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  • 2024/01/24公開

内部統制報告書の作成理由や目的、記載事項の詳細を解説

内部統制報告書の作成理由や目的、記載事項の詳細を解説

内部統制報告書は一部の企業においては提出が義務付けられており、提出しなければ罰則が科せられる恐れがあります。

しかしながら、内部統制報告書についてどのように作成すべきか悩んでいる方もいるかもしれません。

本記事では、内部統制報告書を作成する理由や目的だけでなく、ひな形にある記載項目についてもそれぞれ解説します。

目次
内部統制報告書とは
内部統制報告書の記載事項
内部統制報告書の提出までの一般的なステップ
内部統制報告書の提出は上場企業に必須

内部統制報告書とは

内部統制報告書とは、公益または投資者保護のために作成しなければならない書類です。

金融商品取引法第24条の4の4では、以下のように定義されています。

”事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書”

なお、全ての企業が内部統制報告書の提出をしなければならないというわけではありません。ただし、内部統制報告制度(J-SOX制度)によって提出が義務付けられている企業もあります。

関連記事:アビタス CIA「J-SOX(内部統制報告制度)とは?2023年改訂内容を徹底解説」

参照:e-GOV法令検索「金融商品取引法」
参照:総務省「内部統制関連資料|参考資料1」

内部統制報告書を作成する理由・目的

2000年代の前半、日本では企業による粉飾決算、リコールの隠蔽、有価証券報告書の虚偽報告などの不祥事が多発しました。

このような企業の不祥事をきっかけに、内部統制報告制度が定められました。

内部統制報告書を作成する目的は、内部統制により企業の経営状態が適正な状態であることを証明する客観的評価および結果の報告をすることにあります。企業の透明性を高めるためにも、財務報告だけでなく内部統制報告書の作成が求められていると言えるでしょう。

内部統制報告書の提出は上場企業の義務

内部統制報告制度により、上場企業には内部統制報告書の提出が義務付けられています。

提出頻度は事業年度ごとの年に1回とされており、基本的には有価証券報告書と併せて提出します。

「虚偽内容が記載されている」「提出されていない」などといった場合、5億円以下の罰金が科せられる可能性があります。

内部統制報告書の記載事項

企業は内部統制に係る整備や運用状況について評価し内部統制報告書を作成します。作成においては、次の項目を不備なく記載しなければなりません。

  • 提出日・会社名・代表者氏名・会社の所在地などの基本情報
  • 財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項
  • 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項
  • 評価結果に関する事項
  • 付記事項
  • 特記事項

ここからは、金融庁が公表している「内部統制報告書のひな形第一号様式」を参照の上、基本情報を除いた記載すべき5つの項目について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

参照:金融庁「第一号様式【表紙】【提出書類】内部統制報告書【根拠条文】金融商品取引法第24条の4の4」
参照:金融庁「第二号様式【表紙】【提出書類】内部統制報告書【根拠条文】金融商品取引法第24条の4の4」」

財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

本項目で記載が求められている内容は次の3点です。

  • 代表者や最高財務責任者が財務報告に関する内部統制の整備・運用における責任者になっていること
  • 財務報告に関する内部統制を整備・運用するための基準の名称
  • 財務報告に関する内部統制によって、財務報告について虚偽の記載を完全に防ぐことや発見することはできない可能性があること

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

本項目では次の4点の記載が求められます。

  • 財務報告に対する内部統制の基準日
  • 財務報告に対する内部統制の評価において、一般的に公正妥当とされる評価基準に準拠していること
  • 財務報告に関する内部統制の評価手続きについて
  • 財務報告に関する内部統制の評価対象となる範囲

4点目については、内部統制を評価する範囲や決定手順、方法などを簡潔に記載します。

やむを得ない事情が生じ、評価手続きを十分に実施できなかった場合、実施できなかった範囲と理由を明記しなければなりません。

評価結果に関する事項

本項目では、内部統制を実施した結果について、次の4つの区分から適切なものを記載します。場合によっては理由も報告する必要があります。

  • 財務報告に関する内部統制が有効なこと
  • 評価の一部を実施できなかったものの、財務報告に関する内部統制が有効的であること並びに実施できなかった評価と理由
  • 開示しなければならない重要な不備があった場合、財務報告に関する内部統制が有効的に実施されなかったこと並びに重要な不備の内容と事業年度末日までに是正されなかった所為
  • 重要な評価手続が実施できなかった場合、財務統制の内部統制の評価結果を公布できない旨並びに実施てきなかった評価と理由

不備が発見され是正を行った場合は、付記事項への記載を行います。付記事項については後ほど解説します。

付記事項

付記事項は、以下いずれかに該当する場合に記載する必要があります。

  • 財務報告に関する内部統制における有効性の評価に重要な影響を与える後発的な事象が発生した場合(事業年度の末日後・報告書の提出日までに重要な影響を与える事象が発生した場合も含む)
  • 事業年度の末日後に開示しなければならない重要な不備を是正するために実施した措置がある場合

2点目の重要な不備を是正するために実施した措置がある場合には、実施内容を記載します。また、事業年度の末日に開示しなければならない重要な不備があり、報告書の提出日までに内部統制が不備に対し実施した場合も、是正措置の内容を記載します。

上記に該当しない場合は、該当事項がない旨を記します。

参照:金融庁「金融庁企画市場局|内部統制報告制度に関するQ&A」

特記事項

特記事項では、財務報告に関する内部統制の評価において、特に伝えなければならない内容がある場合、その内容を記載します。

記載すべき内容がない場合、該当事項がない旨を記します。

参照:金融庁「第一号様式【表紙】【提出書類】内部統制報告書【根拠条文】金融商品取引法第24条の4の4」

内部統制報告書の提出までの一般的なステップ

内部統制報告書の作成から提出までの一般的なステップを見てみましょう。

ステップ 内容
1 内部統制の整備を行う
2 内部統制の評価を実施
3 内部統制報告書を作成
4 内部統制監査の実施
5 内部統制報告書を金融庁へ提出

内部統制監査とは、内部統制報告書の内容の適正性を、監査法人などの組織外の人材が評価する監査のことです。

関連記事:アビタス CIA「内部統制監査とは?内部監査との違いや内部統制監査報告書について解説」

内部統制報告書の提出期日

内部統制報告書の提出期日は、上場企業と新規上場企業で異なります。

企業の分類 提出期日
上場企業 事業年度ごと
新規上場企業 上場後、初めて到来する決算日から3カ月以内

2015年施行された金融商品取引法の改正により、新規上場企業は一定の条件を満たした場合、特例として上場後3年間は監査法人等による監査を免除できます。ただし、内部統制報告書の作成と提出が必須である点に変わりはありません。

内部統制報告書では、期末日時点での評価・結果の報告を要求されています。そのため、経営者が評価のための作業を行う期間は期末日以降になります。

例えば、3月期決算の企業が提出する時期は、従来の決算書類と同様に6〜7月ごろになるでしょう。

内部統制報告書の提出は上場企業に必須

内部統制報告書とは、内部統制の適正性を評価し、結果を記載する書類です。

上場企業には、内部統制報告書を提出する義務があります。内部統制報告書に虚偽の記載があれば、罰金が科せられる可能性もあるため、記載内容には正確性が求められます。

内部統制報告書の作成を進めるには、内部統制や内部監査の専門知識や経験が役立ちます。

内部統制および内部監査の専門的知識を身につけるためには、CIA(公認内部監査人)の資格を取得するのも選択肢の1つです。

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