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  • 2024/04/25公開

アサーション(監査要点)とは?意味と6つの構成要素を解説

アサーション(監査要点)とは?意味と6つの構成要素を解説

監査におけるアサーションとは監査要点を指す言葉です。具体的には、監査において財務諸表が正確に作成されているかを判断する基準を指します。

本記事では、アサーションの意味と構成要素を分かりやすく解説します。アサーションについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

目次
アサーション(監査要点)の意味
アサーション(監査要点)の6つの構成要素
アサーション(監査要点)とあわせて覚えておきたい「監査証拠」
アサーション(監査要点)は適切なものを設定しよう

アサーション(監査要点)の意味

英語におけるアサーション(assertion)は心理学上「自己主張」を意味する言葉ですが、監査で使用されるアサーションは「監査要点」を意味する言葉です。

アサーションとは企業が作成した財務諸表の適正性を判断するための基準であり、具体的には6つの要素で構成されています。ただし、アサーションは、監査対象となる企業の業種、組織、情報システムなどに応じて監査人が自らの判断で設定するため、画一的なものではありません。

また、アサーションは「経営者の弁明」や「経営者の主張」ともいわれることがあります。

経営者の弁明といわれる理由は、経営者が投資家やステークホルダーに対し表明する財務諸表が正確に記載されていることを6つの要素を用いて証明するためです。

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アサーション(監査要点)の6つの構成要素

アサーション(監査要点)の6つの構成要素は次の通りです。

  • 実在性
  • 網羅性
  • 権利と義務の帰属
  • 評価の妥当性
  • 期間配分の適切性
  • 表示の妥当性

ここでは、それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。

参照:日本公認会計士協会「監査マニュアル作成ガイド「財務諸表項目の監査手続編」(中間報告)」

実在性

実在性とは、資産や負債が実際に存在すること、取引や会計事象が実際に発生していることです。

例えば現金預金の場合、帳簿上の残高と実際の残高が同額かどうかをチェックします。

実在性は他の5つの構成要素の前提の要素となり、最も重要な要素とされています。

網羅性

網羅性とは、計上しなければならない資産や負債、取引が全て計上されていることです。例えば、以下のケースは網羅性を欠くことになります。

  • 保有している資産が記載されていない
  • 記載されている額以上の負債を保有している
  • 記載されている額以上の資産を保有している

網羅性を欠いている事実を証明するためには、どこにも記載がない資産や負債を見つけ出さなければなりません。

そのため、実在性と比較すると証明が困難な要素といえます。

権利と義務の帰属

権利と義務の帰属とは、貸借対照表に記載されている資産の権利や、負債の義務が会社に帰属していることです。

確認方法としては、資産や負債の権利関係のチェックが挙げられます。実在性と網羅性は目視で確認できる要素でしたが、権利と義務の帰属の場合、目視ではチェックできないため、しっかりと確認することが大切です。

例えば、倉庫に保管されている商品は目視で確認できるものの、商品の所有権は目視では確認できません。権利と義務の帰属では、誰が商品を所有しているかを確かめる必要があります。

評価の妥当性

評価の妥当性とは、資産や負債を適切に評価し計上していることです。将来的な対価や負担に見合った適切な金額で、資産や負債の金額を計上する必要があります。

例えば、市場で取引される有価証券は、時価基準に応じた価格評価を行わなければなりません。

自社製品の例では、期末時の商品が劣化していたり、摩耗したりしている場合、棚卸資産の金額を少なく見積もる必要があります。

資産や負債の価値は変動するため、計上金額の妥当性を確かめ、適切に計上されているかを確認しなければなりません。

期間配分の適切性

期間配分の適切性とは、取引や収益・費用が正確な会計期間で計上されていることです。

特に、決算では期末付近で行われた取引が正しく処理されているかを十分に確認する必要があります。

来期の売上を期末日に計上していないかどうかをチェックするためには、商品の入出庫および売掛金などを調べます。

表示の妥当性

表示の妥当性とは、資産や負債などが適切な項目に分類され記載されていること、注記情報が適切に開示されていることです。

勘定科目や計上区分など適切な項目に表記されていることが重要です。例えば、借入金を1年以内に完済している場合、固定負債ではなく流動負債の項目に表記されているのかという点を確認します。

有形固定資産の場合、記載しなければならない注記情報があるため、注記情報の適正性をチェックします。

アサーション(監査要点)とあわせて覚えておきたい「監査証拠」

金融庁が公表する「監査基準」には、次のような記載があります。


“監査人は自己の意見を形成するために必要な土台を作るために、経営者が提示する財務諸表に対し監査要点を設定し、監査要点に適している十分かつ適切な監査証拠を入手しなければならない”

監査証拠とは、監査人が監査意見を述べるために入手しなければならない情報であり、次の2種類の情報で構成されています。

情報 具体的な内容
会計記録に記載されている情報 ・会計情報と会計情報を裏付ける記録
・仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳
・調整表、請求書、領収書、契約書 など
その他の情報 ・会計記録の他に証拠として利用できる情報
・議事録
・専門家の意見書 など

監査の年に入手した情報だけでなく、過去の監査で利用された情報を使用するケースもあります。

参照:金融庁「監査基準」p.2
参照:日本公認会計士協会「監査証拠」
参照:日本公認会計士協会「監査基準報告書500|監査証拠」

アサーション(監査要点)は適切なものを設定しよう

監査におけるアサーションは「監査要点」を意味する言葉です。財務諸表の適正性の判断に用いられる基準で、経営者の弁明あるいは主張ともいわれています。

一般的にアサーションは6つの要素で構成されています。しかし、アサーションは監査対象となる企業の業種やシステムに応じて監査人が自らの判断で設定しなければなりません。監査人は監査において、企業に対し適切なアサーションを設定する能力も求められます。

監査人として適切なアサーションを設定できるようになるためには、監査のスキルや知識を高度化する必要があります。

監査人として高度なスキルや知識を習得するためには、CIAなどの資格取得も1つの手です。

CIA(公認内部監査人)とは、内部監査におけるスキルや知識を対外的に証明できる唯一の国際資格です。財務会計や経営学など幅広い知識を体系的に習得できます。また、日本を含めた世界約190の国と地域で認定試験を実施しており、認知度の高い資格といえるでしょう。

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アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。合格率を上げるために、オリジナル教材と講師の質の良さにこだわっています。

講師は対法人向けの内部監査の実務研修も行っており、専門分野の知識だけでなく、ティーチングスキルにも優れているのが魅力です。

また通学・通信を併用できるコースや、スキマ時間に学習できるコンテンツなども揃えており、忙しい社会人でも効率よく学習できる環境が整っています。

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