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  • 2023/11/21公開

IPOとは?上場との違いやクリアすべき基準を分かりやすく解説

IPOとは?上場との違いやクリアすべき基準を分かりやすく解説

IPOとは新規株式公開・株式上場という意味の言葉です。

IPOと上場は厳密にいうと異なる意味を持ちます。しかし、IPOと上場との違いが分からないという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、IPOの概要や上場との違いや、IPOに必要な基準についても分かりやすく解説します。

目次
IPOとは
IPOに必要な基準(1)「形式要件」
IPOに必要な基準(2)「実質審査基準」
IPOを行うためには、まず実質審査基準を固めよう

IPOとは

IPO(Initial Public Offering)とは、新規株式公開・株式上場という意味です。株式会社が自社の株式について証券取引所(市場)を通じて流通させることで、初めて誰でも自由に売買できるようになります。

IPOのためには、「形式要件」と「実質審査基準」の2種類を満たす必要があります。形式要件とは、企業が株式上場を申請する際に必要とされる条件のことで、株主の数や株式の流通量、企業の時価総額や利益などが含まれます。

実質審査基準とは、企業が基本的な形式要件を満たした後、上場審査に進む際に参照される評価の基準のことです。

IPOと上場との違い

IPOも上場も「未上場企業が新たに証券取引所へ上場することで、一般投資家が株式売買をできるようになる」という点は同じです。

IPOと上場の違いとは「新規株を発行するか、しないか」という点です。

IPOは「上場して新規の公開株式を発行すること」ですが、上場は「証券取引所において企業が保有・発行する株式の取引が認められること」とされています。そのため、必ずしも新規の株式発行を伴う必要はありません。

ただし実際には新規上場する際に新規株式を発行する場合が多く、IPOと上場は同じ意味として使われる場合があります。

IPOに必要な基準(1)「形式要件」

形式要件は取引所や各市場によって条件が大きく異なります。ここでは、例として東京証券取引所の形式要件を市場ごとに比較していきます。

参照:日本取引所グループ「上場制度(内国株)|上場審査基準」

プライム市場の形式要件

プライム市場とは時価総額が大きな企業が対象となる市場です。プライム市場の形式要件を見てみましょう。

項目 詳細
株主数 800人以上
流通株式 流通株式数:2万単位以上
流通株式時価総額※:100億円以上
流通株式比率:35%以上

※原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額
時価総額※
※原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる上場株式数を乗じて得た額
250億円以上
純資産の額 連結純資産の額が50億円以上(かつ、単体純資産の額が負でないこと)
利益の額 以下のいずれかに適合すること
● 直近2年間の利益額の総額が25億円以上
● 直近1年間における売上高が100億円以上である場合かつ、時価総額が1,000億円以上になる見込みがある

スタンダード市場やグロース市場との大きな違いは、流通株式比率が35%以上である点です。

スタンダード市場の形式要件

スタンダード市場とは上場している企業の中でも10億円以上の流通株式時価総額を持つ企業です。スタンダード市場の形式要件を見てみましょう。

項目 詳細
株主数 400人以上
流通株式 流通株式数:2,000単位以上
流通株式時価総額※:10億円以上
流通株式比率:25%以上

※原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額
時価総額
純資産の額 連結純資産の額が正である
利益の額 直近1年間における利益の額が1億円以上

プライム市場と比較すると、流通株式数は10分の1の2,000単位以上が基準となっています。またスタンダード市場の形式要件では時価総額における基準はありません。

グロース市場の形式要件

グロース市場は将来的に成長が期待できるベンチャー企業などが多くを占めています。グロース市場の形式要件は次の通りです。

項目 詳細
株主数 150人以上
流通株式 流通株式数:1,000単位以上
流通株式時価総額※:5億円以上
流通株式比率:25%以上

※原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額
時価総額
純資産の額
利益の額

グロース市場の形式要件では時価総額・純資産の額・利益の額における基準はありません。

IPOに必要な基準(2)「実質審査基準」

プライム市場を例とすると、実質審査基準は以下の5つとされます。

  • 企業の継続性および収益性
  • 企業経営の健全性
  • 企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
  • 企業内容などの開示の適正性
  • その他公益または投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

