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講師インタビュー 大島 守博

大島 守博

40年以上にわたり総合商社に勤務し、豪州、タイ、米国に駐在し、海外40か国以上に出張し、様々な国々でのビジネスを経験。海外との輸出入トレード業務及びM&Aによる事業会社経営に携わり、また国内外の事業会社への出向経験も豊富で、グローバル企業とのビジネス経験を通じて、国際ビジネスにおいていかにMBAで学習するセオリーを実践的なスキルに落とし込むかを中心にMBA講義を行っている。趣味はスポーツ全般(テニス、ゴルフ、ヨット、ダイビング等)、映画・音楽コンサート・ミュージカル鑑賞、国内外への旅行等。なんでも興味をもって体験したいと思っている。

「MBAの学習は知らずに実践に活用できるもの。
積極的に実際のビジネスに活用してみることが重要。」

現時点までのご経歴についてお教えください。

-商社で様々な国へ海外勤務を経験。-
家族に支えられながらダイバーシティを肌で実感。

1981年、住友商事に入社し、自動車部に配属され、マツダ製フォード車の海外輸出業務に従事しました。1988年からはフォードジャパン広島に出向し、マツダとフォードの交渉業務等を担当します。
1992年、住友商事として豪州最大級のフォード自動車販売店を買収。シドニー、ブリスベン、メルボルンに副社長として駐在しました。
1998年からはタイ・バンコクの住友商事事業会社のトヨタ自動車販売店に社長として駐在、事業経営の要諦を学びます。
2005年には米国住友商事ヴァイスプレジデント、兼デトロイト店長に就任。日本及び東南アジアから米国国内向け自動車部品輸入及び米国での事業会社M&Aを担当します。
2007年からは住友商事グループ会社の住商機電貿易に出向。自動車第四部長として、海外向け自動車部品輸出を担当しました。

2012年からは住友三井オートサービス (SMAS) に出向。グローバル営業部長、その後営業戦略本部長補佐となり、主にオートリース事業における海外事業会社の営業政策を担当しました。
2019年からは住友商事において同社グループにおける事業会社連携の仕事も担当し、2022年末に、65歳で住友商事を卒業致しました。 その後は、これまでの経験も生かしながら、個人的に少しでも社会に恩返しが出来る新しい仕事に就きたいと思い、このUMass MBAの講師の仕事に加えて、東京家庭裁判所の家事調停委員と日本能率協会コンサルティング(JMAC)のパートナーコンサルタントの仕事を、現在楽しくさせていただいています。

父が商社勤務だったこともあり、海外を舞台に仕事をしたいという思いがありました。大学のときにいわゆる会社訪問をする中で銀行、商社を中心に回り、住友商事の堅実な社風が自分に合うなと感じました。実は外務省の外交官もいいなと思ったり、大学のゼミの教授から大学に残らないかとお声かけいただいたりもしていたのですが、結果的には商社を選びました。
上記の通り、商社勤務時代は国内と海外において、様々な会社への出向経験を致しました。オーストラリアへは家族で行き、タイとアメリカは単身で行きましたが、やはり家族みんなで行った方がいいですね。タイもアメリカもたまたま不況の時期に駐在したので、単身での駐在は精神的にも大変で、そんな時に家族が一緒にいるというのは大きな心の支えになるのではと思います。駐在期間中も家族で色んなことを楽しめますし、家族ぐるみのお付き合いというのも出来るので、できる限り家族で行かれた方がいいとお勧めします。
また海外で生活する中で、アメリカ駐在時には人種差別的な経験をしたり、オーストラリアやタイとの違いを感じたりしました。日本人に対する見方も、文化も、考え方も、多種多様です。でも、あんまりアメリカ人はこう、タイ人はこう、オーストラリア人はこうというふうに区切らない方がいいなと。どんな国籍や人種でも、良い人もいれば悪い人もいる。勿論その方々の生まれてきた環境や文化の影響はありますが、大きなくくりは参考程度にとどめておき、個人個人で違うという認識を持ちながらやっていかなければならないと感じました。
ビジネスにおいても、形だけのダイバーシティなんて絶対だめだなと思いますね。適材適所というように、適性のある人を適切な場所に配置する。これが経営陣の仕事であり、経営層の目利きだと思います。それが結果としてうまくダイバーシティにつながってくという順序で考えないと、最初にダイバーシティありきで男性と女性の比とか、年齢比とか、海外、外国人、日本人の比を整えようとしてもうまくいくわけがないですよね。
今はご縁がありUMassの講師をさせていただいていますが、実務経験を経て教育業界に来られたことは良かったと思います。実際の仕事の中では、うまくいくこともあれば失敗したこともありますし、これまで勉強してきた理論がどう当てはまっているのか、いや今回は当てはまらなかったなと考えるのが楽しいです。あのときもし大学に残ってそのまま教育や研究の道へ進んでいたら気付けなかったこともあるでしょうし、もちろん研究として追究するのも1つ大事なことですが、今は違う角度から見えるので、大変面白いですね。

