本ウェブサイトでは、Cookieを利用しています。本ウェブサイトを継続してご利用いただく際には、当社のCookieの利用方針に同意いただいたものとみなします。
本ウェブサイトでは、Cookieを利用しています。本ウェブサイトを継続してご利用いただく際には、当社のCookieの利用方針に同意いただいたものとみなします。
IPOを目指す際は、証券取引所による上場審査に通過しなければなりません。
IPOを目指したいと考えていても、実際にはどのような準備が必要なのか、どういったスケジュールで進めていくべきか分からないという人も少なくはないでしょう。
本記事では、IPO準備のスケジュールを10ステップに分けて解説します。
目次
IPOとは
IPOの準備期間に必要な10ステップ
IPOの準備期間|直前々々期以前(N-3期以前)にすべきこと
IPOの準備期間|直前々期(N-2期)にすべきこと
IPOの準備期間|直前期(N-1期)にすべきこと
IPOの準備期間|申請期(N期)にすべきこと
IPO後には内部監査が必要
IPO準備の段階から内部統制や内部監査の体制構築が必要
IPOとは「Initial Public Offering」の略称であり、未上場企業が初めて株式市場に自社株を公開することを指します。日本語では「新規株式公開」などと呼ばれています。
企業はIPOにより、一般投資家から広く資金を調達することが可能になります。
上場にあたっては、証券取引所の審査を受けなければなりません。一般的には、3年程度の準備期間が必要といわれています。
IPOの準備期間に必要になる10ステップは次の通りです。
ステップ | 内容 |
---|---|
1 | IPOコンサルタントの選定 |
2 | 資本政策・事業計画の策定 |
3 | ショートレビューの実施 |
4 | 主幹事証券会社の選定 |
5 | 内部管理体制の整備 |
6 | 申請書類の作成 |
7 | 証券印刷会社の決定 |
8 | 主幹事証券会社の引受審査 |
9 | 証券取引所の上場審査 |
10 | 公募・売り出しとファイナンス業務 |
各項目の詳細について、次項以降で解説します。
上場を決めたら早々に準備に取りかかる必要があります。上場申請にあたり、申請する直前2期間の監査証明が求められます。加えて、上場会社にふさわしい管理体制を構築し、少なくとも1年以上の運用が必要になります。
なおIPOのスケジュールでは、証券取引所の上場審査に申請する決算期を申請期(N)とし、直前の期をN-1期というように表します。ここでは、N-3期にあたる時期にすべきことを見ていきましょう。
IPOの準備には多くの専門的な知識が必要になります。効率的な準備のためにも、まずは経験や実績が豊富なIPOコンサルタントの選定を進めておきましょう。
また、この段階で上場準備のスケジュールや対応項目の全体像を把握します。「IPOをすべきかどうか」についても十分な検討が必要です。
準備を円滑に進めるために、このタイミングで社内にIPO実務の担当者やプロジェクトチームの設置も行いましょう。
事業計画とは、事業の目的を達成するための具体的な行動計画を指します。IPOおよび上場計画後まで含めた事業計画を策定しましょう。なお、上場審査でも事業計画書の提出が求められることは理解しておきましょう。
次に、IPOに向けた資本政策の策定が必要です。資本政策とは、資金調達や株主構成計画などを指します。
上場すると投資家が自社の株式を購入することで資金が得られます。上場時の「必要資金調達額」「安定株主比率」「創業者のキャピタルゲイン」がいくらになるか試算し、逆算しながら資本政策を立てていきましょう。
IPOを希望する企業は、ショートレビューと呼ばれる調査を受けなければなりません。
ショートレビューは、監査法人または公認会計士により行われます。調査では、企業概要、株主構成、事業内容、コーポレートガバナンス、会計ルール、会社と役員等の関係性など様々なことを確認します。
上場申請前の2期分については、監査法人等による監査証明が必要です。そのため、この段階でショートレビューを受け、その結果に基づき監査証明を受ける準備を行うことが一般的です。
参照:日本公認会計士協会「新規上場のための事前準備ガイドブック」
ショートレビューを行う監査法人等の決定後には、主幹事証券会社の選定を進めます。
主幹事証券会社とは、IPOにあたって全体的な作業の運営やスケジュール管理、公開価格の決定などの中心的役割を果たす証券会社です。
主幹事証券会社は、上場準備全般への指導・助言を行います。具体的には、上場を踏まえた成長戦略や資本政策等の分析、上場市場選択や内部管理体制の整備に必要な課題の抽出およびアドバイスなどが挙げられます。
直前々期(N-2期)は、ショートレビューの結果などをもとに、内部管理体制の整備を行います。また、IPOに向けた会計監査も始まります。遡及監査は原則として認められないため注意が必要です。
ここでは、内部管理体制の整備について詳しく見ていきましょう。
内部管理体制の整備の具体的な内容は次の通りです。
新規上場後3年間に限り「内部統制報告書」に対する公認会計士監査は免除されていますが、免除されているのは監査のみで「内部統制報告書」の提出は必要です。