それぞれ詳しく見ていきましょう。

参照:日本取引所グループ「2023 新規上場ガイドブック(プライム市場編)」xIII 上場審査の内容(有価証券上場規程第213条関係)

企業の継続性および収益性

「企業の継続性および収益性」の審査基準では、収益基盤の安定性や企業が長期的に存続できるのかを評価します。

事業計画が企業を取り巻く事業環境やリスク要因を加味した上で適切に策定されているのかも評価の基準となります。また、事業計画の遂行に必要とされる事業基盤の構築や、構築の予定などが確認の対象となります。

企業経営の健全性

投資家の利益保護と投資家が安心して株式売買ができる株式市場の提供のために、企業経営の健全性が求められます。

企業経営の健全性を評価するポイントは次の3つです。

  • 取引において特定の人や企業などが不当に利益を得る、または与えている事実はないか
  • 親族や他社の役職員が企業の役員である場合、適切に職務を執行し、監査を実施しているか
  • 親会社がある場合、親会社から独立して企業経営を行っているか

企業が取り組んでいる事業が公正で忠実に遂行されているのかを審査します。

企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性

社外の組織や人間が企業経営を監視するコーポレートガバナンスの仕組みや、内部管理体制の整備が機能しているのかを評価します。

具体的な審査基準は次の5つです。

  • 役員が適正な業務を執行するための体制が整っており、運用されているか
  • 内部管理体制が適切に整備・運用されているか
  • 安定的・継続的な経済活動の遂行、適切な内部管理体制の維持に必要な人材を確保しているか
  • 会計処理基準と、必要な会計組織が適切に整備・運用されているか
  • 法令遵守の体制が適切に整備されており、重大な法令違反となるおそれのある行為を行っていないか

審査基準を満たすためには、コーポレートガバナンスや内部統制の整備が必要になります。

コーポレートガバナンスとは

コーポレートガバナンスとは企業価値の向上や不祥事の防止を目的として社外取締役や社外監査役など社外の管理者によって経営を監視する仕組みのことで、企業統治とも呼ばれています。

コーポレートガバナンスを強化することで、有価証券報告書の虚偽記載や資金流用など様々な不正行為の防止につながります。

関連記事: アビタスCIA「ガバナンスとはどういう意味? コンプライアンスとの違いや取り組み方法も紹介」

内部統制とは

内部統制とは、企業が不祥事を起こすことなく健全かつ効率的に事業を運営するための社内ルールや仕組み、社内の管理体制を指します。

ガバナンスと内部統制は混同しやすいものの、ガバナンスは社外から監視する仕組み、内部統制は社内の仕組みである点が異なります。

関連記事:アビタスCIA「内部統制とは?4つの目的・6つの基本的要素を分かりやすく解説」

企業内容などの開示の適正性

投資家が企業状況を把握するために、企業は会社情報を適時・適切に開示できる体制や情報管理の体制を構築しなければなりません。

そのため、企業内容などの開示の適正性も審査基準の1つになります。具体的には、開示用の文書において企業の実態の開示を歪めていない点や法令等に基づいて作成されている点などが求められます。

その他公益または投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

公益や投資家を保護する観点から認められるかも審査基準の1つです。具体的には、次のような内容などを確認します。

  • 株主の権利内容とその行使状況が公益または投資家保護の観点で適当か
  • 経営活動や業績に大きな影響を与える係争や紛争などを抱えていないか
  • 反社会的勢力による経営活動への関与を防止するために社内体制が整備されているか

これらも重要な審査基準です。

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IPOを行うためには、まず実質審査基準を固めよう

IPOを行うためには、形式要件および実質審査基準を満たさなければなりません。形式要件は企業の規模によって条件が大きく異なるため、まずは実質審査基準を固めるとよいでしょう。

実質審査基準の中でも、企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性を証明するためには内部統制部門を設置することが大切です。CIA(公認内部監査人)資格を持っている人材が社内にいると、有効性が高められるでしょう。

CIA(公認内部監査人)とは内部監査における知識や能力を証明できる国際的な資格です。

企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性を証明するために、内部統制部門に所属している人間が、CIA資格を取得するのも選択肢の1つといえます。

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アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。合格率を上げるために、オリジナル教材と講師の質の良さを求めています。

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