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CIA実務者インタビュー

【vol.1】会社の健全な成長こそが内部監査の喜び

鹿間 勇人さん
株式会社やる気スイッチグループホールディングス 内部監査室室長

  • CIA(公認内部監査人)合格時期:2011年5月
  • 学習期間:2年間
  • ご経歴:
    法政大学法学部卒。某小売業で小売り担当人事担当、2002年から某化粧品会社で人事グループ長、物流管理副センター長等を歴任。2015年から現職。

会社の健全な成長こそが内部監査の喜び

CIA(公認内部監査人)実務者インタビューの第一弾として、やる気スイッチグループホールディングスの鹿間さんにインタビューをさせていただきます。

前職にいた30代、J-SOX適用プロジェクトから内部監査キャリアを歩み始めた鹿間さん。今ではフランチャイズを多く抱える教育グループにおいて、上場を視野に入れた内部監査の責任者を務めておられます。

内部監査が裏方として支え「企業が健全に、右肩上がりで上がっている状態こそが喜び」と穏やかながらも自信に満ちた表情で語っていただきました。

記事内容はインタビュー当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。

J-SOXプロジェクト参画から始まった内部監査キャリア

CIA(公認内部監査人)資格を目指したきっかけを教えてください

穏やかな表情でインタビューに答えていただいた鹿間(しかま)さん
前職が某化粧品会社でした。内部監査のきっかけは、2008年度のJ-SOX(内部統制報告制度)適用を控えた社内プロジェクトが2007年ごろに立ち上がり、そのメンバーとして加わったことでした。そこからJ-SOX対応に携わり、内部監査を専門的にやっていきたいと意識し始めました。

専門性を追求するときに、客観的にその力を証明できるのは「資格」だと真っ先に思い浮かびました。他にも、内部監査を体系的に勉強できるいい機会だと思いましたので、内部監査の国際的な専門資格であるCIAを取得しておこうと考えました。

当時、CIAの受験支援をしているのはアビタスかもう一社かの二択でした。SNSで「CIAを勉強したい」と発信すると、既に持っている方からいろいろとアドバイスを受けました。その中でもアビタスがいいよという声を聞いていたので受講しました。当時アドバイスをいただいた方々とは今もつながりを持っています。

私の職歴はまず、大学を卒業して某小売業に入りました。前々職ですね。そこでは水産品や紳士用品の販売員を務め、その後、本社の人事部門へ行きました。人事に携わる中で、人事に関してもっと幅広く自分の経験、キャリアアップをしていきたいと考え、2002年1月に某化粧品会社へ人事の責任者として入りました。その後は物流管理なども経験した後、2007年のJ-SOXプロジェクト開始のタイミングで内部監査業務に携わりました。

「やる気スイッチ」といえばこれですよね。インタビュー中にも近くに置かれていました。
内部監査は各会社でそれぞれ固有のやり方があります。特に前職の某化粧品会社の場合、創業から8年くらいで、内部監査体制も比較的新しいところでした。ですので、機会があれば他の会社で内部監査を経験し、内部監査人としてのキャリアをさらに積んでいきたいという思いがありました。ですから、人材登録会社等に私も登録をしておき、何かいいお話があれば転職を考えていました。その中で、やる気スイッチグループから話をもらいました。入社して5年がたち、その間ずっと内部監査に携わってきました。国内外の教室数は約1,800に上ります。

内部監査になぜ私は魅力を感じたかというと、社内全体を見た中で、各組織体に対して応援できるというやりがいを一番持っている仕事だと感じたからです。今当社は、上場に向かっていろいろな内部統制を整備している最中ですので、内部監査活動を通じて各組織体の内部統制の整備・運用を支援、応援しています。

まだまだ当社でずっと働きたいという思いはあります。ただ、60歳以降や定年というタイミングになったとき、内部統制の整備・運用がこれから必要だという企業からぜひ来てくださいといわれるような人間になりたいと思っています。今を全力で尽くしていった結果、そうなることを目指しています。

教室の監査は教室長にコンプライアンスの気付きを与える

内部監査がビジネスに影響していると感じることはありますか?

不正が発生したときです。例えば前職において、営業成績がトップだった人が横領を某会社と共謀してやっていたという事例がありました。当然、内部監査をやっていたのですが、人間関係はつかみきれませんでした。これはすごく反省した点です。その人物は、勤怠管理を含めて全く見えないような働き方をしていました。それが発覚したので、その後、勤怠管理はもちろん、取引先と癒着しないように、取引先に対して会社から文書発信強化という提言をして導入していきました。

当社においては、「教室監査」というものを定期的に行っております。教室監査で見ているのは、各種法令に抵触するような事項、消防法や特定商取引法、労働基準法などがメインです。仮に、この内部監査をやっていなかったとすると、教室長の各種法令に対する知識と意識はどんどん低下していき、より大きい不正につながったり、知らなかったことで法令に違反するような事故がもっと多発したりしていると思います。

定期的に内部監査をやるということは、そのタイミングで各教室長に、このような法令があるという気付きをその時点その時点で与えられていると思っています。

CIA資格は知識と経験の客観的な証明

CIA資格を取って転職市場での評価は?学習を通じて身についたことでよかったことはありますか?

