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事業経営のためにITシステムを戦略的に活用し、その効果を最大化するための仕組みを「ITガバナンス」といいます。
企業がITを戦略的に活用するためには専門的な知識が必要です。同時に、適切なリスク管理を行う必要もあります。そのためにはITガバナンスへの理解は欠かせないものです。
本記事では、ITガバナンスの定義や構成要素について分かりやすく解説します。
目次
ITガバナンスとは? その定義
ITガバナンスに必要な8つの構成要素
ITガバナンスの強化に役立つ資格
ITガバナンスの強化には専門性の高い知識が必要
経済産業省の「システム管理基準」によれば、ITガバナンスは下記のように定義されています。
IT ガバナンスとは、組織体のガバナンスの構成要素で、取締役会等がステー クホルダーのニーズに基づき、組織体の価値及び組織体への信頼を向上させるために、組織体における IT システムの利活用のあるべき姿を示す IT 戦略と方針の策定及びその実現のための活動である。
つまり、ITガバナンスとは、事業経営のためにITシステムを戦略的に活用し、その効果を最大化するための組織的な仕組みとして理解できます。
ITガバナンスに取り組む上では、IT設備の導入、運営、ITシステムの開発、IT人材の育成、リスク管理、予算配分など、組織的として幅広く取り組む必要があります。ITに関する投資の方向性、企画、導入までのプロセスやルールを決定し、実施後は監視も行います。
ITガバナンスはコーポレートガバナンスから派生した取り組みでもあるため、ITの活用を促すとともに、規律や監視の強化を進めるものでもある点も特徴の1つです。
ITを用いて企業の目標を達成するための価値を創出することが、ITマネジメントの主な役割といわれています。具体的にはITシステムの運営、監視、投資、リスク管理など、日常的な運用や管理などが、ITマネジメントにあたります。
一方、ITガバナンスは経営者(取締役会等)が中心となり、組織全体の方針や戦略、規則などの策定や監視することを焦点に当てています。
つまり、ITガバナンスが戦略的な方針を確立し、監視、指導する役割であるのに対し、ITマネジメントはITガバナンスの戦略に基づいて、日常的に業務を実施するものとなります。
互いに連携し、組織全体で企業価値の向上に向けた戦略的なIT活用が求められます。
グローバルITガバナンスとは、国際的な規模でのIT資源やプロセスを組織する戦略的な枠組みや原則を指します。企業が国際市場で成功するためには、グローバルITガバナンスも重要になります。
なぜなら、IT活用時のルールには、国や地域によって異なるケースがあるためです。文化や言語の違いが影響をもたらすこともあります。
企業がグローバル展開する場合は、各国のルールや法律、文化の違いなどの特性を把握し、地域ごとに適切な対応が必要です。
また、国によって異なるシステムを開発・利用している場合、システム統合したほうがコストカットや利便性の向上につながるケースもあるでしょう。
ITガバナンスには次の8つの要素が必要だといわれています。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ITシステムは、事業の目標達成のための戦略に基づいたものを導入しましょう。
例えば、業務効率化が目的なのにシステム導入により作業量が増え、業務効率化につながらないケースも見られます。自社の目的とかけ離れたシステムを導入すると、適切なIT活用につながらないため、注意が必要です。
自社の戦略や目的に沿った、適切なシステムを導入しましょう。
組織内でのITの意思決定権限、責任や権限の所在を明確にし、効果的なガバナンス体制を整えましょう。
ITシステムを組織的に統括できていない組織体制であれば、改善が必要です。状況に応じて、IT部門を設立する、コンプライアンスやセキュリティの担当者をつける、IT人材の育成部門を作る、内部監査部門を強化するなどを実施することが大切です。
システムが有効活用できるよう組織体制を整えましょう。
現在の業務内容の洗い出しが必要です。業務内容が分からなければ、どのようなITシステムを導入しサポートにつなげるべきかが分からないためです。
業務内容を明確にし、自社に適切なITシステムについて検討しましょう。
また、システム導入後は定期的にシステムの効果を計測しなければなりません。実際に利用している現場の声を聞き、改善を重ねましょう。
ITシステムの導入や活用には一定のコストがかかります。導入するシステムによっては、導入費だけでなく月々のコストがかかり続ける場合もあります。
