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  • 2024/04/25公開

ウォークスルーの内部統制上の目的や評価手順、内部監査での意義を解説

ウォークスルーの内部統制上の目的や評価手順、内部監査での意義を解説

内部統制や内部監査に関わる人であれば、ウォークスルーという言葉自体は聞いたことがあるかもしれません。ただし、その概要や目的、実際の評価の手順までは理解できていないという人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、ウォークスルーの概要と目的、評価の手順、内部監査における意義などを分かりやすく解説していきます。

目次
内部統制評価とは
ウォークスルーの概要と目的
ウォークスルーで確認すべき「3点セット」
ウォークスルーによる評価の手順
内部監査人にとってのウォークスルーの意義
ウォークスルーは内部統制評価に有効な手法の1つ

内部統制評価とは

内部統制評価とは、自社の内部統制が適切に構築・運用されているかを評価することを意味します。

内部統制とは、企業の経営活動を健全に運用するための仕組みのことをいいます。

特に上場企業の場合、会社の会計情報をまとめた有価証券報告書を開示する必要があります。有価証券報告書を正確に作成するうえで、財務報告の信頼性などを確保するためには、社内管理体制を整備し、内部統制を構築する必要があります。

また、2008年のJ-SOX(内部統制報告制度)導入により、その対象企業には、財務報告に係る内部統制の運用についてその有効性を評価した「内部統制報告書」を提出する義務が生じています。

関連記事:アビタス CIA「J-SOX(内部統制報告制度)の監査対象や必要な3点セットを解説」

内部統制評価の手順

内部統制評価は次のような手順で実施されます。

  1. 1. 評価の対象範囲の選定
  2. 2. 整備状況の評価
  3. 3. 運用状況の評価
  4. 4. 内部統制報告書の作成

手順の2番目に位置する整備状況を評価する際に、ウォークスルーという手法を利用します。

ウォークスルーの概要と目的

ここでは、ウォークスルーの概要と利用する目的を詳しく見ていきましょう。

概要

内部統制評価における「整備状況の評価」の一般的な手法として「ウォークスルー」があります。取引の開始から財務諸表に計上するまで一連の業務プロセスを確認し、コントロールの整備状況や有効性を評価する手法です。

1年に1度、もしくは企業で業務内容の変更や更新が行われる場合に実施するケースが一般的です。評価対象となる業務プロセスを文書化し、その中で識別したリスクに対するコントロールの整備状況や有効性を確認します。

目的

ウォークスルーは、以下の内容の確認を目的としています。

  • 業務プロセスの整備状況
  • 職務分掌の適切性
  • コントロールの有効性

また、現場の業務内容や処理方法への理解を深めることができるため、内部監査の信頼性の向上も期待できます。

サンプリングテストとの違い

サンプリングテストとは、一定期間の業務プロセスから複数のサンプルを抽出し、ルールに従った適切な運用がされているかを評価する手法のことです。

サンプリングテストは、整備された業務プロセスやコントロールの「運用状況」について評価を進めるものであり、ウォークスルーとはその段階が異なります。

混同しやすい内容となりますが、違いを理解しておきましょう。

ウォークスルーで確認すべき「3点セット」

ウォークスルーでは次の3点セットを確認することで、業務プロセスを把握します。3点セットの記載内容の詳細は以下のとおりです。

3点セット 記載内容
業務記述書 業務プロセスの取引の開始から終了までを文書化したもの
フローチャート 業務記述書を可視化した図のこと
リスクコントロールマトリックス(RCM) 業務記述書とフローチャートから特定したリスクについて、コントロールの対応を整理した一覧表

3点セットに記載されている内容を基に、一連のフローをチェックします。

3点セットで確認するポイント

3点セットでは次の事項を確認します。

  • 取引プロセスが整理され、網羅的に記載されているか
  • リスクやコントロールの種類や内容は適切か
  • リスクとコントロールの対応関係が明確か
  • 関連文書や証跡が明記されているか
  • 5W1Hで業務記述書とフローチャートが明記されているか