転職にCIA資格が役立つことは、鹿間さんも自信をもって語ってくれました。
CIA資格は、転職でものすごく効きました。内部監査の求人情報を見てみると「CIA保有者が望ましい」のような記載が入っています。CIAを取得することは、自分にはそれだけの専門的な知識と経験があるという客観的な証明になります。

さらに、監査法人や証券会社といった外部とやりとりする中でも、名刺にCIAとあるだけで、信頼性や信用がアップしてくるのではないかと思っています。海外では日本よりもCIAのステータスは認知されているので、J-SOXなどで海外に行ったときに、「CIAでこれをしています」と言うとかなり信頼性が上がるという話も耳にします。私が海外でそのような活動をすることは現状ないのですが、グローバルに展開している企業の内部監査で、J-SOXで海外子会社の往査をする場合などはCIAを持っているほうが断然やりやすいと思います。

実務の中で役立つこととしては、やはり内部監査人としての考え方や行動ですね。客観性を担保するためにはどのような行動が必要か、独立性もしかり、そのようなことは勉強したからこそ分かりました。それに基づいて行動しようという意識しているので、そこは日に日に効果があると思います。逆にCIA資格の学習を通じて、しっかりと内部監査人とはということを学ばないと、なかなか気付かないことでしょう。

また、CIAはプチMBAのようなもので幅広い知識が問われます。私は会計の部分で苦労しました。ですから、ビジネス会計の資格の勉強も並行してやりましたし、自分に足りないものを発見できる機会でもありました。一方、組織マネジメントや人事マネジメントは、人事の経験が役立ちました。知識の再認識というところでもありましたが、すごく面白かったです。

「やる気スイッチグループホールディングス」のオフィスには、各事業について詳しく説明するコーナーがありました。
資格に合格すると、自分の気持ちの中で、自分自身に対しての誇りや使命感が出てきます。CIAなのだから日頃からこのような行動をしようですとか、誠実性は絶対大事だなとか。CIAになると継続教育の必要があるので、強制的に勉強をしていかないといけないというのも一つのプラスです。日本内部監査協会の会員になると『月刊監査研究』というものが無料で送られてくるので、最近の情報も入手することができます。これは非常に役立っています。

日本内部監査協会が定期的に無料フォーラムをやっていて、直近の研究している内容を発表されるので、そこに出て情報を仕入れられることもすごく役立っています。個人的に付き合うかどうかはその人の意向で、積極的に人脈を広げたいのであれば、そのようなCIAフォーラムは何個もあるので、その方々と一緒に勉強することもできます。

当社はIPOに向かっていろいろと内部統制を整備していて監査法人から意見をもらうということがあり、それは他社ではどうかと、そのCIAの数名の知り合いの方と少しお話しさせていただくこともあります。企業秘密には踏み込まないように情報交換しています。やはり内部監査人は外部の情報をきちんと入手しておかなければ駄目だと思いますから。

内部監査に関するイメージは「不正・不祥事の摘発」で警察のようなものです。しかし本来の目的は、これではないということを、内部監査に初めて協力していただく上席者の方には必ず説明しています。

会社が健全に成長していることが内部監査の貢献であり喜び

最後に内部監査の面白さは?

内部監査の面白さを語ってくださる鹿間さん。静かに、でも熱を帯びてくる語り方が印象的でした。
やはり全社と関われるというところです。各組織体の全部門と関わりが持てる。そして、これはジレンマでもあるのですが、結果というものがなかなか目に見えてこないのです。成果の可視化がすごく難しいです。ただ、企業が、各組織体が健全に右肩上がりで上がっている状態こそが喜びなのです。そこと共に一緒に成長している、少なからずとも内部監査が貢献できているのではないかと思うのです。

車の運転でいうと各部門はアクセルをどんどん踏みながら進みますけれども、途中急カーブがありますよという提示をしたり、ここは少しブレーキを踏んだほうがいいのではと助言したりという役割が絶対あると思っています。そのような意味で目標地点まで向かって、各部門でうまく運転ができるように貢献・支援できているのではないかと思っています。それが、会社が右肩上がりで健全に成長していることがその裏返し、結果だなと。それが喜びです。

編集後記

やる気スイッチのCMといえば知らない方はいないのではないか、というくらい有名ですよね。そのやる気スイッチホールディングスを支える鹿間さんから、CIA資格について、またその資格に合格されてからの心構えの変化などについてお伺いできたのは大変興味深かったです。継続教育という観点で、今も学びを続ける鹿間さん、そしてやる気スイッチホールディングスの動向にこれからも注目していきたいと思います。

やる気スイッチグループ公式サイト