以前のお勤め先の業界(商社)が、どのようなビジネスモデルかをお教えください。

総合商社は、元々はトレード(輸出入)ビジネスが主要業務でした。その後M&Aを含めて様々な事業会社群を創出していき、現在は事業投資会社として、次世代を担うビジネスを構築すべく、ヒト・モノ・カネを主体的に提供しながら中長期的に持続的成長が可能なビジネスを構築しています。
もともとはシンプルに物を売り買いする貿易会社だったのが、徐々にトレードの枠を超え、ビジネスそのものにプレイヤーとして乗り込むようになりました。私が入社したのが1981年で、その頃になると日本も高度成長に向かい非常に経済が順調で。各製造メーカーさんも力をつけて、自分たちで海外事業部を立ち上げるようになったんです。今まで商社が間に入って輸出入を行っていたところを「もう自分たちでやるから商社さんはいらないです」となってきて、当時は商社冬の時代と言われたりしていましたね。そこで私たちも、いつまでも裏方や中間業者ばかりやっていてはだめだ、自分たちが主体となって人もお金も口も出す仕事をしていこうと、事業会社経営へシフトチェンジしていきました。

そんな中で、これはもう、私がMBA講義で何度も申し上げてきていることなのですが、とにかくまっとうな王道のビジネスをやることを心がける。まっとうと言えないビジネスを伸ばそうというような会社だったら、もう辞めた方がいいです。自分が信頼される人でいられれば一緒に仕事をしたいと思ってもらえるし、反対にこの人とはちょっとなと思われると行き詰まる。私は「微悪」と呼んでいますが、このぐらいだったらいいかなとか、みんなが見てないからやっちゃおうかなとか、そういうのはダメですよね。自分の人間性を高めていく努力は常日頃からやらなければいけないというのが、私の持論です。

どちらのMBAに通われましたか、また、なぜそのMBAを選ばれましたか。

Bond-BBT MBAです。以前から世界的な経済コンサルタントである大前研一氏の考えに共感を覚えており、彼が教育者として経営していたBBTを友人から紹介されました。2-5年の間で仕事をしながら学べるということで、チャレンジすることに決めました。

本当に人生の中で一番勉強しましたね。働きながらなので、まずは家族を養っていかなきゃいけない。何と言っても仕事が第一ですからね。仕事プラスMBAの勉強ということで、とにかく濃い2年間でした。でも、ただしんどいということではなくて、刺激があって楽しかったですし、自信につながりました。やればできるんだと思えましたし、体系的に学問を学ぶ面白さも感じることができました。

授業についていく(単位を取得する)うえで、何が一番大変でしたか。

部長職の仕事をしながらの受講だったので、仕事と勉強と家庭の3つをバランスよくこなすことが大変でした。とにかく2年間で修了したいと考え、往復の通勤電車、ランチタイム、週末に時間をフルに活用しながら学習することに苦心しましたね。
具体的なスケジュールとしては、平日は通勤電車の中で45分×2回、ランチタイムに30分、帰宅後1時間と、1日3時間程度勉強していました。休日は1日7~8時間取り組みました。あまり無理に詰め込みすぎてももたないですし、かといって5年計画で取り組むのも時間的に辛いかなと思って、私はこのペースでやりました。身体のことを考えて、当時はジムにも通っていました。

学びが実務にどう役立っていますか。

MBAの学習は、その多くが知らず知らずに実践に活用できるものであり、ただし、自分が意識して積極的に実際のビジネスに活用してみることが重要であると考えます。その上で、理論だけではない部分も、新たな学びや経験として自分の糧とすることができます。つまり、MBAで型の基本を学び、実際のビジネスでその応用を行うというイメージをもつと良いと思います。

同期生とのコミュニケーションは続いていますか。

はい、続いています。同期でアルムナイを作っており、旧交を温め、刺激を与えあっています。今でも年に2回ほど集まりますし、人によっては一緒にビジネスをやったりもしているみたいですよ。

MBAがキャリアアップに活きていますか。

自己実現においては、MBAでの勉強が、その後の私のキャリア、物事の考え方に大きく影響を与えており、特に現在の私の社会貢献のための仕事へのきっかけにもなったと考えます。
アビタスでのMBA講師の仕事は、Bond-BBT MBAを修了したことで初めて可能になったのだと思います。
また今は家庭裁判所の調停委員の仕事もしているのですが、友人や親族からの推薦があったからできたことです。様々な社会経験を積んだ人が、例えば65歳で長年やってきた仕事を一旦卒業する。このときに、報酬はそんなに高くないけれども、家族のことで悩み、当事者同士で解決できないときのお手伝いをすると。自分が長年生きてきた経験があるので、悩んでる方のお役に立てる、社会の役に立てるということなのかなと思っています。