記入漏れがないかを日常的に確認しておくことが大切です。

ウォークスルーによる評価の手順

ウォークスルーによる評価の手順は次のとおりです。

手順 内容
1 業務関連帳票の整合性の確認
2 現場との整合性の確認
3 規程等との整合性の確認
4 コントロールの整備状況の確認
5 調書の記録と保存
ここでは、それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。

手順1 業務関連帳票の確認へと修正

まず、業務に関連する各帳票と、3点セットの整合性を確認します。業務に関連する各帳票とは、主に以下の帳票となります。

  • 関連規程や手順書に記載されている帳票
  • 利用システムから出力される帳票
  • 業務において作成された帳票
  • 取引先から受領した帳票

ウォークスルーは業務プロセスごとにチェックを実施します。評価の負担軽減を図るためには、類似している業務プロセスはできる限り集約させます。

手順2 現場との整合性の確認

現場の観察や業務担当者への質問を行い、実際に行われている業務内容と3点セットの内容との整合性について確認します。

業務担当者への負担を考慮し、現場の観察や質問は効率的に実施する必要があります。

手順3 規程等との整合性の確認

規程や手順書の内容と3点セットの内容との整合性について確認します。

業務分掌や職務権限が規程と一致しているか、手順書の内容が3点セットに適切に反映されているかがポイントとなります。

手順4 コントロールの整備状況の確認

各リスクに対して、リスクを抑制するコントロールが適切に設計され整備されていることを確認します。

整備状況評価の次段階である運用状況評価の実施をふまえ、キーコントロール(統制上の要点)の選定が適切かどうかの検証も行いましょう。

キーコントロールとは、業務プロセスにおけるリスクを低減するために効果的なコントロールのことであり、監査法人との協議により選定を進めておくことを推奨します。

手順5 調書の記録と保存

ウォークスルーの実施結果は、調書として記録・保管する必要があります。具体的には以下の項目などを記録します。

  • 実施日
  • 実施内容
  • 評価を実施した担当者
  • 評価の結果
  • 証憑

3点セットの1つである「リスクコントロールマトリックス(RCM)」と連携した形式で記録を残すことで、評価結果がまとめやすくなります。

内部監査人にとってのウォークスルーの意義

では、内部監査人がウォークスルーを実施する意義とは何でしょうか。ここでは、以下の2つについて見ていきましょう。
  • 内部統制と内部監査人の関係
  • 内部監査人における意義

それぞれ解説していきます。

内部統制と内部監査人の関係

そもそも、内部統制と内部監査人の関係とはどういうものなのでしょうか。

内部監査人は、内部監査において内部統制が適切に設計・運用されているかをチェックする役割を担っています。

内部統制の仕組みの中に内部監査が含まれているため、両者の関係は非常に深いものとなっています。

関連記事:アビタス CIA「内部統制とは?4つの目的・6つの基本的要素を分かりやすく解説」

内部監査人における意義

ウォークスルーを通して実際に現場の業務処理やプロセスを観察することは、問題点や課題の発見につながります。こうした発見は、組織全体の業務プロセス改善を図るきっかけにもなりえます。

加えて、現場の業務処理方法や業務プロセスへの理解を深められるようになることで、内部監査レポートや報告書の作成においても大きな意義を持つでしょう。

まずは無料の説明会にご参加ください。

ウォークスルーは内部統制評価に有効な手法の1つ

ウォークスルーは内部統制評価のうち、整備状況の評価における手法の1つであり、取引の流れを把握し、業務フローが適切に整理されているかのチェックを行います。

ウォークスルーでは「3点セット」を確認し、業務プロセスを把握しながら確認業務を進めます。ウォークスルーの実施によって現場の現場処理方法などの理解が深まり、課題の発見につながりやすくなります。

ウォークスルーだけでなく、内部統制評価を適切に進めていく上で、内部監査の知識やスキルの向上も必要です。

内部監査の知識やスキルを体系的に習得するためには、CIA(公認内部監査人)などの資格取得がおすすめです。CIAは、日本を含む世界約190の国と地域で試験を実施しており、内部監査人としての知識やスキルを証明できる唯一の国際的な資格です。

内部監査人に必要な知識を体系的に身につけることを目指すのであれば、資格取得も有用な手段の1つとなります。

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アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。

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