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三角 光浩さん
日本ペイントホールディングス株式会社 監査部 監査室
CIA(公認内部監査人)実務者インタビューの第四弾として、日本ペイントホールディングス株式会社の三角さんにインタビューをさせていただきます。
2006年から銀行で内部監査キャリアをスタートし、中国現地法人で内部監査部門長を9年間務めるなど海外経験が豊富な三角さん。今は世界有数の総合塗料メーカーに移って内部監査をされています。「日本と海外の間には内部監査の地位と貢献度にギャップがある」と、内部監査のあるべき姿についてグローバルな目線で語っていただきました。
記事内容はインタビュー当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。
2011年には中国現地法人の内部監査部門長に就くことになり、9年間にわたって上海で仕事をしました。海外では部下に資格者が多くいるため、スタンダードに則った形で指揮監督をする必要性を強く感じました。判断に困ったり悩んだりしたときに、CIAで学んだ知識が指針になったことが多々ありました。
2020年1月に帰国して銀行の監査部に戻りましたが、3月に出向する話が出て、現在は日本ペイントホールディングス株式会社の内部監査部門で働いています。シンガポール資本とより関係が強化されている中、海外パートナーとうまく協力あるいは統制していくうえで、スタンダードに則るという部分はやはり重要になるだろうと考えています。
私がいつも意識しているのは、発見事項があった場合にリスクは何かとはっきり言うことです。もし「そういうリスクはない」と主張されるようであれば、その理由を教えてもらいます。「それは確かにリスクだ」と認識していただければ、そのリスクを小さくするための方法を一緒に考えていきます。
内部監査人としてやらなくてはいけないのは、リスクを全て伝えて、リソースをつぎ込むべきリスクに気付いてもらうことです。これをやらなければ財務上の損失につながる、レピュテーション(評価)上の問題がある、当局上の問題があるなどとはっきり伝えた上で、イメージを持ってもらうことがすごく重要だと考えています。
日本において内部監査部門の地位はあまり高くなく、内部監査は年齢を重ね、キャリアを積んでからやるものと考えている人も少なくありません。一方、海外における内部監査人は積極的に能力を高めるためにさまざまな努力をしており、専門的な知識に基づいた尊敬されるべき地位を築いています。
日本と海外の間には内部監査の地位と貢献度にギャップがあるため、海外に進出した会社の中には、そのギャップを埋められないで苦労しているところも多いのではないかと思います。
例えば、日本の会社はよく出張して現地調査を行う割には、一番の目的が経営者への報告になっている場合がほとんどです。現地としては何かしらのアウトプットやフィードバックを期待していますが、私の経験上、それをやっていない会社が多いというのが日本の特徴です。現地からすると、「こいつらは何しに来たんだ」となるでしょう。
これは最近日本企業にも浸透してきているホールディングス経営にも言えることです。もちろん経営層への報告も必要ですが、ホールディングスが持つ価値観を共有して、何を現地に求めていくのかをアウトプットとして見える形で示すことが、とても重要です。これができていない会社が、日本ではまだまだ多いと思います。
内部監査に関する知識は、3線だけでなく1線や2線の人も知っておいたほうがいいと私は考えています。ただ、そういうことについて、監査部門に教育をさせる企業はまだ少ないのが現状です。日本ペイントにも若い人がいますが、やはり資格を取ってほしいですし、いろいろな意味で継続的に勉強できる環境を整えていくことが望まれると思います。
海外での実体験もさることながら、今まさにご自身の会社でグローバル化が進んでいることを踏まえて、日本企業の内部監査部門が目指すべき姿についてリアリティのあるお話が伺えました。
視座を高め、広げていくにはまずは「スタンダードをおさえること」、この重要性を強く感じました。