタイプのCDでしたが、効果が出るものなんですね。 わたしは、帰国子女や外国語学部出身だったわけではありません。学生時代は野球コーチにバイトにと忙しく、特別英語に注力していたわけでもありませんが、その後の環境とOJT(オンザジョブトレーニング)によって鍛えられました。

基礎、上級の2段階式カリキュラムについて、どう感じましたか

最初は日本語でできて良かったと思います。日常会話はできるにしても、やはり専門用語が壁になりますから。日本語で聞いてから英語のテキストを見ることで、「このことを言っているんだ」とストレスなく専門用語を学べました。また内容についても、まずは日本語で、日本人的な感覚で理解できたのが良かったです。基礎課程の先生方が日本人に理解しやすいように咀嚼してくださっていたので、スムーズに理解できたのは大きかったと思います。 英語での課題作成は基礎課程からありましたが、これはもちろん負担ではありました。ただ、課題をこなしていくことで英語が上達していく感覚はありました。課題の中だけではなく、普段の仕事で使う英語や日常会話力もどんどん身に付いたと思います。

英語力を高めながら、経営について体系的に学ぶことができた

印象に残っている科目、またその理由を教えてください

Strategy Formulation and Implementation「戦略の立案と遂行」(以下SFI)が最も印象に残っています。海外の学生もいて、ZoomやLINEビデオを使いながらグループワークを行いました。海外の学生とは時差もありますが、お互い融通を利かせつつ都合のいい時間に進めていきました。 多国籍のグループワークは、文化はもちろん、ディスカッションのやり方にも違いが出ると感じます。日本人は相手の話をじっくり聞くタイプの人が多いですが、海外の学生だと、わーっと勢いよく話される方も多かったですね。 わたしは海外へ行くことが多かったので、こういった文化の違いや多様性については慣れていたと思います。海外で同じ土地に長くいる方とも、また違う感覚を持っているかもしれません。様々な意見が出てくることに対して、寛容というか、そういう考え方もあるなと受け入れる姿勢を持てました。 ディスカッションにおいて、意見の違いが文化の違いだった場合は、基本的には意見はまとまりません。育った環境や文化が違うのだから、仕方ないですよね。ただそのなかで、お互い折り合いを付けながら落としどころを探り、着地点を見つけていくことができました。 SFI以外では、BFA「ビジネス財務分析(現ファイナンス基礎)」が印象に残っています。というのも、苦手意識が強かったんです。今の仕事と深く関わっていることが、当時は意外と苦手だったりするので、不思議だなと思います。 今一番仕事で使っている科目となると、やはりSFIになりますね。病院の経営戦略を立てたり、新しい医療商品を海外に売ったりする際には、バリュープロポジションやフォースモデルなどが使えます。 SFIはMBAの最後のまとめの科目という位置付けで、それまでに培った知識を総動員して取り組みます。グループワークを行いつつ、また他のグループと競いながらビジネスの進め方について考えるというのは、まさに今わたしが仕事にしていることにつながっていると感じます。 特にわたしは海外との取り引きも多いですから、アメリカのMBAを取得したことがダイレクトに役立っていると思います。

多業種、多職種の同期と一緒に学んだ経験をどのように感じていますか

色々な人との学びがあり、多様な視点から考えることができたので良かったです。医療業界はキャリア志向が特別高いというわけでもないので、世の中には「キャリアを上げたい」と思っている人がこんなにいるんだなという驚きもありました。転職して、どんどんステップアップしていこうという熱度の高い人が多く集まっている環境が、印象的でした。

英語でのアウトプットには苦労しませんでしたか

もちろん苦労しました。当たり前ですが、最初は量にも書き方にも慣れませんでした。上級過程になると、1週間で1科目5~8枚ほどのレポートを書く必要がありました。もともとビジネスメールで多少のアウトプットはしていましたが、量も質も全く違うので大変でした。 ただ、プレ講座である「アカデミックライティング」で準備ができます。わたしはTOEIC700点台からのスタートでしたが、半年ほど書き続けて慣れた感覚があります。書けるようになってくると自分なりにコツをつかめますし、今はGoogle翻訳も精度が高くなってきていますから、一朝一夕とはいきませんが、努力によって慣れることができると思います。