ご担当されている「Global Enterprise & Competition(GEC)」とはどのような科目ですか。

Global Enterprise & Competition(GEC)は、基礎科目の最終科目です。実際のグローバル企業を題材にし、それまでに学習した基礎科目を活用しながら戦略を立てつつ、いかにしてビジネス競争を勝ち抜いていくかを学ぶ科目です。
講義の中で学ぶ様々な理論を使っていただくのももちろん大事ですが、そのほかに2つ、大切にしてほしいことがあるとお伝えしています。一つは「マネジメントとは何か?」を常に考えること。もう一つは「戦略とは何か?」ということ。大きなテーマとしてこの2つを意識しながら7週まで聞いてくださいとお願いしていますね。
グローバル企業が世界の中で競争を勝ち抜いていくには、どういうマネジメントでどういう戦略を立ててやっていくかがものすごく重要なポイントになります。マネジメントも戦略もガチガチにやるのではなくて柔軟性を持ってやっていただく必要がありますよと。時には勇気を持って変更したり、修正したりしないと、今のような変化の大きい時代ではやっていけないですよっていうことを申し上げています。
この科目をパスして初めて上級科目に進むことができるので、学生も講師もお互いに真剣勝負でやっています。

科目を教えるうえで、心がけていることは何でしょうか。

何と言っても、実践で使えるかどうかです。MBAで学習する理論が実際のビジネスシーンでどのように活用されているかという視点に立ちながら、私自身のビジネス経験も交えつつ、学生の皆さんにお伝えしています。
従って試験でも、回答の際には常に具体的な時間枠と金額のレベルを意識しながら、概念のみではなく具体的な戦略を立てて、その実行策を考えるように指導しています。きれい事を言ったらいくらでも理想論を書けますが、そのプランは何年かかるのか?どれくらいの金額がかかるのか?収益はどれくらいか?という具体論がなければ、実際には誰もやれないし、やらないですよね。仮定でいいから数字も含めて具体論で考えて、将来的に実践で使うための練習をしていくことが大切だと考えています。

急カーブで成長する学生の共通点とは何でしょうか。

探求心、創造力、好奇心、構想力のある学生は、その発言、試験での回答も思わず感動することもあり、こちらも学生から大いなる刺激を受けています。
戦略に限った話ではありませんが、物事を考えるときにある一面しか見られない人もいますよね。そうじゃなくて、「でも、この先こうなるんじゃないの?」「こういう可能性もあるよ」と多角的に捉えて、最終的に目指すべき場所を自分の中に持っている人は伸びます。目の前の問題だけでなく、5年先や10年先はどうしたいのか?というところまで自分なりのビジョンがある。短期的に利益を出すだけではなくて、その先までデザインできる。そういった考え方ができる人は、実際のビジネスでも伸びるのではないでしょうか。

UMass MBAの学生の皆さんの印象を教えてください。

皆さん総じて英語力も高く、優秀な方々が多いと思っています。個人で授業料を支払っている方々が多く、その学習に対する真剣度も自ずから違っていますね。
強いて言うならば、オンデマンドの受講ではなく、できるだけリアルタイムで講義を受講いただけると良いと思います。リアルタイムであればグループディスカッションに参加できます。ぜひ積極的に発言していただきたいですし、そうされることを強くおすすめします。

(特に米国の)MBAを取得する意義とは。

グローバルビジネスの本場である米国の一流大学のひとつであるマサチューセッツ州立大学(UMass)のMBAを取得する意義としては、上級クラスで、日本人のみではなく現地の学生と一緒に英語で学習できることにあります。刺激を強く受けることができますし、現在の世界経済の最先端の動向を肌で感じることができます。
また、修了後のアルムナイのつながりを学生が自ら積極的に活用することにより、将来のビジネスでのつながりも出てくる可能性もあり、自分の世界が広がっていくことが期待できると思います。

これからMBA取得を目指す方へのメッセージをお願いします。

MBAは修了することが目的ではなく、その学習をいかに実際のビジネスに活用するかが重要です。MBAで学んだことをどんどん実践で活用してもらいたいと思っています。
その中で重要なのは、持続的に成長できるビジネスを行うということです。目先の利益に惑わされずに、その会社のビジョン、ミッションに基づいたビジネスプランを立てる。つまり倫理的にもまっとうな方法でビジネスの王道を進んでいくことが重要であるという点を、常に心がけていただきたいと思っています。
「お天道様が見ている」という言葉があるように、後ろめたくない生き方をしていくことが、最も大切なのです。
皆さんをUMass MBAの講義でお待ちしています。