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日本企業でもIFRSへの関心が高まっています。特に、海外進出を考えている企業にとって、IFRSの導入は避けては通れないものです。
日本会計基準からIFRSへの移行を検討する場合、原則などの具体的な違いを理解しなければなりません。
本記事では、IFRSと日本会計基準の概要や主な違いなどを解説していきます。
目次
IFRS(国際会計基準)と日本会計基準(J-GAAP)
IFRS(国際会計基準)と日本会計基準(J-GAAP)の主な違い
IFRS(国際会計基準)と日本会計基準(J-GAAP)の違いをよく理解しよう
そもそも会計基準とは、財務諸表を作成するために必要なルールのことをいいます。
まずは、IFRSと日本会計基準の概要について確認します。
IFRS(国際会計基準)は、国際会計基準審議会(IASB)が定めた世界共通の会計基準です。企業の状況を国際的に比較しやすくするためのルールで、各国で広く採用されています。
IFRSには、「原則主義の採用」と「公正価値評価」の2点において特徴があります。
なお、この2点については後ほど詳しく解説します。
日本会計基準(J-GAAP)は日本独自の会計基準で、多くの日本企業が適用しているルールです。我が国の法律や税制をもとに作成されているため、国内の企業にとって理解しやすく適用しやすいというメリットがあります。
「一般に公正妥当と認められた会計基準」ともいわれており、1949年に定められた「企業会計原則」、2001年以前に企業会計審議会が定めた会計基準、2001年以降に企業会計基準委員会が定めた会計基準を一元化したものです。
IFRSと日本会計基準には、主に次のような違いが見られます。
1つずつ詳しく解説していきます。
会計基準 | 採用主義と概要 |
---|---|
IFRS(国際会計基準) | ・原則主義 ・基本的な原則のみを定め、具体的な解釈や運用は各企業に委ねる |
日本会計基準 | ・細則主義 ・業種や取引ごとに、会計上の取り扱いや数値基準が具体的に規定されている |
IFRSで採用している原則主義では、会計処理の原則を重んじるため、基本的な原則のみが定められています。これは、国により法体系や商取引上の慣習が異なり、会計基準が細かく指定されていると経営状況を適切に反映できない可能性があるからです。
また、具体的な解釈・運用を企業に委ね、詳細な数値・判断基準を設けていません。そのため、経営の実態に適した会計処理が行いやすいとされています。
ただし、「なぜその会計処理を行ったか」の根拠を明確にすることが求められます。そのため、会計処理に関した根拠を具体的に示す注記の数が多くなり、事務負担が大きくなる傾向があります。加えて、監査の際に解釈の相違が生じないようなルール設定も必要です。
一方、日本会計基準で採用されている細則主義は、取り扱いや数値基準が細かく決められており、同じ基準で会計処理が行われるため、企業間での比較がしやすいとされています。しかし、法体系や商慣習などが異なる他国との比較には適していません。
会計基準 | アプローチと概要 |
---|---|
IFRS(国際会計基準) | ・資産・負債アプローチ ・貸借対照表(バランスシート)を重視 ・資産・負債の定義を先に決定し、資産と負債の評価、その差額である純資産を利益として捉える |
日本会計基準 | ・収益・費用アプローチ ・損益計算書を重視 ・収益・費用の定義を先に決定し、その差を利益として捉える |
利益計算方法において、IFRSでは「資産・負債アプローチ」を、日本会計基準では「収益・費用アプローチ」を採用しています。
資産・負債アプローチでは、資産から負債を引いて純資産を求め、その増減額で利益または損失を判断します。IFRSでは、貸借対照表(バランスシート)を見ることによって企業の将来性・成長度合いなどを理解できるとされており、貸借対照表が重視されています。
一方、収益・費用アプローチは、収益から費用を引いた差額により利益または損失を判断する方法です。計上された純利益の分、純資産が増加するという考え方に基づいています。
関連記事:アビタス IFRS「IFRSの『資産・負債アプローチ』の本当の理由をご存知ですか?」
資産評価とは、貸借対照表上に計上する資産額を算定することをいい、IFRSでは「公正価値評価」を、日本会計基準では「取得原価主義」を採用しています。
会計基準 | 資産評価の基準と概要 |
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IFRS(国際会計基準) | ・公正価値評価 ・計上する時点の「時価」を重視する |
日本会計基準 | ・取得原価主義 ・取得時の価格(簿価)を原価として資産を評価する |