そのため、内部統制の構築や内部管理体制の整備はこの段階で進めなければなりません。
直前期(N-1期)は、上場市場を選定する時期であると同時に、直前々期(N-2)に構築した経営管理体制を1年を通して運用する試行期間でもあります。監査法人は、1年にわたり適切な運用がなされているかを監査します。
また、この時期には申請書類の作成や証券印刷会社の決定も必要です。この2点について詳しく見ていきましょう。
上場申請に必要な申請書類を作成します。
「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」には経営指標等の推移や沿革、事業の内容などの企業の概況、事業の状況、設備や経理の状況をはじめとした様々な記載が必要です。申請時には、上場直前の2期間の財務諸表および監査報告書を付けて申請します。
また、Ⅰの部をベースに「有価証券届出書」や「目論見書」を作成します。申請書類作成の作業はボリュームも大きいため、専門のコンサルタントへの委託も検討してみましょう。
参照:日本取引所グループ(JPX)「新規上場申請のための有価証券報告書 (Ⅰの部)」
IPO時およびそれ以降は、各ステークホルダーに様々な資料の開示が必要です。
証券印刷会社では、有価証券届出書、有価証券報告書、事業報告書、株主総会の招集通知など、様々な資料の作成およびサポートを行っています。
専門知識や経験が豊富な証券印刷会社のサポートを受けると、IPO準備の作業負担軽減につながります。そのため、IPO関連の外部向け資料作成までに証券印刷会社との契約を結んでおきましょう。
IPOの申請を行う申請期(N期)では、上場に必要な審査を受けます。無事に審査が通り承認を受けた後、上場に向けた業務を行います。
この期間には、主幹事証券会社の引受審査と、証券取引所の上場審査という、2つの審査があります。なお、上場承認が降りた後、公募・売り出しまでの期間はおよそ1カ月しかないため迅速な対応が求められます。
主幹事証券会社は証券取引所の上場審査にあたり、企業の「推薦書」を作成します。その推薦書作成のために、IPO準備会社が上場企業としてふさわしいかどうかを審査するのが「引受審査」です。
引受審査ではまず、主幹事証券会社の質問書に対して回答します。その回答をもとにヒアリングや資料確認などを行うという流れです。
万が一、上場直後に不祥事が発生すれば、主幹事証券会社の引受審査部門にも責任が及ぶ可能性があるため、審査は厳格に行われます。
上場審査の審査期間は上場する市場によって異なりますが、およそ2~3カ月です。
上場審査の基準は「形式要件」と「実質審査基準」の2つです。どちらも満たさなければなりません。
形式要件とは、企業が上場申請する際に必要とされる条件です。株主の数、株式の流通量、時価総額や資産額などがあり、市場によって異なります。
実質審査基準では、企業の継続性や収益性、健全性、内部管理体制、開示の適正性などが審査されます。
引受審査と同様、質問書に回答する形式で進められます。引受審査を通過しても取引所の上場審査に通らないこともあるため、十分な準備が必要です。
取引所の上場審査に合格し上場承認が下りた後は、上場に向けて最後の準備に取り掛かります。
有価証券届出書や目論見書の作成・提出、公募・売り出しの想定発行価格の見積もり、IRロードショーと呼ばれる機関投資家に向けて行う自社のプレゼンテーションなど、様々なファイナンス業務が必要になります。
上場承認から公募・売り出しまでは約1カ月と短いため、迅速に進めていきましょう。
金融商品取引法や会社法により、下記の条件に当てはまる企業は内部監査を実施するよう義務づけられています。
上場審査でも「内部監査機能の設置」が求められますが、IPO後にも内部監査が必要になります。つまりIPOを目指す以上、企業の内部監査は欠かせない存在といえます。
関連記事:アビタス CIA「内部監査(業務監査)とは? 目的・やり方・チェックリストを解説」
本記事では、10ステップでIPOまでにやるべきことを解説しました。
IPOでは証券取引所の上場審査が行われます。その審査に向けて準備するには、一般的に3年程度の期間が必要です。スケジュールを立て、適切に準備を進めていきましょう。
なお、IPOの上場審査では内部監査機能の設置が求められます。また、IPOの直前1年間は、上場会社にふさわしい管理体制の構築が欠かせません。
そのため、準備段階から、内部統制や内部監査の体制を整えておきましょう。
アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。合格率を上げるために、オリジナル教材と講師の質の良さを取り揃えています。
講師は対法人向けの内部監査の実務研修も行っており、専門分野の知識だけでなく、ティーチングスキルにも優れているのが魅力です。
また通学・通信を併用できるコースや、スキマ時間で学習できるコンテンツなども揃えており、忙しい社会人でも効率よく学習できる環境が整っています。
CIAをはじめとする内部監査に関連する資格取得を目指している方は、ぜひアビタスの利用を検討してみてください。
最近のエントリー