入学前の期待値に合っていましたか

はい、基礎課程から実務に生きています。MBA取得後しばらく経ってから徳洲会を退職し、ICEの企業に転職、今は独立してコンサルをしているのですが、事業開発のときのマーケティング分析や、戦略と実行というところがまさに役立っています。今でも、MBAのテキストを読み返して手法を取り入れることがあります。 SFI以外に、苦手だった分野も役に立っているので、面白いなと感じます。 病院経営の際の会計も、通常の会計学や財務会計が使えます。病院は特殊な業界のように感じられますが、特別な勘定科目や概念などがあるわけではないので、考え方自体は変わりません。 ただ、医療業界では経理の本当に上の方の立場にならないと、会計に関する体系的な学習をする機会がなかなかないので、MBAでの学びが生きていると思います。複数の金融機関からの借り入れ適正感や自己資本に対する借入比率などをFS(フィージビリティスタディ)から判断しますし、PL(損益計算書)を見て投資の規模を考えますので、まさに求めていた結果です。 また、病院がM&Aをする際のデューデリジェンスでも役立ちます。病院のM&Aでも「暖簾」の概念があるので、デューデリジェンスも必須です。

「この人はすごい!」と感じた学生はいましたか

秋山さんはなんでもオールランドにこなせてすごかったです。基礎課程のFAの授業が終わった後に、教壇に立って苦手な方に教えていらっしゃいました。成績ももちろん良かったですが、自分の知識を周りの人に共有される姿が素晴らしいなと思いました。 あとは会計の遠藤さんもいらっしゃいましたし、高橋さんは今アメリカで現地法人の社長をされていますね。

社会貢献を主としながら、きちんと利益も出すことが、人生の豊かさにつながる

入学前の課題感と活用イメージは叶えられましたか

はい。入学前に感じていた「経営について体系的に学びたい」という課題が叶いました。特に会計については、MBAでの学びが本当に活用されています。 会計分野において、MBA取得前にPLまでは触れていましたが、BS(バランスシート)やCF(キャッシュフロー計算書)につていはMBAで学びました。難しい分野だとも思いますが、入学前から少し触れてはいたので、改めて体系的に学ぶことができて良かったです。

同期生とのコミュニケーションは続いていますか

大きな飲み会はなかなかできませんが、個人的に会って飲みに行くことがあります。ほかにも、FacebookやLINEでのやり取りがありますね。近況報告をしたり、最近どう?みたいなやり取りをしたりしています。 正直、大学時代の友人よりも、UMass MBAで出会った仲間の方が頻繁に連絡を取り合っています。

MBAでの学びは、実務にどう役立っていますか

経営資料を分析するときや戦略的立案を考えるときなどに、非常に役立っています。特に今は、自身も病院の経営に関わりながら、他の病院の経営者の方とも話すので、意見や目線が近くなれたなと感じます。

学位が、キャリアアップや転職に生かせましたか

MBAという肩書を得たことで、転職の際の年収が上がりました。 今は独立し、「NPO法人Afya Management and Innovation」と「株式会社Afya Management and Innovation」の代表取締役をしています。

最後に、これからMBA取得を目指す方へのアドバイスや激励をお願いします。

課題への取り組み方については、週末にまとめて取り組むのは知識が中途半端になってしまうので、避けた方がいいです。これは自分自身の後悔でもあるのですが、課題の提出期限が土曜日に設定されていることが多いので、どうしても金曜日を中心に詰め込みがちになりました。時間に追われると、クオリティが下がってしまったり、内容が薄くなってしまう部分が出てきたりします。 ですから、きちんと月曜日から計画を立てて準備をして、火水木と段取りよく進めていくことをおすすめします。分散して課題に取り組むことで、試験をパスするための勉強ではなく、実務に生かせる知識として身に付きます。きちんと時間を整理して、自分の知識のために課題に取り組む、という姿勢が大切なのではないかと思います。 MBA取得後の仕事についてですが、社会貢献をしたいかどうかは、その人の価値観によると思います。社会貢献は関係なくお金だけ稼ぎたいという考え方ももちろんあるでしょうし、それはそれでいいと思います。ただわたしの価値観で言うと、社会貢献を主としながら、きちんと利益も出すことが、人生の豊かさにつながると思っています。 この「社会貢献をしながら利益も出す」ための戦略だったり実行のしかただったりを、MBAで学ぶことができました。だから、わたしと同じような価値観をもっている方には、「社会貢献も、MBAも、いいものですよ」とお伝えしたいです。 企業で純粋に利益を追求するのももちろん否定しませんし、利益を出すこと自体が社会貢献になっている場合も多いと思います。物やサービスを売ったり、従業員を雇ったりしているわけですから。 ただわたしは、困っている人たちに何ができるのか、というところを大切にしたいんです。特に医療分野にいますから、「生命(いのち)だけは平等であってほしい」という思いをもっています。 病院建設に携わったコンゴ民主共和国は、内戦を繰り返していてアフリカの中でも特に苦しい国です。そういった国にあえて飛び込んでいく、自分に何ができるのかを考えていく、ということをポリシーとして持っています。 最後に、わたしが目指す人物像というと、やはり徳田虎雄氏や中村哲氏になります。なかなか、同じステージまで進むというのもおこがましい思いですが、目標として持たせていただいています。

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