「公正価値」とは、「測定日時点で、市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格」と定義されています。これらの価格を「出口価格」といい、測定日の時価で測定されます。
ただし、市場で売買が活発に行われているか、あるいは、類似した資産や負債の取引価格を参考にして、客観的な評価が行われる点において、一般的な時価とは異なります。
取得原価主義は、貸借対照表の資産や負債を、取得時の価格(原価)を基準として評価する会計方法です。資産を売却した金額と簿価との差額を、損益として計上します。
IFRSと日本会計基準の財務諸表は、それぞれ以下のような項目で構成されています。
会計基準 | 財務諸表の項目 |
---|---|
IFRS(国際会計基準) | ・包括利益計算書 ・財政状態計算書 ・持分変動計算書 ・キャッシュ・フロー計算書 |
日本会計基準 | ・損益計算書・連結包括利益計算書 ・貸借対照表 ・株主資本等変動計算書 ・キャッシュ・フロー計算書 |
日本会計基準における「損益計算書」は、IFRSでは「包括利益計算書」に、「貸借対照表」は「財政状態計算書」となっています。
IFRSでは、経常利益・営業外損益・特別損益といった概念がないため、投資や金融における損益以外は全て「営業利益」に含むとされています。
加えて、日本会計基準における特別損失にあたる「減損損失」は、IFRSでは「その他の営業費用」などに含まれています。
また、日本会計基準では当期純利益を継続事業と非継続事業に区分していませんが、IFRSではより正確な将来予測のため、「継続事業からの当期利益」と「非継続事業からの当期利益」に区分しています。
連結財務諸表とは、親会社とその子会社などからなる企業グループを1つの組織として、財政状態や経営成績を明らかにするための財務諸表です。
会計基準 | 連結財務諸表の捉え方の概要 |
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IFRS(国際会計基準) | ・親会社も子会社も経済的に単一体と捉える ・連結財務諸表は、親会社だけでなく子会社を含めた全ての株主のために作成されるべきという考え方に基づく |
日本会計基準 | ・親会社を重視し、親会社が子会社を「支配している」と捉える ・連結財務諸表は、親会社の株主のために作成されるべきという考え方に基づく |
特に親会社・子会社の関係を持つ企業においては上記の理解も重要です。
のれんとは、買収される企業の純資産と買収額の差額のことで、買収される企業のブランド的な価値といえるものです。主に、企業買収や合併の際に表面化します。
IFRSと日本会計基準とでは、のれんの取り扱いについて以下のような違いがあります。
会計基準 | のれんの処理の概要 |
---|---|
IFRS(国際会計基準) | ・非償却(償却禁止)であり、少なくとも年に1度の減損テストを行う |
日本会計基準 | ・20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する |
IFRSでは、のれんは将来的な収益にいかなる影響を及ぼすかの予測がつかないといった理由から、非償却としています。ただし、少なくとも年に1度、減損テストを行います。
一方、日本会計基準ではのれんは一定期間で償却する必要があります。
なお、2024年3月14日に国際会計基準審議会(IASB)から、「企業結合-開示、のれん及び減損(IFRS第3号及びIAS第36号の修正案)」が公表され、案に対する意見が求められました。今後の対処・対応などについて、新しい情報が待たれるところです。
関連記事:アビタス IFRS「のれんの償却におけるIFRSと日本基準の差異」
会計基準 | 研究開発費の扱い |
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IFRS(国際会計基準) | ・研究開発活動を「研究」と「開発」に区分 ・研究費は発生時に費用計上、開発費は一定の要件を満たす場合のみ資産計上 |
日本会計基準 | ・研究費も開発費ともに発生時に費用処理 |
日本会計基準では、研究開発費は「研究」と「開発」に区分されることなく、まとめて発生時に費用処理されます。
一方、IFRSでは研究開発活動を「研究」と「開発」に分け、研究費は費用計上し、開発費は一定の要件を満たすもののみ資産計上します。
資産計上された開発費は、減損テストや減価償却を行うことで費用化するという流れです。
すでに海外で事業を行っている企業はもちろんのこと、これから海外進出を図る企業にとっても必要なものです。
IFRSについて正確に理解するために、まずは日本会計基準との違いを十分に知ることが大切です。
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