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IFRS実務者インタビュー

【vol.8】実務に直結するからこそ、原則から学ぶ意味がある。

中山 翔太さん
上場企業 経理部

  • 日商簿記2級
  • 経理財務経験:有

実務に直結するからこそ、原則から学ぶ意味がある。

連結会計に携わる中で、実務としてIFRSに対応する必要があったものの、初期は「数字を入れ替えるだけ」の業務に疑問を感じていたという中山さん。外部コンサルが抜けた後の社内運用体制において、自らが“理解して判断できる人材”になる必要性を強く意識し、IFRS検定の学習を開始。
「IFRSは原則主義の会計基準だからこそ、“なぜこの処理を行うのか”を理解する力が求められる」そう語る中山さんが、実務とのリンクを重視した学びで得た手応えと、これからの経理人材に必要な視点とは――。
IFRS導入企業に勤務し、日々現場で基準と向き合う立場から語られる、リアルな実務目線のインタビューです。

記事内容はインタビュー当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。

ーまずはご経歴をお教えください。

新卒で銀行系企業に入社し、経理・財務や予算企画の業務を担当していました。その後、5〜6年前に現在の上場企業へ転職し、経理部門に配属されました。現在は主に連結会計に関わる業務を担当しており、IFRS導入後の運用にも携わっています。IFRSが導入されたのは3〜4年前で、導入初期には外部コンサルタントと共に対応し、その後は社内での運用体制を整備してきました。

ーIFRSを学び始めたきっかけは何ですか?

導入時は外部コンサルが論点整理などをリードしていましたが、支援はあくまで初期まで。その後の業務は自社で自走していく必要がありました。そのタイミングで「自分もちゃんと理解しておかなければ」という気持ちが強くなり、体系的に学べる資格取得を目指すことにしました。自分自身も、社内でIFRSに通じた人材として認識されることは、業務面でもキャリア面でも重要だと感じていました。

ーアビタスの講座を選んだ理由は何ですか?

IFRSを扱う書籍や基準書は多くありますが、検定取得を視野に入れた体系的な学習を提供している講座はほとんどありませんでした。その点でアビタスは非常に貴重な選択肢であり、他に迷うことはありませんでした。実際に受講してみると、教材はとても見やすく、講義も試験対策と実務を明確に分けて説明してくださるので、自分の中で理解を整理しやすかったです。

ー実務との関係で役立ったことはありますか?

実務でIFRSに対応した資料を作成する際、基準書だけでは難しい箇所が出てきます。そんな時、アビタスの教材はより平易な表現で整理されており、「あれってどういう意味だったっけ?」という確認にも使える存在です。自分の業務と講義の内容がリンクしてくると、理解度も記憶の定着も格段に変わりました。特に借入利息の資産計上など、実務で応用可能な知識を得られたことは大きな成果でした。

ーIFRSを学んで変わったこと、感じた事はありますか?

IFRS導入初期は、前任者が残した資料に従って数字を入れ替えるだけの作業のような仕事でした。しかし、IFRSを学んだことで「なぜこの処理が必要なのか」「この計上方法で問題がないか」といった視点を持てるようになりました。今では、自分が作成した資料についても「ここは間違っているのでは」と自ら気づく場面が増えました。
また、社内でIFRSに強い人材が限られている中、自分が理解しているという自信が、仕事への向き合い方にもポジティブな変化を与えてくれました。

ーIFRS導入の背景や会社としての目的は何でしたか?

投資家との関係強化があります。特に海外投資家に対して、国際会計基準での財務情報開示は信頼性のある指標となります。もう一つの大きな理由は「のれんの償却」です。当社はM&Aを多く行っており、日本基準では償却が必要だったのが、IFRSでは減損がない限り償却不要になります。この違いが財務諸表の見え方に大きな影響を与えるため、導入の意義は非常に大きいと感じています。

ーIFRS人材の市場価値や、今後のキャリアについてどうお考えですか?

現時点で転職は考えていませんが、IFRSの知識を持っていることで、キャリアの選択肢は広がると感じています。経理職においても、ただの作業担当ではなく、背景やリスクを踏まえた判断ができる人材が求められてきています。 経理の現場ではAI化が進み、定型業務は機械が担うようになるでしょう。そうなると、IFRSのような原則を理解し、柔軟に対応できる人材こそが重宝される時代になると思います。実際、社内でもスキルを持った人が少なく、その価値を実感することが増えています。

ーこれからIFRSを学習する方へアドバイスをいただけますでしょうか?

IFRSは原則主義の会計基準であり、細かなルールに従うだけの日本基準とは異なります。「この処理の背景には何があるのか」といった原理を理解することが、実務でも評価される力になります。単なる試験対策ではなく、実務に役立てたいという視点で取り組む方には、非常に意味のある学習になると思います。
また私は実務とリンクさせながら学習を進めました。自分の会社で実際に直面した処理と照らし合わせて学ぶことで、単なる暗記ではなく「使える知識」に変わりました。建物や設備に関する借入利息の会計処理など、自社業務と重なる部分は特に覚えやすく、自信にもつながります。
また、講義や教材は「試験に出る部分」「実務で必要な部分」がしっかり整理されているため、効率よく学ぶことができました。学習のモチベーションも維持しやすく、社会人の自学には最適なツールだったと感じています。