システム導入による費用対効果が得られなければ、損失につながることもあります。そのため、適切な予算管理や費用対効果の計測が欠かせません。
ITシステムを効率よく長期的に運用するためには、運用体系の構築が欠かせません。
そのためには、企業の目的に沿った役割や責任を明確にした運用モデルを設計しましょう。
例えば、CIO(最高情報責任者)、CISO(最高情報セキュリティ責任者)、IT管理者、プロジェクトマネジャー、セキュリティ担当者などが必要となるケースがあるでしょう。
運用を開始した後は、実際に運用がうまく回っていることを確認し、必要に応じて改善します。
ITシステムの導入には、システム障害や情報漏えいをはじめとする様々なリスクが伴います。これらのリスクから企業を守るためには、ガイドラインやルールの設定が欠かせません。
加えて、セキュリティポリシーやプライバシーポリシー、コーポレートガバナンスの方針策定なども必要になります。策定後は、従業員に対しても、ガイドラインやルールを遵守するよう周知や教育が必要です。
ITシステムを導入すると、財務リスク、運用リスク、セキュリティリスク、法的リスクといった、多くのリスクが生じます。
リスクを最小限にするためには、ITプロセス、プロジェクト、システムに関連するリスクを明確にし、重大度を評価した後、適切な対策を講じておかなければなりません。
システムを扱う従業員に対する情報リテラシー教育も必要です。
複数回に分けてITシステムを導入するケースも少なくありません。コスト効率を確保するためにも、ITシステムを導入するための調達方法を策定しておきましょう。
外注先の選定方法、契約管理、プロジェクト管理などが含まれます。
システムの調達方法を策定する前に、企業の戦略的目的や予算、リスク許容度などを明確にしておかなければなりません。
ITシステムの導入には一定のリスクが伴います。リスクを把握し対策をとりつつ、企業の目的に沿って適切に効率よく運用するためには、専門的な知識が必要となるケースが多く見られます。
ここでは、ITガバナンス強化に役立つ資格を2つ紹介します。
それぞれの資格について、見ていきましょう。
CGEIT®(Certified in the Governance of Enterprise IT)は、2008年にISACA®によって創設された資格です。取得すると、ITガバナンスの原理や実践に関して、豊富な知識やスキルを持つ人材であることが証明されます。
CGEIT®試験では、ITガバナンス、ITリソース、メリットの実現、リスクの最適化について問われます。CGEIT資格を取得すると、企業のリスクを最小限に抑えたITシステムの効果的な活用ができるでしょう。
日本で受験することはできますが、対応言語は英語と中国語のみとなっています。
CISA®(公認情報システム監査人)は、ISACA®が認定する国際的な資格です。取得すれば、情報システム監査の専門家であることが証明されます。
情報システム監査とは、情報システムの信頼性・安全性・効率性について検証し、評価することを指します。
CISA®は、情報システム監査人、情報セキュリティマネジャー、リスク管理者、コンプライアンス・オフィサーなど、情報システム関連の職種で働く方にとって価値のある資格です。
情報システムの急速な普及により、金融機関、情報システム関連企業や監査法人、会計事務所などをはじめ、様々な場でCISA®のニーズが高まっています。
なお、CISA®は日本語で受験できます。
参照:アビタス CISA®「公認情報システム監査人(CISA®) とは?資格の概要や魅力を解説」
情報システムが急速に普及していく中で、企業が戦略的に目的を達成するためには、ITガバナンスの強化が欠かせません。
組織体制を整え、戦略的に活用していくことで、効率よく安全性の高いITシステムの運用が可能になるでしょう。
ただし、ITの導入や運用に際しては、使用目的を明確に定めておかなければうまく使いこなせない場合があるため注意が必要です。また、情報漏えいやシステムダウンなど、多くのリスクが生じます。
ITガバナンスの強化には専門的な知識が不可欠です。CGEIT®やCISA®の資格取得を目指すことは、ITガバナンス強化に必要な知識やスキルを効率よく習得することでもあります。
CISA®の資格取得を目指すなら、アビタスを利用しましょう。
アビタスは2007年4月にCISA®プログラムを開講し、約75%という高い合格率を誇っています。
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