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長瀬 利雄さん
日本アマゾンアルミニウム株式会社
国際協力機構(JICA)からの出向で、日本アマゾンアルミニウム株式会社の監査役として活躍中の長瀬さん。CIAやCFEなどの資格を活かしてキャリアを築いてきた長瀬さんが、監査役という立場で実務に携わる中で、改めて感じたのが「経理・会計の基礎知識の重要性」でした。IFRSの学習によって、財務諸表の見方や監査上のリスク判断に自信を持てるようになり、キャリアの幅が広がったと語ります。グローバルな経営環境で活躍する長瀬さんが語る、IFRSを学ぶ意義と、実務にどう生かされているかをお届けします。
記事内容はインタビュー当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。
今の私の仕事は、日本アマゾンアルミニウム株式会社(以下:NAAC)の監査役です。私自身が特に資源に強い、ブラジルに強いというわけではなく、CIAやCFEを持っていたのでポストを紹介されたのだと思います。まだ独立行政法人国際協力機構(以下:JICA)の籍を持っているので、出向という形です。このポストを紹介されたときに、持っている資格が生かせるなと思っていました。
監査役の仕事は大まかに言うと、「業務監査」と「会計監査」の二つのまとまりがあります。先ず「業務監査」は、平たく言うと日々の業務がうまくいっているかの確認です。取締役がきちんと機能しているか、内部統制がきちんと働いているかを見ます。「会計監査」はみなさんがイメージされるような、会計や経理の処理ができているか、ルールが守られているかの確認です。
私はCIA、CFEに加え、若い頃にMBAを取っていて、財務、会計、経理についてもMBAでカバーできるレベルのことは勉強していました。仕事でも経理で決算担当だったことが有るので、財務諸表についても抵抗感なく見れました。なので、大体のことは理解できるつもりでしたが、実際に監査役の仕事を始めてみると、やはり久しぶりに経理や会計の世界に戻ってきたなという感じでした。
少し補足すると、NAACは10名くらいの小さな会社です。なので監査役も常勤は私1人、非常勤が2人いるという規模感です。会計経理は財務部が所掌していますが、部長と担当の2人だけなんです。何かあったら財務部長か会計の担当者に相談するか、あとはもう自分で判断してやっていかないといけないんですよね。若い頃に経理課で決算担当をしていたときは同僚も何人かいて、課長も部長もいてと、相談相手がたくさんいたので、その頃の環境と今は大きく異なります。
なので、今の体制では、自らの知識が大きな勝負ポイントになります。そう思うとどうしても、忘れていることが多いなと感じました。相談相手も限られている、財務や経理に詳しい人間が少ない中で、自分自身でなんとかしていかなければいけない。幸い、資格取得の補助制度が利用できたので、それを利用して取らせていただいた次第です。
最初はIFRS検定の存在を知りませんでした。しかし、漠然とIFRSについて勉強するというのもあまり熱意が続かない気がしたので、何か目標があるといいなと思っていました。監査役ですし、今後も監査系の仕事になるだろうなと思い、それなら資格として一つ持っておいてもいいかなということで、IFRS検定を目標に設定しました。
学ぶ過程で様々なことを身に付けたので、そういう意味で実感としての変化はあります。監査役は年俸制なので、資格を取ってすぐに何か処遇が変わるとか、ポジションが変わるといったことはありませんが、IFRSに取り組み合格したことが自分の中で自信になっています。
CIA、CFEを学んだ上で今回IFRSなので、アビタスの勉強システムには個人的に慣れてきていることもあり違和感はありませんでした。IFRSに限りませんが、仕事をやりながらの勉強なので、動画のセッションが細かく区切られているのがいいところですね。隙間時間で取り組めますし、集中力も維持しやすいと思います。オンラインであることもポイントで、在宅勤務と組み合わせやすいですよね。午前中は仕事をして、早めに区切りが付いたら午後は勉強に充てるとか。問題集も、私は基本的に紙の問題集が好きなのですが、通勤時間にスマホを使ってオンラインで取り組めるのも便利だなと思いました。
改善してほしい点は、これもIFRSに限定した話ではないのですが、問題集で日本語の分かりにくさが多少残っているのかなと感じました。こう書いてくれればもっと分かりやすいんだけどな、日本語としてこれは少し分かりづらいよな、ということがありました。ただ最終的にはどの検定試験も英語からの翻訳で受験せねばならないので、ある意味では「こう聞かれたらこう答えるんだな」という練習になりました。答えが間違っているわけではなく、こう聞かれているからこう答えるんだ、という目線合わせが大切なので。もし日本語として分かりづらくて不安を感じた場合は、直接先生に確認すればいいと思います。そのためのオンラインフォームも整備されていますし。
私の会計・経理・財務の考え方の基礎はMBAを学んだときのものなので、非常に役立ったと言えます。MBAは英語、IFRSは日本語で勉強しましたが、どちらから学ぶのがいいということはないと思います。少なくとも私の場合は先にMBAを勉強する中で会計経理の基礎的なことを一通りできていたので、IFRSに取り組んだ時も違和感はありませんでした。
これからIFRSを学ぶ人の中には、私のように昔会計経理を少しかじったという人もいれば、全く知らない他分野から放り込まれて一から学ばなきゃいけないという人もいらっしゃると思います。一つ言えることとしては、あまり数字を怖がらないでほしい。どこの会社にも、数字が苦手という人はいますよね。人間誰しも、得意不得意がある。それでもIFRSをやると決めたんだったら、数字は怖いものじゃないんだよと伝えたいです。四則演算以上の難しいことをやっているわけじゃないですし。理系じゃなかったから、経済学部じゃなかったからって、マイナスに捉えないでほしいです。わたしも経済学部出身ではありませんが、四則演算ができたら分かる、怖くない世界でしたよ。
またどんな方が勉強しても、プラスになると思います。例えば私は監査役です。会計監査人は別にいるので、会計の分野を丸投げして、報告書を見て「ちゃんとできているね」と言うだけでも仕事としては成り立ちます。でも、やっぱりそれだけではいけない。監査役としてきちんと知識を持って理解している方が当然いいですし、内部統制もきちんと効いてきます。一歩踏み込んだ仕事をした方がいい立場の人、新入社員、それこそ社長レベルでも、プラスになる知識だと思います。もちろん、IFRSを適用している会社の中にいらっしゃる方だったら必須科目の1つになってくるでしょうね。
IFRSを扱うからやらなくちゃいけないという方だけではなくて、自分の業務の幅を広げたい、もしくは深めたい、そういう可能性を見出してみたいという方は、ぜひチャレンジしてみてください。