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戦記 さん
教育投資ジャーナリスト
グローバルで通用する“経理人材の条件”とは?
外資系企業のCFOであり、X(旧Twitter)では教育投資ジャーナリストとしても発信を続ける戦記さん。三井物産でのM&A・審査業務を経て、スタートアップから上場企業まで幅広い規模でCFOを歴任してきたキャリアの中で、「JGAAPだけでは限界がある」と痛感。UK系企業への転職を機に、“最短で国際会計の土台を築ける”資格としてIFRS検定を選択したと言います。
「50歳目前で朝4時から勉強してる場合じゃない。若いうちに学ぼう」
「ACCAは重すぎる。まずIFRS検定で十分差別化になる」
そんな戦記さんが語る、IFRS学習の現実と将来の報酬格差、そして経理・財務職として“グローバル人材”になるために必要な視点とは。CFOの視点で語る、実務に活きるIFRSの価値をお届けします。
記事内容はインタビュー当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。
外資系企業CFOと、教育投資ジャーナリスト(@SenkiWork)のパラレルキャリアを歩んでいる戦記と申します。
2000年3月に早稲田大学法学部を卒業後、三井物産に新卒入社しました。初任配属から9年間はコーポレート部門(審査・リスクマネジメント)に在籍し、32歳の時に社内のビジネススクール研修員制度を活用して、社費留学でUCバークレーにてMBAを取得する機会を得ました。
2011年の帰国後は北米・欧州における数千億円規模の大型M&A案件に従事し、40歳の節目にCFOとしてのキャリアを志して2018年に三井物産を退職。その後は2社のスタートアップでCFOとして合計34億円の資金調達などの業務を担い、昨年2024年1月までは上場企業のCFOとしても勤務しました。大企業としての事業投資をする側、そして投資される側のスタートアップの実務経験を持ち、バラエティ豊かなキャリアを築いてきました。
三井物産時代、社内ではUSGAAPからIFRSへの移行が進められていましたが、私は経理実務ではなく経営企画寄りの業務にいたため、IFRSについては“外から見ている”立場でした。
その後、2024年にUKに親会社を持つ外資系企業に転職するタイミングで、「あれ、自分はIFRS全然知らないな」と気づいたんです。JGAAPと少しのUSGAAPの知識だけでは不十分だと。
調べてみると、IFRS関連の資格はACCA(英国勅許公認会計士)とIFRS検定の2つしかない。ACCAは範囲も広く長期戦になるため、まずは短期間で取得できるIFRS検定に挑戦することを決めました。アビタスの講座は、その選択を強力にサポートしてくれました。
IFRSの“原則主義”(Principles-Based)の考え方は、JGAAPやUSGAAPの”Rules-Based”に慣れた身としては新鮮で、最初はなかなか馴染みませんでした。しかしアビタスの動画講義では、具体例を交えながらわかりやすく丁寧に解説されており、初学者でも理解しやすい構成になっていました。動画を通じて概念を掴み、MC問題(選択肢問題:Multiple Choice Questions)で定着を図る、最後にテキストで振り返る、という王道の流れで学習しました。
講師の竹野先生の柔らかな語り口も印象的で、私が家で動画を見ていたら、かつてアビタスにてCIAを受講して合格している妻が「あ、この先生知ってる!」と盛り上がったことも。勉強を“続けやすい”空気感があるのがアビタスの良さだと思います。
日本国内でのIFRS採用企業は確かに増えていますが、まだ“主流”というほどではありません。特にJGAAP中心の企業に勤めていると、IFRSの必要性を感じる機会は限られています。
また、JGAAPとIFRSの“人材の流動性”も低く、IFRSに関するスキルの“可視化”ができていないですね。私自身も、転職時に「証明できる資格がない」と思ったからこそ、IFRS検定を選びました。
今や海外投資家の目線では「IFRS採用企業=投資家として数字を理解できる会社」という構図ができつつあります。数字を理解できないと、数字を信頼するという段階に到達しないことは、日本在住のビジネスパーソンは認識すべきだと思います。そうした中で、IFRSを知らないCFO・経理担当者は、次第に競争力を失っていくと感じます。
私がスタートアップのCFOをしていた経験から言うと、グロース市場でのIPOを目指す場合、IFRSを採用するケースは非常に稀です。その理由は、IFRSに対応できる監査法人が極めて少ないためです。監査法人の対応能力がボトルネックなので、すぐには解決しない問題です。
結果として、スタートアップではほぼJGAAP一択になります。これは日本が国際的に“遅れている”と感じる要因の一つです。海外投資家からすると「IFRSでなければ数字が信頼できない」と見なされるリスクすらあります。
たとえば簿記2級+経理実務経験を持つ方が、さらに“グローバル対応力”を加えたいという場合には、IFRS検定は極めて有効です。
現時点で他に代替となる短期取得型の資格がほとんど存在せず、ACCAはハードルが高い。だからこそ、IFRS検定を取得することで「国際会計の知識を獲得する意欲があり、本国とのコミュニケーションを通じて実務知識を獲得する意思を持つ人材」として明確に評価されるようになります。
また、若手や大学生にもおすすめです。簿記2級だけを持っている人は多いですが、IFRS検定を持つ学生は非常に稀です。だからこそ、ファーストキャリアでIFRS採用企業に入るための強い武器になりえます。
私は教育投資ジャーナリストとしても活動しておりますが、今後10年で、日本の経理職の報酬は二極化すると見ています。
一言でいうと、2025年現在ではIFRS人材は希少価値が高いのです。需要と供給の関係です。IFRSに対応できる人材は、グローバル企業や外資系企業で引く手あまたになり、給与水準もグローバル基準に修練していくので上昇傾向。一方で、JGAAPしか知らないままだと、相変わらずの日本の賃金体系に縛られますので報酬の伸び悩みに直面する可能性が高いと思います。私は「給料を上げたいならIFRSがおススメ」と、X(旧Twitter)でもたびたび投稿しています。日本企業としての経理実務経験があることに加えて、国際基準への理解を持っていること、この両方を満たす人材が、これからの経理・財務職にて高い報酬を求めていくためには必須条件になると考えます。
グローバル企業でキャリアを築きたいなら、IFRSの知識はもはや“必要条件”になりつつあります。若いうち、できれば学生時代のうちに学んでおくのが理想です。私のように50歳近くなって、パラレルキャリアで忙しいのに早朝4時から勉強時間を確保するのは大変ですから(笑)。
繰り返しますが、IFRSの能力を証明できる資格は、現状ACCAかIFRS検定しかありません。ACCAはハードルが高い分、まずはIFRS検定から始めることで、学習の効果も大きく変わります。
簿記と合わせてIFRSを学ぶことで、JGAAPとの違いや国際会計の視点も自然と身につく。そこからUSCPAなどに進むと、さらに理解が深まり、相乗効果も期待できます。
「今、何を学ぶべきか」に迷っている方こそ、IFRS検定をおすすめします。