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三永 敏浩(みなが としひろ)さん
一部上場オンラインゲーム会社 内部監査室 室長
CIA(公認内部監査人)実務者インタビューの第五弾として、一部上場オンラインゲーム会社の三永さんにインタビューをさせていただきます。
情報システム部門在籍時にJ-SOX(内部統制報告制度)プロジェクトに参画したところから内部監査の道を歩み始めた三永さん。現在は東証一部上場の老舗オンラインゲーム会社において内部監査室長を務めておられます。CIA(公認内部監査人)の取得は「その後の自分自身の業務におけるベースとして非常に役立っています」と、数多くの資格を取得してきた経験を振り返りながら内部監査について語っていただきました。
記事内容はインタビュー当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。
2009年4月にJ-SOX初年度が終了すると同時に、プロジェクトは発展的に解散となりました。このタイミングで、私は評価する側の監査室に引き抜かれる形で異動しました。それ以降、海外拠点に関して、IT分野だけでなくすべての分野の評価を任せられるようになっていきました。
こういった流れの中で、J-SOX初年度の2009年1月ごろにCIAの学習を開始しました。ちょうど中小企業診断士の試験に合格したタイミングと重なり大変でしたが、幸いなことにCIAの試験はすべてのPart(科目)を一発で合格し、2009年8月付で公認されました。
もちろんCIAもイニシャルコストとしてそれなりにかかるので、当時の年収を考えると決して安い金額ではありません。しかし、自分自身の仕事がどんどん内部統制や内部監査に向かっていくなかで、それ以上のベネフィットを得られるということに対しては確信がありました。
名刺にCIAという資格を刷るようになって感じたのは、とくに米国において海外子会社の現地経営陣や監査法人の現地事務所の担当者の対応が大きく変わったことです。
CIAを取得する前に、米国の子会社に内部監査に行ったことがありました。そのときの担当者は海軍上がりでこわもての人でしたが、いきなり英語でバックグラウンドについて聞いてくるわけです。私はたどたどしい英語で、中小企業診断士という資格を持っていることや、中小企業診断士がどんな内容の資格なのかということを説明する必要がありました。
そして、担当者は「ああ、MBAみたいなものか」と納得すると、そこからは急に態度が変わって仕事の話をし始めました。このときに、米国はものすごい学歴社会、あるいは資格社会だということを痛感させられました。
CIAという資格を名刺に書いた後は、このようにバックグラウンドを丁寧に説明する必要が一切なくなりました。相手が名刺を見るだけで、私のバックグラウンドを一発で理解するようになったからです。この点は、メリットとして非常に大きく感じているところです。
事前に持っていた期待値通りの効果を得られたと考えています。私は中小企業診断士を取得していたので、新しい知識は内部監査の基本となる考え方や概念、そして実務に関する部分でした。
J-SOXプロジェクトを担当していく中で頭に入っていた部分もありましたが、あくまでも断片的な知識でした。CIAの学習を通じて、そういった知識を体系的に整理したうえで、IIA(内部監査人協会)の基準上でどう表現されているかを理解できるようになりました。
アビタスのカリキュラムの本当に良いところだと思いますが、単純に基準を上から順番に説明していくのではなく、頭に入りやすいように工夫して構成されています。内部監査の本質を深く理解できたことは、その後の自分自身の業務におけるベースとして非常に役立っています。
私はローランド時代にCIAを取得した後、3回の転職をしています。3回とも内部監査を志望して転職活動をしましたが、1回目はなぜか未経験のポジションである法務部門に採用されました。2回目と3回目は、希望通り内部監査部門に採用されています。
1回目の転職については、CIAを含め、中小企業診断士やシステム監査技術者など、複数の資格をいろいろと取得しているのが採用の決め手になったようです。そういう意味では、CIAの資格も間接的には役立ったと言えるのかもしれません。
ただ、やはり内部監査の道に戻りたいということで、2回目の転職となりました。このときは転職エージェントがCIAを持っているかどうかというフィルターをかけて人材を探していたので、私が目に留まって転職することができたかたちです。
そして、この次の転職で、現在在籍している会社に内部監査部門で採用されることになります。このときは、弊社の採用担当者からLinkedIn経由で直接コンタクトをいただきました。弊社の採用担当者が私を見つけてくれたのは、やはりCIAという資格での検索がきっかけだったと思います。
つまり、転職エージェントや採用担当者が人材を探す際にデータベース検索に引っかかるという面で、CIAはとても効果があると考えています。テーブルに上がることができなければ何も始まらないわけなので、内部監査部門における転職を考えるうえでCIAは欠かせない資格と言えるのではないでしょうか。
私にはCISA®を取得している部下がいますが、CIAはまだ取得していないためIPPFの理解はまだ十分でないところがあります。そのため、業務において私からの解説が必要となる場面が多々あります。CIAの学習を通じて共通言語を身につけることは、内部監査の道を歩んでいくうえで大切なことだと思います。
私が内部監査部門長になったのは2019年の12月ですが、今はまだこの問題に対する答えを模索中というのが正直なところです。ただ受け身に内部監査をやるのではなく、内部監査が価値を生み出していけるように、自分のスタイルを出していきたいと考えています。
40歳からコツコツと勉強を進められ、今やCIAを始めとした数多くの資格を保持している三永さんに 勇気づけられる方も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。 資格は「目的ではなく手段」であり、その時のご自身にとって必要な知識だから取得している、と力強くお話してくださいました。